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笑いっぱなし。でも最後はハッピーな気分に 『JUNO/ジュノ』 [2008年06月13日(金)]
 

明日から公開される『JUNO/ジュノ』。
16歳の女子高生、ジュノが興味本位の1回きりのセックスで妊娠。予想外のトラブルに最初は中絶するつもりが、クラスメートのヒトコトで出産を決意、赤ちゃんが幸せに育つように里親を探して彼らに育ててもらおうとするというお話。

まず、脚本がすばらしい。「中絶は悪だ」とか「十代の母親は子どもにとって不幸だ」とか、そういう一般論で押してくることはなくて、むしろそんなの関係ない、っていうスタンスなんですけど、登場人物たちのちょっとしたセリフや行動に説得力のある温かいメッセージがこもっている。だから、意外な展開になりながらも、全部が腑に落ちるんですよね。

コメディっぽい要素が散りばめられていて、ずーっと笑いっぱなしなんですけど、愛にあふれている。シングルマザーだろうが、離婚経験者だろうが、望まない妊娠だろうが関係なく、それぞれに幸せな家族の形があるんだ、って思わせてくれます。明るく前向きですごくハッピーになれます。ほんとに。

で、なんといっても、魅力はジュノ。サブカル好きでシニカルでクールを装ってるちょっとひねくれた女の子なんですけど、実はひたむきで純粋、という愛すべきキャラクター。危なっかしく見えて、実はブレない。里親候補のカップルのほうが、社会的な立場はしっかりしているのに、ジュノと比べるとかなり子どもっぽいと思えてしまう。


演じているエレン・ペイジは前作の『ハード・キャンディー』ではかわいく見えて実は超猟奇的、という強烈なキャラクターを演じていましたが、今回は一変して誰もが共感できるキャラクターを好演。彼女自身も、美人とかセクシーというくくりではない、独特のポジションにいますが、今後が楽しみな女優さんだと思います。

『JUNO/ジュノ』
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー、
明日よりシャンテ シネほか全国にて公開
(C) 2007 Twentieth Century Fox

この映画、実話がベース!? 『ラスベガスをぶっつぶせ』 [2008年06月03日(火)]
 
今日ご紹介するのも、公開中の作品、『ラスベガスをぶっつぶせ』。

見た目ハデですが、ここに映っている人はみんなMITの天才学生たち。

タイトルを聞いたときはコメディーかと思ったのですが、これはMIT(マサチューセッツ工科大学)に通う数学の天才学生たちが、ラスベガスのカジノに乗り込み、頭脳と記憶力を使ってブラックジャックというカードゲームで勝ち続けるという話。すごいのは、実際にあった話がベースだということ。配られたカードの数字を記憶しながら、残りのカードに何がでてくるかを予測する、「カードカウンティング」という方法を使うらしいのですが、私にはさーっぱり。でも、習得できるんだったら、運頼みのはずのギャンブルに必ず勝てる、となるわけですから、そりゃ稼ぎたくもなりますよね。

で、彼らの才能を見込んで、ラスベガスで勝てるように、その技術を教えて訓練していくMITの教授を演じるのが、ケヴィン・スペイシー。裏の顔がありそうな雰囲気をぷんぷん匂わせて登場。独特の存在感で物語を引っ張っていくのですが、本当にこういう人、いそうでコワいです。

ケヴィン・スペイシー演じる教授の秘密のゼミに参加するベン(左端)。このときは、真面目でちょっとダサ目の大学生だったのに……。

もともとは、女の子と遊ぶよりもロボット大会に出ることが一番の目標!みたいな真面目な秀才オタク系の青年だった主人公のベンが、ハーバード大学に進学するための学費を稼ぐためにイヤイヤ手を出した稼業。それがお金を手にしたとたんに、全身ブランドで固めて大変身。ダサい青年がどんどんカッコよくなっていくようすは、見ていてまぶしくて、ちょっと気持ちのいいもの。苦労していた学生だけに、ザクザク稼ぐシーンは気分爽快です。
とはいえやっぱり、必要以上のお金って本当に人生を狂わせるものだなと。大事なものを見失っちゃうわけです。
最後はどうなっちゃうのか……。意外な展開にドキドキしました。

ラスベガスをぶっつぶせ
監督:ロバート・ルケティック
製作・出演:ケヴィン・スペイシー
出演:ジム・スタージェス 、ケイト・ボスワース 、ローレンス・フィッシュバーン
有楽座ほか全国公開中

良質のラブストーリー&サスペンス 『幻影師アイゼンハイム』 [2008年05月23日(金)]
 
今日ご紹介するのは、『幻影師アイゼンハイム』。幻影師、ちょっと耳慣れない言葉ですが、奇術師、イリュージョニストのことです。



イリュージョンを扱った映画といえば、ヒュー・ジャックマン主演の『プレステージ』が記憶に新しいところ。どちらも大掛かりなイリュージョンを使うという意味ではかぶっていますが、『プレステージ』のほうが好き嫌いが分かれそうな気がします。展開はハデでドキドキさせるんですが、ラストはかなり荒業的な感じが……。それと比べると、『幻影師アイゼンハイム』のほうは、ハデさにはちょっと欠けますが、ラストまで十分に説得力のある展開。イリュージョンにドキドキしながら、ラブストーリーとサスペンスも楽しめる。それぞれがいいバランスに入っています。

舞台は19世紀末のウィーン。一世を風靡していた天才イリュージョニスト・アイゼンハイムは、幼なじみの公爵令嬢ソフィに舞台で偶然再会する。ソフィは、いまやウィーンの皇太子レオポルドの婚約者。幼い頃、身分の違いから引き離された2人が、この再会によって禁断の恋を再燃させる、というストーリー。

ストーリーはフィクションなのですが、キーとなる皇太子レオポルドは実在した人物で、ちょっと暴君的なところは事実が反映されているのだとか。アイゼンハイムが披露する奇術も、大半は当時実際にあったものなのだそう。そう思って観ると、19世紀ウィーンのイリュージョンって、相当レベルが高くて驚きです。



仕掛けの読めないイリュージョンにドキドキしつつ、恋のゆくえについても最後までじっくり見せてくれる作品。パズルが解けるようなラストも爽快。ベタなラブストーリーは苦手、という彼とも一緒に楽しめるので、デート向きかもしれません。

『幻影師アイゼンハイム』
監督:ニール・バーガー
出演:エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール
5月下旬よりシャンテ シネほか全国ロードショー
(C)2006 Yari Film Group Releasing, LLC. All Rights Res

歴史と女性たちに翻弄された天才 『ラフマニノフ ある愛の調べ』 [2008年04月19日(土)]
 
今日から公開の『ラフマニノフ ある愛の調べ』。



ラフマニノフって、ロシアの作曲家であること以外、本人についてはほぼ何の知識もなかったんですが、この映画、楽しめました。
クラシックファン向けの“音楽映画”というよりは「歴史と女性たちに翻弄された天才ラフマニノフと、その妻」というテーマの“恋愛映画”といったほうが、近いんじゃないかなと思います。

冒頭はNYのシーン。ロシア革命から逃れてきたラフマニノフが、カーネギー・ホールでの演奏会で大成功を収める。で、それを機にアメリカ国内を延々ツアーでまわっていくことになります。

彼の演奏はどこでも熱狂的に迎えられるし、待遇も悪くない(列車で移動するのですが、彼らが乗っているのはピアノつきの豪華なサロンのような特別車輌)。でも、本人は日に日に憔悴して、弾けないし、曲も書けない状態に陥ってしまう。

常に不機嫌でイライラしているので、そういう人ってこと?と思って観ていると、回想シーンに変わり、ロシアの時代に若き天才ピアニストとしての才能を認められ、大恋愛も経験するという、演奏家としても作曲家としても華やかで自信に満ちていた時代が描かれる。



その当時のロシアのシーンがどれも本当にきれい。ライラックの森や美しい庭園のあるお屋敷が登場し、女性たちは美しく野生的。こういう環境にいたからこそ、優雅でロマンティックな名曲が生まれたんだなあと思えます。それだけに、その後、ロシア革命の恐怖を経験して、国を捨ててアメリカに逃げてきた彼が、作曲できずに苦しむのは当然といえば当然。

結局、天才が天才として輝くには、いろんな条件が必要なんですね。ラフマニノフの場合は環境もそうですが、女たちの影響、そして妻の腹のくくり方が大きかったようです。アーティストの妻って、本当に大変……。

もちろんラフマニノフの曲も流れます。
恋愛と歴史と音楽がいいバランスで入っている作品。デート向きです!

『ラフマニノフ ある愛の調べ』
監督:パーヴェル・ルンギン
出演:エフゲニー・ツィガノフ
Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマほか全国公開中
(C) 2007 THEMA PRODUCTION JSC (C) 2007 VGTRK ALL RIGHTS RESERVED

絢爛豪華なセットで繰り広げられる、ドロドロの愛憎劇 『王妃の紋章』 [2008年04月15日(火)]
 

もう公開されていますが『王妃の紋章』、すごい映画です。何がすごいかというと、その豪華絢爛なセットと衣装。「瑠璃」という光る柱が使われた宮廷内は七色に輝いていたし、金糸をふんだんに使った衣装はどれも豪華で、全編まばゆいほどにキラキラした世界です。登場する女官やら兵士やら王に仕える人数もとにかく多い。なにせ製作費は50億円! ケタ違いにお金のかかった映画です。

王家のファミリー。衣装がキラキラです。ピンクに光っている柱が瑠璃。この柱がズラリと並んだシーンも圧巻です。
 
ストーリーは中国史上、最も華やかな唐王朝滅亡後の時代を舞台に、宮廷で繰り広げられる愛憎劇を描いています。王と王妃の間は冷え切っていて、王妃は隠れて継子の皇太子と関係を持っていたり、王が王妃の健康のために毎日運んでくる「薬」が、実は「毒薬」だったりと、ドロドロした関係がつぎつぎに明らかになる……。

かなり人間関係はぐちゃぐちゃですが、話自体はとてもわかりやすいので、ちょっと昼のメロドラマを観るような感覚に近いかも。ちょっとあり得ないストーリーですけど、ハマるとスーッと入るこめて楽しめます。特に王妃役のコン・リーの演技が圧巻。毒と知りつつ薬を飲み続けながら、取り憑かれたように菊の刺繍を続けるようすは、狂気を帯びていてゾッとしました。

次第にカラダに毒が回りながらも毅然とした態度。コン・リーが王妃を熱演!

監督は、北京オリンピックの開会式・閉会式の総合プロデューサーを務めることになったチャン・イーモウ。前作の『HERO』『LOVERS』でも、戦闘シーンで広場に数えきれないほどの兵士がズラーッと並んで矢を放つ、といった壮大なシーンがありますが、この作品もしかり。しかも今回、広場には菊の花が敷き詰められていて、戦いが終わったあとは、あっという間に菊が新しいものに置き換えられていく。そういう描写にも王の権力の強大さが出ていたと思います。

戦闘シーンで言えば、忍者部隊に注目です。突然シュルシュルーっと現れて、動きがすばしっこい。登場シーンでは毎回意表を突かれるので、コワいんですけど面白い。アクション映画としても楽しめました。

『王妃の紋章』
監督・脚本:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ユンファ、コン・リー、リウ・イエ、ジェイ・チョウ、リー・マン
東劇ほか全国公開中
(C)Film Partner International Inc.

最後までドッキドキの展開 『フィクサー』 [2008年04月08日(火)]
 
今年のアカデミー賞の作品賞ほかにノミネートされた作品。監督は『ボーン・アイデンティティー』シリーズのトニー・ギルロイ。ボーンシリーズも、息をつかせぬ展開にドキドキでしたが、『フィクサー』もそう。最初は何が起きているのかわからず緊張の連続ですが、ラストに向かってクリアになっていく。時間をさかのぼったり、相手側の立場からのシーンを入れたりして、だんだん全体像がつかめていく過程はかなり快感です。



ただし、扱っているテーマは「ボーン」よりリアル。巨額な薬害訴訟を抱えている巨大製薬会社がNY最大の法律事務所と契約して訴訟を有利に進め、いよいよ解決という段階になって、担当の弁護士が良心の呵責から、ある事実の暴露を決意する。その動きを察知した事務所側が社内のフィクサー(もみけし屋)に事態を収拾させる、というストーリー。

製薬会社の法務部長(ティルダ・スウィントン)、事実の暴露を決意した弁護士(トム・ウィルキンソン)、フィクサー(ジョージ・クルーニー)の3人の駆け引きがメインになるのですが、それぞれに精神状態がギリギリ。

なかでも印象的だったのが、ティルダ・スウィントンが演じる企業の法務部長。訴訟に負けたら3000億円の損出という立場に立たされ、最近部長になったばかりの彼女としては、絶対に失敗できないし、女がどこまでできるか的な意地悪な視線も感じたりして、そのプレッシャーたるや、常に脇汗びっしょり、なのです。

悪い人なんだけど、つい同情したくなってしまう。ピリピリ具合が尋常じゃない法務部長。この役で、ティルダ・スウィントンはアカデミー賞助演女優賞を受賞。

役柄的には悪い人なんですけど、ストレスとプレッシャーでおかしくなりそうな彼女を観ているとつい感情移入してしまう。この演技で、彼女はアカデミー賞の助演女優賞を受賞したのですが、それも納得です。

ジョージ・クルーニーが演じるフィクサー役も、社内では日陰の存在で出世できないうえに、従兄弟の莫大な借金を肩代わりしてイライラしているし、この映画の登場人物はみなどこか病んでます。で、実際にこういう世界って普通にありそうなところが恐ろしい。

大企業が腐敗しきっていたり、登場人物がストレスでどんどん病んでいく姿に批判的なメッセージがこめられつつも、ギリギリの状態にいる人たちだからこそ、とんでもない駆け引きになって、サスペンスとしても面白い。最後の最後まで、目が離せません!

『フィクサー』
監督・脚本:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、シドニー・ポラック
4月12日より、日比谷・みゆき座ほかTOHO系で全国ロードショー
(c)2007 Clayton Productions, LLC

浅野忠信さんのチンギス・ハーン、カッコいい! 『モンゴル』 [2008年04月02日(水)]
 
今日ご紹介するのは『モンゴル』。今年のアカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされたことで、主演の浅野忠信さんの現地入りが話題になっていた、あの作品です。

曲がった剣とか弓矢とか。武器はどれも大ぶりで戦闘シーンは激しく痛そうでした…。

浅野さんが主演ではあるものの、ドイツ、ロシア、カザフスタン、モンゴルの4カ国合作の作品で、監督は、ロシアのセルゲイ・ボロドフ。映画は全編モンゴル語。浅野さんはキャストでただひとりの日本人。しかもチンギス・ハーン役。主演です。

チンギス・ハーンを演じるのにふさわしいアジア系の俳優を探し回った監督が、ぜひ出てほしいとオファーをしたことがきっかけで、浅野さんは単身で中国に乗り込んだのだそう。実はこの映画、浅野さんが出演しているとはいえ日本での公開は未定で、今回のアカデミー賞ノミネートを受けて急遽公開が決まったといういきさつがあるのだとか。観終わって、日本で公開が決まって本当に良かったと思いました。浅野さん、本当に素敵なんです!

素敵といっても、普段の浅野さんから連想されるオシャレで洗練された感じからはほど遠く、ヒゲも髪もぼうぼう。冒頭の囚われのシーンでは、石化しているのでは?っていうくらいに肌もガビガビ。でも、それがテムジン(チンギス・ハーン)の荒々しさとカリスマ性を伝えていて、カッコいいと思えてしまうんです。

この映画のCMやポスターでは、恐そうな戦闘シーンが多いし、チンギス・ハーンって世界を征服した恐い人のイメージがあるので、浅野さんの話題以外ではあまり食指が動かないかもしれませんが(というか、私がそう…)、私はこの映画、壮大な恋愛ドラマとして観ました。子どもの頃に運命的な出会いをした2人が、どんなに仲を引き裂かれても互いを求め合う。テムジンも強いけれど、妻のボルテもそれを上回るくらいに屈強で、彼女の存在があったからこそテムジンは成功したんだということがよくわかる。演じるモンゴル人の女優さんもキリリとしていて魅力的です。

この夫婦、本当にタフ。妻あってのチンギス・ハーンってところもいいんです。

モンゴルの広々とした草原や乾いた土の感じも、映画の雰囲気を盛り上げていますが、あんなに何もない大自然の中で撮影をしたんだと思うと、撮影チームの中に単身で乗り込んで歴史上の大人物を演じたという浅野さんの挑戦が、改めてカッコいいなーと思える。
いろんな意味で元気になれる作品です。

『モンゴル』
監督:セルゲイ・ボドロフ
出演:浅野忠信
4月5日(土)より丸の内TOEI 1、新宿バルト9他にて全国ロードショー
(c) 2007 CTB FILM COMPANY/ANDREYEVSKY FLAG FILM COMPANY/X FILMECREATIVE POOL/KINOFABRIKA/EURASIA FILM.ALL RIGHTS RESERVED.

ウォン・カーウァイの映像美を堪能! 『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 [2008年03月26日(水)]
 
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』。もう公開が始まっていますが、ウォン・カーウァイ監督が初めてアメリカを舞台に英語で撮った作品です。ウォン・カーウァイといえば、私は『花様年華』と『ブエノスアイレス』がすごく好きですが、どのシーンを切り取っても映像が美しいと思える監督。特に赤・黒・ブルーが独特でキレイだなあといつも思います。



今回は舞台もキャストもアジアの要素はゼロなので、かなりいつもと雰囲気が変わるのでは?と思っていたのですが、それでもウォン・カーウァイっぽい。どこを切り取ってもやっぱり絵になる美しさなのです。公開直前に「めざましテレビ」で、来日したウォン・カーウァイ監督にオリジナル映像を撮ってもらうという企画があって、ショーケースに入ったパイをほんの十数秒の映像にまとめていましたが、それだけでも十分に「らしさ」が出てました。パイにクリームがトロリと流れる感じとか、本編にもありますけど、すごく素敵です。

物語のほうは、失恋したエリザベス(ノラ・ジョーンズ)が、元恋人の家の向かいにあるダイナーに彼を探しに来るところから始まります。失恋のショックに苦しむエリザベスに毎晩ブルーベリーパイを用意してくれるオーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)。彼と話すことで、少しずつ慰められていくエリザベス。でも、どうしても終わった恋を引きずってしまう彼女は旅に出ることを決心。そこから長い旅が始まる、という展開に。

グラミー賞シンガーのノラ・ジョーンズが映画初出演、初主演ということでも話題になっていますが、他の出演者との間にまったく違和感なし。というか、すごくスクリーン映えする存在感がありました。子どもっぽく見えたり、すごくセクシーに見えたりと、シーンごとにまったく別の顔になるところも不思議。そして、これは私だけかもしれませんが、アンジェリーナ・ジョリーそっくりに見える瞬間が何度かありました。どうなんだろう、チェックしてみてください。



ジュード・ロウがダイナーの主人という役はちょっと意外な気もしましたが、どこにでもありそうな店の主人という「誰にでも手が届きそうな存在」にジュード・ロウだなんて、思わず妄想したくなるうれしい設定♪ ウォン・カーウァイ監督、わかっていらっしゃいます。

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、レイチェル・ワイズ、エド・ハリス
日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開中
(c)Block 2 PICTURES 2006

ディズニー映画をディズニーがパロディ!? 『魔法にかけられて』 [2008年03月09日(日)]
 
ディズニーのおとぎ話に出てくる、夢見るプリンセスが、現代のニューヨークにやってきたらどうなるか、というのが、この映画。ヒラヒラのドレスも、オトメな言葉遣いももちろん通じず、気味の悪い不思議ちゃん扱い。やさしい笑顔でかわいそうなホームレスのおじさんに声をかければ、ティアラを取って逃げられる、と散々な目に遭ってしまうプリンセス。



こんな大胆なストーリーを作っちゃって大丈夫? とまず心配になりますが、ディズニーをパロディにしているのは本家のディズニー。よくぞやりました、って感じの潔さです。

なかでもキョーレツだったのが、プリンセスが動物たちを呼び寄せるシーン。おとぎ話の世界ではウサギにリスにクマたちが集合ってところですが、現代版では、ニューヨーク中のハトとネズミとゴキブリたちが集まってくるんです。おぞましすぎる光景ですが、プリンセスは彼らを笑顔で迎え、歌いながら一緒にお掃除。すごい!これが正真正銘のプリンセスってことなんだ、と恐れ入りました。

おとぎの世界から現代に迷い込み、途方に暮れていたところを、弁護士のロバートに助けられたプリンセスのジゼル。前半はとにかくジゼルのお姫様的な行動が浮きまくって、笑えるシーンばかりですが、しだいに彼女の魅力が周囲に受け入れられるようになっていく。後半は、ディズニー映画らしいロマンティックな展開が、ちゃんと用意されています。



ジゼル役のエイミー・アダムスもプリンス役のジェームズ・マースデンも、現実社会から浮きまくったクサーい演技が光ってましたが、圧巻なのは魔女役のスーザン・サランドン。子どもが見たら泣き出すくらい、魔女メイクがカンペキで迫力ありました。

うっとりできるし笑えるしで、本当に楽しい映画です。ディズニー映画だと照れてしまう彼でも、これは楽しめるはず。デートにもおススメです。

『魔法にかけられて』
監督:ケヴィン・リマ
出演:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、ジェームズ・マースデン、スーザン・サランドン
3月14日より日劇3ほか全国ロードショー
(c) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

スタイリッシュなゆるゆる映画『ダージリン急行』 [2008年03月08日(土)]
 
今日から公開の『ダージリン急行』。監督は、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソン。どちらにも共通するのは、ユーモアのあるスタイリッシュなゆるさみたいなものかな、と思うのですが、この作品もやはりウェス・アンダーソンらしい。「いい話」をベタにせず、オシャレーな感じに描いてます。



父親の死をきっかけに疎遠になっていた3兄弟が、長男の呼びかけで1年ぶりに再会、インドを横断する列車の旅に出るというストーリー。旅の前半、列車の中でドタバタ事件ばかり起こす3人。いいオトナが揃って何やってんだか、って感じで笑っちゃうのですが、どこかお互いに警戒し合ってもいる。相手にパスポートは預けたくない、みたいな感じで。それが途中、列車を降りてインドの人たちに出会うシーンから、雰囲気がガラリと変わって急に哲学的になっていくのが面白い。

で、彼らの過去の話を交えながら、3人の関係性が変わっていく。バラバラに見えていた3人が(顔も全然違うんですけど)すごく兄弟っぽくなる。でも、しんみりとはせず、あくまでもさわやか。



冒頭で次男役のエイドリアン・ブロディが列車に乗り込むシーンや、途中にでてくるインドの村で葬式に参列するシーンで、いきなりプロモーションビデオっぽくスローモーションになるんですが、それがすっごくカッコよくて。ストーリーとはあまり関係ないんですけど、一番覚えているシーンです。

アニマル柄の3人の旅行バッグもかわいいなーと思って見ていたら、ルイ・ヴィトンがこの映画のために作った特注品なのだそう。列車から放り投げられたり砂漠を引きずられたりと、ものすごく雑に扱われてましたが、ビクともしていない。さすが。

『ダージリン急行』
監督:ウェス・アンダーソン
出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン
シャンテ シネほか全国ロードショー
(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX
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プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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