初日舞台挨拶で思わずジーン…… 『ぐるりのこと。』 [2008年06月08日(日)]
左から、橋口亮輔監督、リリー・フランキーさん、木村多江さん、寺島進さん、安藤玉恵さん
今日(日付が変わってしまったので、昨日ですが)は銀座のシネ・スイッチで『ぐるりのこと。』の舞台挨拶。お昼の回の上映後に、橋口亮輔監督、木村多江さん、リリー・フランキーさん、寺島進さん、安藤玉恵さんが登壇しました。
『ぐるりのこと。』は木村さん、リリーさんが演じる夫婦、翔子とカナオを中心に、その周辺(ぐるり)に起こることを10年にわたって描いた作品。
(C) 2008『ぐるりのこと。』プロデューサーズ
しっかり者の編集者の翔子とどこかフワフワしてつかみどころのない法廷画家のカナオ。
生まれたばかりのこどもを失ったことをきっかけに、翔子は心の均衡を崩し、カナオはそんな翔子を静かに支える。2人で困難を乗り越えながら、ゆっくりと再生していくという話。
大きな事件や劇的な展開はないのですが、静かに訴える力のある作品で、観終わると本当に温かい気持ちになるし、夫婦っていいなと思えます。
なかなか安定した仕事に就かないカナオに対して周囲が冷めた目で見ても、翔子はまったく揺るがないし、ボロボロになった翔子が取り乱したり、当り散らしたりしても、カナオも揺るがない。絶対に離れない相手がいると思えることって、人を強くも優しくもするんだなーと。伝わってきたのは、そういうシンプルなメッセージなんですけど、かえってジーンときました。
前作の『ハッシュ!』以来、橋口監督にとっては6年目の新作。どんな思いでこの作品を撮ったのかは、ご本人のコメントがブログにあったので、そちらをぜひ!読んでみてください。
舞台挨拶で橋口監督は「生真面目に、ていねいに生きる人が、馬鹿にされたり報われない世の中ですが、せめて映画の中では、ひたむきな人が報われる瞬間を描きたかった」とコメントしていました。「映画館を出たときに、ちょっと風景が変わったと思えたり、いろいろあるけどがんばろう、と思えたらいいと思う」とも。
「翔子を演じて、人と繋がるっていいなと思った。手を離さないでくれたカナオを見て、人と手をつないでいたいと思えた」と木村さん
リリーさんは「この作品を観て日常の幸せ、人との接し方が変わった。幸せなものをくれた映画」とコメント
リリーさんが木村さんのドレスを「カーテンみたい」とからかってみたり、寺島さんと安藤さんがデュエットで『銀恋』を歌おうとしたりと、笑いの絶えない雰囲気だったのですが、そんななか「みんなで初日を盛り上げてくれて、ありがとうございます」と橋口監督が感極まって涙ぐむシーンもあり。それに対して会場から温かい拍手が起こるなど、ほんとうにいい雰囲気の舞台挨拶でした。
そういうところも、なんだかこの映画の延長のようで、ちょっと感動しちゃいました。
今日は参加できてよかったですー。
上のキメカットのちょっと前。夫婦っぽく腕を組みましょう、という取材陣のリクエストに応えて、こんな和やかムードに。
『ぐるりのこと。』
原作・脚本・編集・監督:橋口亮輔
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵
シネマライズ、シネスイッチ銀座他全国ロードショー
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本日公開。トム・ケイリン監督のコメントも! 『美しすぎる母』 [2008年06月07日(土)]
今日から公開中のこちらの作品。
舞台は1946年のニューヨーク。貧しい家の出身ながら、その美貌で大富豪のベークランド家に嫁いだ女優のバーバラが、夫に捨てられ、行き場をなくして最愛の息子と住居を転々としながら、最後にはその息子に殺されてしまうというショッキングなストーリー。実際にあった事件をもとに作られたということが、さらに内容を衝撃的に見せています。
上流階級独特の雰囲気の中で起こる悲劇。怠惰で美しい生活や、同性愛や、母親殺し、といったキーワードがちりばめられたこの作品からは、ちょっとヴィスコンティの映画のような耽美的な雰囲気も感じられて、悲劇なのですが美しい。萩尾望都や竹宮恵子が描くマンガの世界に通じる世界、ともいえそう。
ニューヨークから、ロンドン、パリ、マジョルカ島と滞在先を転々と変えるのですが、どの邸宅も美しいし、ファッションも素敵。息子のアントニーが、イケメンという感じではないけれど、両親に振り回されて育てられたせいで、主体性のないお人形のような青年になっていく様子もちょっとゾクゾクします。演じているエディ・レッドメインの青白いソバカス顔が、役にぴったりでした。
でも、なんといってもこの作品で一番の魅力はジュリアン・ムーアの演技。
激しい気性と美貌で周囲を振り回しながら、結局、夫に捨てられ、上流階級の雰囲気にもなじめずに、孤立していく。そんな強さと狂気を持ったバーバラを熱演しています。ストーリーを読むと、結末にかけてはただショッキングですが、彼女の変遷を観ているとそれが自然なものに思えてくる。本当にすごい女優さんだなあと思います。
うーん、母と息子の関係って難しい……なんてことを考えさせられてしまうのですが、ここで監督のトム・ケイリンが4月に来日した時のインタビューの様子をちょっとご紹介。
この映画で一番描きたかったテーマについては、ひとこと「リミッツ・オブ・ラブ」と答えた監督。
「つまり、家族のうちにある愛の限界や、人間関係においての愛の限界を撮りたかった。バーバラは、貧しい家庭で育ち裕福な結婚をしたけれど、最終的には全てを失った。それは、自分をちゃんとつかんでおけなかったからだと思うんです」。
バーバラという女性については「ナルシストで怒りを内に持っていて、落ち着きがない人」と評する監督、ジュリアン・ムーアを起用した理由については「彼女なら役に必要な人間臭さや感情的な深みを伝えられると感じたから」と。
ジュリアン・ムーアは台本を渡すと1週間で引き受けてくれると連絡があったそう。
「ジュリアンは、物静かな役を演じることが多いので、バーバラ役はチャレンジだったと思うが、彼女は勇敢に挑んでくれた。空港のテイクなどは自分からいろいろ提案してくれたよ」。
たしかに、空港のシーンでのジュリアンには怨念のようなコワさが……。
デートで観るにはちょっとヘビーかもしれませんが、上流階級、美少年好き、耽美派好きのかたはぜひ!
『美しすぎる母』
監督:トム・ケイリン
出演:ジュリアン・ムーア、スティーヴン・ディレイン、エディ・レッドメイン
Bunkamura ル・シネマほか全国公開中
(c) Lace Curtain, Monfort Producciones and Celluloid Dreams Production
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この映画、実話がベース!? 『ラスベガスをぶっつぶせ』 [2008年06月03日(火)]
今日ご紹介するのも、公開中の作品、『ラスベガスをぶっつぶせ』。
見た目ハデですが、ここに映っている人はみんなMITの天才学生たち。
タイトルを聞いたときはコメディーかと思ったのですが、これはMIT(マサチューセッツ工科大学)に通う数学の天才学生たちが、ラスベガスのカジノに乗り込み、頭脳と記憶力を使ってブラックジャックというカードゲームで勝ち続けるという話。すごいのは、実際にあった話がベースだということ。配られたカードの数字を記憶しながら、残りのカードに何がでてくるかを予測する、「カードカウンティング」という方法を使うらしいのですが、私にはさーっぱり。でも、習得できるんだったら、運頼みのはずのギャンブルに必ず勝てる、となるわけですから、そりゃ稼ぎたくもなりますよね。
で、彼らの才能を見込んで、ラスベガスで勝てるように、その技術を教えて訓練していくMITの教授を演じるのが、ケヴィン・スペイシー。裏の顔がありそうな雰囲気をぷんぷん匂わせて登場。独特の存在感で物語を引っ張っていくのですが、本当にこういう人、いそうでコワいです。
ケヴィン・スペイシー演じる教授の秘密のゼミに参加するベン(左端)。このときは、真面目でちょっとダサ目の大学生だったのに……。
もともとは、女の子と遊ぶよりもロボット大会に出ることが一番の目標!みたいな真面目な秀才オタク系の青年だった主人公のベンが、ハーバード大学に進学するための学費を稼ぐためにイヤイヤ手を出した稼業。それがお金を手にしたとたんに、全身ブランドで固めて大変身。ダサい青年がどんどんカッコよくなっていくようすは、見ていてまぶしくて、ちょっと気持ちのいいもの。苦労していた学生だけに、ザクザク稼ぐシーンは気分爽快です。
とはいえやっぱり、必要以上のお金って本当に人生を狂わせるものだなと。大事なものを見失っちゃうわけです。
最後はどうなっちゃうのか……。意外な展開にドキドキしました。
『ラスベガスをぶっつぶせ』
監督:ロバート・ルケティック
製作・出演:ケヴィン・スペイシー
出演:ジム・スタージェス 、ケイト・ボスワース 、ローレンス・フィッシュバーン
有楽座ほか全国公開中
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ハッピー気分になるにはコレ 『幸せになるための27のドレス』 [2008年06月02日(月)]
ちょっと時間が空いてしまって、気づけば6月!
先週末もけっこうたくさん公開されたんですよね。ということで、公開中の要チェックの作品をご紹介します。
まずは、『幸せになるための27のドレス』。
これまでに27人の花嫁付添い人として他人の結婚の世話をしてきた、責任感があってお人よしの主人公ジェーン。いつか自分も幸せな結婚を、と密かに狙っている上司のジョージにアプローチするタイミングを逃しているうちに、美人でワガママなジェーンの妹テスがジョージにアプローチ、2人は急展開の後、結婚することに。それをジェーンは応援できるのか、それとも……というストーリー。
仕事ではしっかりモノで人望も厚いのに、恋愛には臆病、というタイプのジェーンと、女性の友達は少ないけど狙った男には積極的にアプローチできる妹・テス。どちらがモテるかといえば、やっぱりテスになっちゃうのが世の常。男はわかっちゃいない、と思う反面、人の幸せばかり応援していても幸せはやってこない、自分から幸せをつかみに行かなきゃ何も始まらないっていうのが、この作品にあるメッセージなのかなと思います。雑誌の特集でもありそうですけど、待ってるだけでは恋は始まらないってことなんですよね。
前半は、ただ結婚を夢見ているだけのジェーンが、後半ある事件をきっかけに、感情が爆発、それを機に一気に変わっていく。行き過ぎて人を傷つけたりもしていましたが、その流れも含めて共感できて、最後は気持ちよくハッピーになれました。
ところで「花嫁付添い人」というのは、新婦が結婚式の当日輝けるように、ホテルや式場のスタッフの代わりに新婦をよく知る家族や親しい友人がすべての手配を仕切ってあげるんだそう。そんな存在がいてくれたら本当に心強いと思いますが、ジェーンを見てるとめちゃくちゃ大変そう。それでもこういう習慣がちゃんと根付いているアメリカって、ちょっとうらやましいですね。
27のドレスを着るシーンも素敵です。付添い人を務めるのは大変そうですけど、ドレスを着る機会がたくさんあるのは、うらやましいー。
『幸せになるための27のドレス』
監督:アン・フレッチャー
出演:キャサリン・ハイグル、ジェームズ・マースデン、エドワード・バーンズ、マリン・アッカーマン
日比谷みゆき座ほか全国公開中
[c]2008 TWENTIETH CENTURY FOX
おすすめ映画の続きはまた明日!
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皮肉とユーモアたっぷりの会話が最高に楽しい! 『パリ、恋人たちの2日間』 [2008年05月25日(日)]
先週公開、イーサン・ホークが監督の『痛いほど君が好きなのに』は、甘酸っぱい青春の恋を描いた作品でしたが、昨日から公開されている、ジュリー・デルピーが監督の『パリ、恋人たちの2日間』は、30代、オトナの恋を描いた作品。
以前『恋人たちの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』で恋人を演じた2人が、ほぼ同じ時期にラブストーリーの映画を監督しているので、つい比較してしまいますが、描くテーマはかなり違います。どちらも共感できるストーリーですが、30代女子として入り込めるのはどちらかといえばこっちかも。恋に一直線の青春は、ちょっとまぶしすぎるんですよね。
で、『パリ、恋人たちの2日間』のストーリーを。
フランス人写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)とアメリカ人インテリアデザイナーのジャック(アダム・ゴールドバーグ)は、N.Y.在住のカップル。マンネリ気味な関係をリフレッシュするためヴェネチアへバカンスに訪れた2人は、帰国の途中、マリオンの故郷・パリで2日間を過ごすことに。だが、そこで待っていたのは、英語が全く話せない彼女の両親や、次々と現れる彼女の元カレたち。たった2日のことなのに、2人の関係は急変……。
パリのマリオンの実家に着くなり、部屋の建て付けの悪さや水漏れについて不平不満をこぼす潔癖気味のジャックに対し、彼女の両親は「お頭付きウサギ料理」でもてなして、わざと困惑させるような態度。家族も友人も、温かく迎えるというよりは、フランス語がわからない彼を、ちょっと小バカにしたりして。さらに、元カレたちに会ってチヤホヤされることに悪い気はしないマリオンを見て、彼のイライラは最高潮になるというわけ。
とにかく、登場人物たちの会話が皮肉とユーモアたっぷり。歳を重ね、恋人としての付き合いが長くなると、ずっとロマンティックではいられないし、お互いに過去にいろいろあるのも当然のこと。その不安や不満を2人でどうやって解消していくのか。結局男と女は分かり合えないの? なんてことを考えさせられました。
ジュリー・デルピーはこれが監督デビュー作。この作品が評判になって、パリのウディ・アレンと称されているそうですが、それも納得。文化の違いや政治までも話題にしながら、決して重たくせず、絶妙なセンスで笑いに変えている。ユーモアたっぷりのラブコメディです。
『パリ、恋人たちの2日間』
監督:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー、アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール
恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマほか全国公開中
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良質のラブストーリー&サスペンス 『幻影師アイゼンハイム』 [2008年05月23日(金)]
今日ご紹介するのは、『幻影師アイゼンハイム』。幻影師、ちょっと耳慣れない言葉ですが、奇術師、イリュージョニストのことです。
イリュージョンを扱った映画といえば、ヒュー・ジャックマン主演の『プレステージ』が記憶に新しいところ。どちらも大掛かりなイリュージョンを使うという意味ではかぶっていますが、『プレステージ』のほうが好き嫌いが分かれそうな気がします。展開はハデでドキドキさせるんですが、ラストはかなり荒業的な感じが……。それと比べると、『幻影師アイゼンハイム』のほうは、ハデさにはちょっと欠けますが、ラストまで十分に説得力のある展開。イリュージョンにドキドキしながら、ラブストーリーとサスペンスも楽しめる。それぞれがいいバランスに入っています。
舞台は19世紀末のウィーン。一世を風靡していた天才イリュージョニスト・アイゼンハイムは、幼なじみの公爵令嬢ソフィに舞台で偶然再会する。ソフィは、いまやウィーンの皇太子レオポルドの婚約者。幼い頃、身分の違いから引き離された2人が、この再会によって禁断の恋を再燃させる、というストーリー。
ストーリーはフィクションなのですが、キーとなる皇太子レオポルドは実在した人物で、ちょっと暴君的なところは事実が反映されているのだとか。アイゼンハイムが披露する奇術も、大半は当時実際にあったものなのだそう。そう思って観ると、19世紀ウィーンのイリュージョンって、相当レベルが高くて驚きです。
仕掛けの読めないイリュージョンにドキドキしつつ、恋のゆくえについても最後までじっくり見せてくれる作品。パズルが解けるようなラストも爽快。ベタなラブストーリーは苦手、という彼とも一緒に楽しめるので、デート向きかもしれません。
『幻影師アイゼンハイム』
監督:ニール・バーガー
出演:エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール
5月下旬よりシャンテ シネほか全国ロードショー
(C)2006 Yari Film Group Releasing, LLC. All Rights Res
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イケメン王子登場! ベン・バーンズにインタビュー 『ナルニア国物語/第2章 カスピアン王子の角笛』 [2008年05月22日(木)]
こちらがカスピアン王子役のベン・バーンズ。顔立ち全部整ってますが、特に笑ったときの口元、白い歯がすばらしくキレイ☆
昨日から公開の『ナルニア国物語/第2章 カスピアン王子の角笛』。タイトルにもあるとおり、本作の見どころは、ずばり「カスピアン王子」。今日はカスピアン王子役で現在大注目のベン・バーンズのインタビューをご紹介します。
イギリス出身のベン・バーンズは、これまでは主に舞台俳優としての活躍が中心。昨年公開された映画『スターダスト』に出演していたということですが、映画で大役を演じるのはこれが初。
今回の来日では2日間で200本近くという驚異的な取材スケジュールを抱えながら、終始さわやかな笑顔で答えてくれました♪ さすが、王子!
★今回、主役に決まったときの感想は?
決まったという連絡が来たのが深夜3時ごろ。もう嬉しくて、叫びながら家中を走り回ったね(笑)。『ナルニア国物語』の原作本は、8歳のころから大好きだったから、自分が魔法の世界を創る一部となって、次世代の若い人たちのために作品を提供できるということには特別な思いがあります。
★カスピアン王子を演じるうえで気をつけたことは?
いわゆる典型的なハリウッドの王子像を演じたくはなかった。カスピアン王子は、不安を抱えているところに特徴があるからね。自分はまだ指導者になる準備ができていないし、その責任も持ちたくない。自分は王にはふさわしくない、と考えているところが、この役を面白くしているんだと思う。だから、たまに間違いも犯すし。リアルな青年、というところが、従来の王子様と違うところだと思うんだ。
★カスピアン王子との自分自身との共通点を挙げると
カスピアン王子がたどる変遷は、僕自身と共通する部分があると思う。映画の冒頭で、王子は自分に起きた状況に対して非常に驚き、恐がっているところがあるんだけど、僕自身も最初にこの役が決まったときは非常に驚いて緊張していたからね。作品の最後のところでも王子は、まだ与えられた役を務める準備が自分にはできていない、と言うけれど、僕自身も、映画がきっかけでここまで注目されているという状況に対して、完全には準備ができていないと思うので、そんなところも共通しているんじゃないかな。
★カスピアン王子が心惹かれた女性は、か弱いお姫さまではなく勇敢なタイプでしたが、実際には賢くて勇敢な女の子をどう思う?
女性が自立して社会的にも勇敢であることは大切だと思う。とはいってもときには自分がリードするような立場もいいなと思うので……。男としてはどちらの部分も持っていたいかな。
★取材をしていても気品を感じますが……、王子らしく演じるために普段から心がけたことはありましたか?
僕に気品がある? 紅茶を飲んでるからじゃない(笑)?〈取材中、紅茶を飲んでいたので〉
いや、自分としては特に何もすることはなかったんです。すばらしい馬にも乗せてもらったし、剣術も習い、鎧や武器もすばらしいものを与えられて、髪もエクステをして、日焼けをして、スペイン語なまりの方言も教えられて……。すべて周囲が状況を整えてくれたので、自分は現場に入ってセリフを言うだけ。本当にそれだけでした。
★日本の印象はどうですか?
東京しか知らないけれど、みなさんの姿勢や態度が礼儀正しくて、お互いに敬意を表しているように感じます。前回来日したときに、神社でヒット祈願をしたんですが、時間があれば伝統的なものをもっと見てみたい。ニューヨークのように近代的でモダンなところもありながら、街中で着物の女性を見かけたりすることも面白い。
★今回滞在中に行きたいところは?
残念ながら今回は2日間の滞在で200本くらいの取材があって、ジャパンプレミアもあるから、無理かな。また次回絶対来ます。
★この作品の見どころと次回作への意気込みを
見どころは、作品中盤の夜襲のシーン。アクションがたっぷりでスリルがあるし、それぞれのキャラクターの感情の動きも見どころだと思います。あとは、ミラース王(セルジオ・カステリット)のシーンがどれもいいですね。
本作の終わりでは、カスピアンはまだ王になる準備ができていないと言うけれど、次回作では王という立場をどう受け止めて、どう成長するのか。同じ役を続けて演じた経験もないから、そういう意味でも楽しみです。
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本人も語っていましたが、「王子の弱さ」はたしかにこの作品の魅力。ペベンシー四兄妹と王子との関係がちょっとぎこちなかったりするし、途中でも「王子、しっかり!」と言いたくなるようなシーンがいくつもあったりして、王子にうっとりする、というよりは応援しなきゃという気にさせられるんです。で、このフェイスですからね。王子を見守る目線で観ても面白いと思います。
がんばれ、カスピアン王子!
『ナルニア国物語/第2章 カスピアン王子の角笛』
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー、ベン・バーンズ
全国公開中
(c)Disney Enterprises, Inc. and Walden Media LLC. All Rights Reserved.
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イーサン・ホークの自伝的小説がベース 『痛いほどきみが好きなのに』 [2008年05月16日(金)]
ドキドキするラブストーリーって、世の中にたくさんあると思うのですが、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが共演した『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離<ディスタンス>』と、その続編の『ビフォア・サンセット』は、格別のドキドキ感でした。恋する2人の距離感や会話が本当にリアルなんですよねー。
1作目では、列車の中で出会った若い2人が、途中下車してウィーンの街をさまよい歩きながら夜明けまで一緒に過ごした14時間を描いたストーリー。で、彼らの9年後の再会を、同じキャストで9年後に発表したのが続編の『ビフォア・サンセット』。
前作も短い時間を凝縮した内容でしたが、続編は映画の85分間が2人が会っていた85分間という設定なので、観ているほうはまさにリアルタイムで2人の恋の行方を観続けるというわけ。お互いの本当の気持ちを探りあう会話も秀逸。イーサン・ホークとジュリー・デルピーが、9年後にいい感じに年を重ねているところがまた素敵でした。
と、前置きが長くなりましたが、今月、イーサン・ホークとジュリー・デルピーがそれぞれ監督、出演している映画が公開されます。2人の作品自体は「ビフォア」シリーズと関連があるわけではありませんが、こちらもまた、リアルでドキドキするラブストーリーです。
今日ご紹介するのはイーサン・ホークの『痛いほどきみが好きなのに』。
若手俳優のウィリアムが行きつけのバーで歌手を目指すサラと出会う。2人は意気投合するけれど、その関係にはちょっと温度差が。運命の恋と信じて、サラとの恋愛が人生の全てになっているウィリアムに対して「セックスしたら、もっと好きになりそうだから怖い」と拒んでみたり「私には私だけの時間も必要」と、歌を優先させてみたり。そんなサラも2人きりのメキシコ旅行では急に情熱的になったりする。2人の恋はどうなる? というストーリー。
恋愛って、どちらか一方の気持ちが強すぎると途端に相手の気持ちが冷めたりするもの。それがわかっていても、気持ちを抑えるのって難しいし、いったいどう接したらいいの?とモンモンとする青年の話。あまりに正面からぶつかっていくウィリアムがつれなくされるのは、観ていてしのびない。これが包容力のあるうんと年上の女性が相手だったりすると、もうちょっとうまく行くだろうに。あ、でも『人のセックスを笑うな』の恋もやっぱり最後は切なかった気が……。こういう若いときのイタい恋愛経験って、誰もが通る道なのかもしれません。
この映画、デートで観るにはちょっとリアルすぎて、ちょっと反応に困りそう。女友だちと観るのがおすすめです。ひとしきり過去の恋バナで盛り上がれるはず。
来週末公開、ジュリー・デルピーの『パリ、恋人たちの2日間』についてはあらためてご紹介します。こちらはぐっとオトナの恋。でも、やっぱり甘くはないようです。
『痛いほどきみが好きなのに』
監督・脚本・原作・出演:イーサン・ホーク
出演:マーク・ウェバー、カタリーナ・サンディ・モレノ
5月17日より新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー
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監督インタビューもあり! 『マンデラの名もなき看守』 [2008年05月14日(水)]
今週末公開の『マンデラの名もなき看守』。27年にもわたる囚われの生活の後、南アフリカ共和国の初代大統領になったネルソン・マンデラと、彼を担当した看守との秘められた心の交流を描いた、実話を基にした作品です。
1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカで刑務所の看守として働くジェームズ・グレゴリーは、反政府運動の活動家が多く投獄されたロベン島に赴任、黒人の言葉・コーサ語がわかることを理由に、当時最悪のテロリストとされるネルソン・マンデラ担当に抜擢される。グレゴリーの使命は、マンデラの会話をスパイして上層部に伝えること。ところが、マンデラと接するうちに、グレゴリーの中には新しい考え方が生まれ始める。
アパルトヘイト政策のことも、ネルソン・マンデラのことも、教科書的なレベルでは知っていたつもり。ても、いろんな発見のある映画です。
たとえば、当時の南アの白人たちが、極端な政策にどうして素直に従ったのか。アパルトヘイト政策を徹底するために、多くの情報が操作されていたことが描かれています。マンデラが「すべての人たちが平等に生きる社会をめざすこと」を記した「自由憲章」が禁制品として白人たちの目には触れないようにされていたり、白人と黒人を分けるのは神の意志だと教えられていたり。黙って従った白人たちに罪がない、とはいえないけれど、情報操作された社会って恐ろしい。うーん、すごく考えさせられました。
デンマーク出身のビレ・アウグスト監督は、70年代80年代に世界でマンデラ解放キャンペーンが起こったころから彼に興味があったのだそう。インタビューで映画を撮ることになったきっかけについてうかがいました。
ビレ・アウグスト監督は『ペレ』で、19世紀の北欧に暮らす貧しい親子の厳しい現実を描いてます。こちらも、マンデラとは違った意味で、涙……。
「1990年、27年ぶりに解放されたとき、マンデラはそのままケープタウンのタウンスクエアでスピーチをした。その内容が、白人たちを許そう、尊重しあおう、仲直りしよう、というもので、それをテレビで観て、ものすごい人物だと思っていた」ということもあって、今回の脚本に出合って、すぐに映画を撮ることを決意したのだそう。
撮影にあたって、マンデラ本人に長い手紙を書いたという監督。「もともとマンデラは、言論の自由を大事にしていて民主主義の大きな部分を占めると考える人だったので、撮影の許可というよりは、自分の思いを伝える手紙を書いた」のだそう。「返事は期待していなかったのですが、彼の弁護士から連絡があって、OKだと。マンデラは『なるべく現実を尊重してください』と言っていると」。それが、この映画がマンデラ本人が初めて許可した映画だとされる理由。完成した作品のDVDを送ったところ、マンデラの娘から「家族が感謝しています」という手紙が送られてきたそうです。
マンデラとグレゴリーの交流を、じっくり観せる作品。実話を基にしている話ということもあるので、ドキドキワクワクという展開はないのですが、マンデラの偉大さと「人はいつでも変われる」というあたたかいメッセージが感じられます。
『マンデラの名もなき看守』
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ デニス・ヘイスバート ダイアン・クルーガー
5月17日よりシネカノン有楽町1丁目、渋谷シネマGAGA!ほか全国にて順次公開
(C) ARSAM INTERNATIONAL, CHOCHANA BANANA FILMS, X–FILME CREATIVE POOL, FONEMA, FUTURE FILM FILM AFRIKA
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ショートフィルムですが……。 『村田 朋泰展 夢がしゃがんでいる』 [2008年05月13日(火)]
今日ご紹介するのは、映画といってもショートフィルム。平塚市美術館の『村田 朋泰展 夢がしゃがんでいる』の展示の一部です。
スクーターに乗っているのが、「路シリーズ」の主人公
村田朋泰さんは、文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した「睡蓮の人」や、ミスチルの「HERO」のプロモーションビデオで、存在を知るようになってからずーっと気になっている方。手作りの人形やセットを使った立体アニメーションの世界がすごく味わい深いんです。
人形たちは、笑ったり泣いたりと表情を変えることはないんですけど、画面からは感情が伝わってくる。特に、「路シリーズ」という作品に共通している主人公のピアニストは、過去に大切な人やものをなくしているという設定で、どこか淋しげ。「朱の路」「藍の路」はそれぞれ10分くらいですが、何度観てもジーンとしてしまいます。今回は新作「檸檬の路」も上映されました。
かと思えば、平面アニメの作品では「さむらいイカ」とか「さかだちくん」といった能天気なキャラクターもたくさんでてきて、不思議オモシロワールド、といった世界も。こちらはレトロで昭和っぽい雰囲気です。
今回の展覧会は、会場全体が「夢の観光地 三ノ函半島一泊ツアー」という架空のツアーに参加しながら作品を観ていくように構成されています。村田さんの新作、旧作を集めた映像作品は1階のホール「三ノ函映画館」で観られました。どうやら1階の映像作品だけは無料で観られるようで、これは近所なら通ってしまうなー。都内からはちょっと遠いですけど、週末のドライブがてらとか。どうでしょう?
平塚市美術館で25日まで。
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