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ロマン・デュリスのダンスシーンがステキ!  『PARIS』 [2008年12月23日(火)]
 
重い心臓病を患っている元ダンサーのピエールとその姉エリーズを中心に、パリに暮らす人々の日常を描いている『PARIS』。



教え子の美しい大学生に恋をする歴史学者とその弟。マーケットで野菜を売る男性と、彼と離婚して今は同じマーケットで肉を売る男と暮らす女性……。

登場人物たちの境遇はさまざまで、お金と暇を持て余した人もいれば、明日の命がわからないような人もいる。彼らをドラマティックにつなげていくのではなく、街を見おろして目についた順にクローズアップするように、登場人物たちの日常を見せていく。それがパリに暮らす人たちの層の厚さをリアルに見せていて面白い。



監督はセドリック・クラピッシュ。主演のロマン・デュリスは彼の作品の常連です。前作の『スパニッシュ・アパートメント』、『ロシアン・ドールズ』では、陽気で気ままな役でしたが、今回はまったく逆の、かなり深刻な役に挑戦しています。



ロマン・デュリスは雑誌やパンフレットの写真で見るより映像で観るほうがずっとステキ。表情やしぐさがいいんですね。彼が出ている映画を観るたびに「あれ、こんなにカッコよかったっけ?」って思います。特に今回、ピエールがムーランルージュで踊っていた当時のシーンはセットの美しさもあって、そこだけ何度も繰り返し観たくなるほど。
ぜひ、みなさんも確かめてください。

『PARIS』
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ、アルベール・デュポンテル
(c) CE QUI ME MEUT - STUDIO CANAL- STUDIO CANAL IMAGE – FRANCE2 CINEMA
Bunkamuraル・シネマにて公開中

あっけにとられて、そのあとジーン…… 『ラースと、その彼女』 [2008年12月19日(金)]
 
前半30分でググッとつかまれる映画です。
真面目でシャイな青年・ラースが、初めて恋人ができたと言って兄夫婦を訪ねてくる。そこで紹介するのが、等身大のリアルドール! キツネにつままれたような表情の兄夫婦の前で、人形と並んで座るラースはとても幸せそう。観ているこちらも、ラースには本当に人間に見えているのか、それとも芝居を打っているのかが、まったくわからない。

ブラジルから来た宣教師で、途中でバッグを盗まれてしまった、などと彼女のプロフィールを兄夫婦に説明するラース

その後の食事のシーンでも、彼女の分をさらりと取り分けるラースに、2人はドン引き……


笑っていいのかどうかもよくわからないまま、あっけにとられるシーンですが、この先の展開がまた、全然読めなくて面白い。

医者から、しばらくラースに付き合ってあげなさい、とアドバイスを受けた兄夫婦は、ラースの教会仲間や職場仲間にも事情を説明。小さな街全体がラースとリアルドールの彼女を迎えようという、温かい雰囲気になっていきます。

脚が悪い彼女は、外出するときは車椅子。花をプレゼントしてくれる人も

そんなワケないから! とシラけることなく話に入り込めるのは、脚本の面白さと、ラース役のライアン・ゴズリングの魅力にありそう。おっとりとしていて思わず守ってあげたくなるラースが、すごくハマリ役。前作の『きみに読む物語』でライアンが演じていたのは、身分を越えた愛を貫く情熱的な青年でしたが、今回のちょっと不思議系の役のほうが合っているかも。
ライアン・ゴズリング、この役で一気に好きになりました。

『ラースと、その彼女』
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー、ケリ・ガーナー、
明日より、渋谷シネクイント、池袋シネ・リーブルほか全国ロードショー.
(C)2007 KIMMEL DISTRIBUTION,LLC All Rights Reserved

エグいけど笑える! ハードボイルド香港映画 『エグザイル/絆』 [2008年12月08日(月)]
 
男ばかりがぞろぞろ出てくる映画です。しかも、イケメンというよりは、渋くて味のあるキャストばかり。なのにこんなにドキドキするなんて! というのが、今回ご紹介する『エグザイル/絆』。

この4人、イケメンというよりは味のあるタイプですが、男臭くてカッコいい。手前のアンソニー・ウォンは『インファナル・アフェア』ではトニー・レオンの上司の警官役でした。

舞台はマカオ。ある男のところに、2人の男が彼を殺しに、さらに別の2人がそれを阻止しにやって来る。その5人がかつては幼なじみだった、という設定。彼らは、組の掟に従って殺すべし、という仁義の世界と、男どうしの友情の間で揺れ動くことに。ストーリーの流れは任侠映画風ですが、銃撃シーンなどは、スローモーションで演出されていたりと、とってもスタイリッシュ。

で、銃撃シーンってふつうは笑うところじゃないと思うんですが、この映画では意表を突くような設定が多くて、思わず笑ってしまう。

たとえば、無免許医の家でのシーン。敵と味方が同時に同じ医者から傷の手当を受けていることがバレて、どちらも手術中なのに銃撃開始! すぐ横で切ったり縫ったりしてるのに! こういうスリリングなシーンは初めて。もう、コワいとか危ないを越えて笑うしかない……。エグいけどどこかおかしい。そういうシーンがほかにもいくつか登場します。

男臭いハードボイルドなのに、ところどころに脱力するような笑いも入っている。それを渋い面々の男たちが大真面目に演じるところが、ツボにハマりました。

この映画、ハリウッド・リメイクが決定したそうですが、今回のキャストだからこそのよさが絶対にあるはず。これはぜひ、オリジナル版をおすすめします!

『エグザイル/絆』
監督・製作:ジョニー・トー
出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ジョシー・ホー、ロイ・チョン、ラム・シュ
シネマスクエアとうきゅう、シアター・イメージフォーラムほか全国公開中
(c)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.

これが「実話」だなんて、面白すぎる! 『バンク・ジョブ』 [2008年11月19日(水)]
 

今週末から公開の『バンク・ジョブ』。



銀行強盗の話なのですが、『オーシャンズ』シリーズあたりと比べると強盗のテクニックはかなり地味。ハイテク機器も、プロの技も出てこないんですが、これが強盗映画史上(?)類を観ない面白さ! なぜならば、盗んだものがただのお宝ではない! 偉い人たちのスキャンダルなんです。

舞台は70年代のロンドン。ストーリーは、借金取りに追いかけられてお金に困っている中年男のテリーが、昔の恋人から銀行強盗の話を持ちかけられてその気になり、仲間を集めて地下を堀り金庫の内部に潜入する、というもの。



一行が目指したのは銀行の「貸金庫」。通常の金庫と違って、金品に限らず、絶対に公表したくないものが預けられているケースが多いので、強盗に入ったとしても被害届が出されないはず、という読みもあって狙った場所。ところが、その金庫の中から、警察や政治家、王室までのスキャンダルの証拠がごっそり出てきたものだから、一行は、図らずも国家のトップシークレットを見てしまうことに……。

王室のスキャンダル写真が世間に流れる、なんてことになったら、それこそ国の一大事。そこで、事件を受けてMI-5、MI-6あたりが動き出す。MI-6といえば、ジェームズ・ボンドも所属するところですから、そんなプロフェッショナル集団にシロウト強盗チームが勝てるわけもなく。さらに政治家たちや警察も、バレたら失脚&大スキャンダル確実なので、なりふり構わず動き出す。強盗チームにとってはどうでもいいもののはずなのに、そのせいで命を狙われることになり、事態は大混乱。

そもそも、どうして貸金庫に王室のスキャンダル写真なんかが入ってたの? というあたりにも裏の事情があって、銀行強盗の話の裏に、何重もの伏線が張られている。で、この映画のすごいところは実話をベースにしているっていうことなんです!

映画用に脚色はされているということですが、資料によると、9割が事実とか。実際に、この事件のことは、銀行強盗発生から数日間はイギリスのトップニュースで扱われたらしいのですが、その後、事件が王室のスキャンダルに関わるものだからと「報道禁止令」が発令され、それ以降は報道された形跡も記録もまったくなし、なんだそう。まさに、映画みたいな話! 
そんなエピソードを聞くとさらに興味が湧きますよね。

結末は鮮やか! それにしても、政治家のみなさんも王室関係のみなさんも、脇が甘すぎるんじゃないの?というところに、時代を感じました。

『バンク・ジョブ』
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ、スティーブン・キャンベル・ムーア
11月22日より、シネマライズほか全国順次ロードショー
(c)2007 Baker Street Investors, LLC. All Rights Reserved.

チュート徳井さん×加藤ローサさんのコンビがバツグン! 『天国はまだ遠く』 [2008年11月07日(金)]
 
明日から公開の『天国はまだ遠く』。
瀬尾まいこさんの同名小説を映画化した作品です。



この映画があまりにもよかったので、原作はどんな感じなんだろう? と小説も読んでみましたが、世界観がピッタリ重なっていてまったく違和感なし。わりと短い小説なので、映画では背景が膨らまされてましたが、この小説を気に入っている方が観ても、きっと好きになるんじゃないかなと思います。全体的にほっこりした優しい話なんだけど、どこかクールでもある。その味が映画にも活かされていたと思います。

都会の生活に疲れて、自殺をするなら田舎でひっそりと、と考えたOLの千鶴がたどり着いたのは山奥にひっそり建つ「民宿たむら」。長い間宿泊客もないようなその民宿では田村がひとり自給自足のような生活を続けていた。千鶴は睡眠薬で自殺を図るけれど失敗、そこから2人の不思議な生活が始まる、というストーリー。



とにかくキャストがいいんです。自殺願望のあるOL役が加藤ローサさんというのは最初意外な感じがしましたが、仕事や人間関係に疲れて思いつめてしまうところとマイペースで明るい天然キャラが同居するタイプって、こういう人なんだろうなと思える。これは素じゃないかと思うくらいに自然でした。

そして田村役は、チュートリアルの徳井さん! 最近は、家電芸人、ハンサム芸人としても活躍してますが、テレビで観るときの“おもしろオーラ”を一切消していて、素朴な雰囲気の中にちょっと影がある。きっとこの人、ふだんはこんな感じだろうなと思えるくらい自然体の演技。それでいて、チュートリアルのお笑いにも通じる、テンポと間の取りかたが絶妙。俳優として本格的に出演するのは初めてとのことですが、この役に徳井さんを、と考えた監督のセンスはすばらしいなあと思います。

そんな千鶴と田村のやりとりはボケとツッコミ的な部分もあって息もぴったりなのに、常にちょっと距離がある。後半、田村の影のあるところが少し見えたりして、ちょっとドキドキさせる展開もありました。

でも、ストーリーの顛末より「民宿たむら」で暮らす2人のやりとりをずーっと観ていたくなる。そのくらい、キャラクターに愛着の湧く作品でした。続編、あったらいいのに……。

『天国はまだ遠く』
監督:長澤雅彦
原作:瀬尾まいこ
出演:加藤ローサ、徳井義実、宮川大助、南方英二
明日より シネセゾン渋谷 ほか全国順次ロードショー

(C) 2008『天国はまだ遠く』製作委員会

本日公開! トニー・レオン&金城武の『レッドクリフ Part I』 [2008年11月01日(土)]
 



いよいよ今日から公開の『レッドクリフ Part I』。東京国際映画祭でも主要キャストが来日して、会場を沸かせていましたが、トニー・レオン、金城武ほか豪華キャストが出演、監督は『M:I‐2』のジョン・ウーですから、これは期待できますよね!

個人的にも沸きました、チーム・レッドクリフ。一度載せた写真ですけど、しつこくもう一度!

題材は三国志、なかでも有名な「赤壁の戦い」。
この映画を観るにあたってちょっと資料を見たところ、三国志ファンの層は厚くて、関連書籍、コミック、ゲームが数多く出ている。ゲームだけで100タイトル以上あるそうです。
そんなファンの方にとってはたまらない作品だと思いますが、じゃあファン以外は理解できないのかといえばそんなこともなく。諸葛孔明の名前くらいしか分からなかった超初心者の私でも十分に楽しめました! 

ときは、中国の三国時代。天下統一という野望に燃える曹操(チャン・フォンイー)は80万という圧倒的な兵力で敵国を攻めていた。それに立ち向かったのが、劉備軍の若き天才軍師・諸葛孔明(金城武)と、孫権軍の知将・周瑜(トニー・レオン)。2人は手を組み、6万という兵力で連合軍を結成。兵力では劣るものの、奇策と知略をめぐらして、戦いへ挑んでいくというストーリー。



知的で温厚な孔明を金城武、人徳があって情に厚い武将の周瑜がトニー・レオンが演じているのがぴったり。2人が知り合って、信頼関係を結んでいく過程がいいです。音楽好きの2人が琴を合奏することで通じ合うシーンは映画用のオリジナルエピソードのようですが、ロマンティックな雰囲気も漂って、個人的には最大の見せ場!と思われました。



孔明と周瑜がメインキャラだとすると、サブキャラである劉備軍、孫権軍の武将たちもみな個性的。あ、こういうことするのっていかにもこの人らしい、みたいなことが分かってくると、楽しくなってきます。ちなみに、サブキャラのひとり、周瑜に使える武将の甘興役が中村獅童さんなんですが、荒っぽく一本気な感じがすごく合ってました。

戦闘シーンはとにかく豪華。大スペクタクルです! 若干長すぎる気がしましたが、サブキャラひとりひとりがどうやって戦うかをきちんと撮ってるからなんだと思われます。戦闘シーンこそしっかり観せたい、という監督の思い入れがひしひしと伝わってくるシーンです。

ちなみにサイト内には登場人物の相関関係がわかる「キャラクター&マップ」のページがありました。事前にチェックしておくとストーリーに入っていきやすいかもしれません。

『レッドクリフ Part I』
監督:ジョン・ウー
出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童、リン・チーリン
本日より日劇1ほか全国にて公開
(C) 2008 Three Kingdoms Ltd.
(C) Bai Xiaoyan

お気に入りはどの子? 『American Teen/アメリカン・ティーン』 [2008年10月10日(金)]
 
明日から公開される『American Teen/アメリカン・ティーン』。アメリカのインディアナ州ワルシャワという保守的な町に住む5人のフツーの高校生が卒業するまでの1年間に密着したドキュメンタリーです。



5人は、ほぼ接点なしというくらいタイプも性格もばらばら。でも、同じクラスにいる限りは影響を与え合う、というところが高校生の世界なんですよね。

裕福な家庭に育ったクラスの女王・メーガンは、勉強も生徒会活動もバッチリ抑えているけれど、性格はかなり問題あり。周りの女子に恋人ができたときの「調子に乗ってんじゃないわ」的な攻撃は、本当に陰湿! ま、後半になって彼女にもナイーブな悩みがあることがわかるんですけどね。

男子の人気者は、バスケ部のエース、コーリン。彼はバスケの腕はピカイチなのに、親からは大学に入れるお金がないから、奨学金をもらえなければ軍隊に行ってほしいといわれてショックを受けてしまう。
内気なオタク男子のジェイクは、マーチングバンドとゲーム以外は全然ダメ。でも運命の彼女がいるはずだと、けっこう積極的に行動するんです。

ハンナは調子のいいときと悪いときで別人のように変わる。これはいいとき。

女子のグループから浮いているサブカル系女子のハンナは、音楽好きの恋人と過ごせればそれでハッピーだったのに、あっさりフラれてしまう。で、その後ハンナと付き合うのが、クラスの超イケメン男子のミッチ。彼がまた、モテるイケメンゆえに、悪気もなくヒドイことする。カッコいいから憎めないところも含めて、ズルいんです。

5人それぞれにドラマティックな展開がありますが、つい肩入れする子が出てくるはず。私はコーリンが「奨学金か軍隊か」という厳しい選択を迫られてスランプに陥るのが、見ていて辛かったですー。

緊張してどんどん成績が出せなくなるコーリン。がんばれ!

狭い世界の中で同じメンバーとすごす高校生活。あの時代特有の甘酸っぱさと息苦しさがリアルに伝わってきます。日本もアメリカも一緒だわ、と共感する部分もあれば、プロムの相手どうする? なーんて、いかにもアメリカ的なエピソードもあって楽しめます。

ラストに向かっては、ドキュメンタリーとしてそれはできすぎじゃないの?的な展開もありましたが、それぞれに「らしい」結末を迎えていました。これって、偶然? それとも結局、人生は傍から見ると「らしい」展開で進んでいくものなんですかね。

エンドロールに5人のその後がつづられていましたが、それもまた、らしかったです。さて、5人の中で西海岸に行ってみたものの、合わなかったのは誰でしょう? その理由も、この子らしいなーと納得できました。

『American Teen/アメリカン・ティーン』
監督:ナネット・バースタイン
出演:ハンナ・ベイリー、コーリン・クレメンズ、メーガン・クリズマティック、ジェイク・トゥッシー、ミッチ・ラインハルト(インディアナ州ワルシャワ・コミュニティ高校3年生たち)
明日より新宿バルト9他全国ロードショー
(c) 2007 by PARAMOUNT VANTAGE, a Division of PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

思い切り笑えて、じんわり感動 『僕らのミライへ逆回転』 [2008年10月05日(日)]
 
ミシェル・ゴンドリー監督の新作『僕らのミライへ逆回転』。
ゴンドリー監督といえば、8月にオムニバス映画『TOKYO!』が公開されましたが、発表する作品はどれも発想がユニーク。『エターナル・サンシャイン』では「記憶除去手術」が存在する世界が描かれるし、『恋愛睡眠のすすめ』では妄想と現実の境がなくなっていく。そういう映像にしにくそうな世界を、とびきりキュートにまとめてしまうところがまた、いいんですよねー。

『エターナル・サンシャイン』で、消されていく記憶の中で、それに抗うように2人で手を取って逃げるシーンとか、脳内をこんな風に描くなんて!と観ていてすごくワクワクしました。未見の方、おすすめです!

で、『僕らのミライへ逆回転』ですが、これも発想がユニーク&手作り感溢れる映像に心和みます。

ストーリーは、つぶれそうなレンタルビデオ店で、ある日店のビデオから映像が消えてしまう事件が発生。店員のマイクの幼なじみ、ジェリーが発電所で感電して超強力な電磁波を帯びてしまったのが原因だとわかり、慌てたふたりは、自作自演で『ゴーストバスターズ』『ライオン・キング』など消えた名作・旧作映画を作りなおす、というもの。

ありあわせの材料で、名作をリメイク。楽しそう!

アルミホイルをカラダに巻きつけて、キラキラのモールを飾った掃除機のホースらしきものを手に持って、近所の図書館で『ゴーストバスターズ』をリメイク。車の部品をカラダにつけて『ロボコップ』の撮影。その場にあるものを使って、名作が次々にリメイクされるんですが、どれも手作り感いっぱい。ヘンだけど見ていると和む。このノリはもしかして、欽ちゃんの仮装大賞!?。

これは『キングコング』のリメイク

監督は、あえて元の映画のシーンをきっちり再現するのではなく、観ていない人がイメージだけで頑張ってリメイクするとこんな感じ、というものにしたのだそう。だから、元の作品を観ている人はもちろんですが、観ていない人も問題なし。元の作品と比較できなくても、イメージだけで十分楽しめます。

幼なじみ2人を演じるのはジャック・ブラックとモス・デフ。特にジャック・ブラックはコメディの本領発揮、という感じで、ちょっとした表情から動きまで、ひとつひとつが本当におかしい。

ジャック・ブラック、いいですよねー。今年は『テネイシャスD』『カンフーパンダ』と出演作が次々に公開されてます。11月には『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』も待機。こちらも期待できそう!

思わず笑っちゃうシーンが満載ですが、この作品のベースになっているのは「映画愛」。終盤、ジーンと感動できるシーンも用意されていて、その感覚はちょっと『ニュー・シネマ・パラダイス』を思わせるような展開でした。

この映画と中でリメイクされた作品をネタにすれば話がいくらでも膨らみそうなので、デート向きともいえそう。公開は来週末です。

『僕らのミライへ逆回転』
監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローヴァー、ミア・ファロー
10月11日よりシネマライズ、シャンテ シネ、新宿バルト9ほかにて全国ロードショー
(C)Newline Productions/Junkyard Productions

古いアパートにはドラマがいっぱい 『東南角部屋二階の女』 [2008年09月17日(水)]
 
この間、近所を散歩していたら、貸本屋さんが休業の貼り紙を出していました。以前からそこにあるのは知っていたんですが、お店の中は見えないし、どういう人が利用するのかも想像つかなかったので、本当に営業していていたんだ!ってことにまず驚きましたが、「健康上の理由で休業します」といった内容だったので、妙に寂しい気持ちになりました。

その店がある界隈は古い昭和の雰囲気そのまんまで、軒先に植木鉢がずらーっと並んでいて季節感もあるし、通るたびに和みます。でも、そこからちょっと歩いただけで、ピカピカの中規模マンションがずらーっと並ぶエリアにつながるので、ここも時間の問題なのかもしれません。散歩好きとしては古くて味のある建物がなくなるのは残念ですが、住んでいる皆さんにはいろんな事情があるんでしょうねー。

そんな「事情」を抱えているのが、この映画『東南角部屋二階の女』の主人公、野上。死んだ父親の借金を背負い、古いアパートが建つ祖父の土地を売ろうとするのです。まだおじいさんも健在なんだしと、周囲からいろいろ言われても、野上にとっては切実なわけで。彼自身もその古アパートに住んで日々祖父を説得するけれど、イエスともノーとも言わず、そもそも聞こえているのかもよくわからない。



で、ひょんなことからそのアパートに、突発的に会社を辞めた野上の後輩と、アパートの更新料が払えずに住むところがなくなったという、野上が以前見合いをした相手の涼子が転がり込んでくる。2人とも自分の現状が嫌で逃げ出したくてしかたがないし、ちょっと被害妄想気味。そういう、人生に行き詰まった3人がアパート暮らしを始めるのです。

イエスともノーとも言わない祖父のところには、毎日近所の居酒屋の女将、ふみさんがやってきては身の回りのことを世話している。でも、二人の関係は不明。マイナス思考の若者3人は、彼らのすぐ近くで淡々と暮らす2人を見ているうちに、少しずつ変わっていく、という話。



西島秀行さんと加瀬亮さんという、実力派の二人の存在感だけでもぐいぐい引き込まれますが、ふみさん役の香川京子さんがとても美しかったです。祖父役の高橋昌也さんとのやり取りが、歳を重ねても常に緊張感のある、古き時代の男女という感じで、とても素敵なのです。

古い建物にはいろんなドラマがあるものだなーと。しみじみとするラストです。


『東南角部屋二階の女』
監督:池田千尋
出演:西島秀俊、加瀬亮、竹花梓、塩見三省、高橋昌也、香川京子
9月20日より渋谷ユーロスペース、シネマックス千葉ほか全国順次公開
(c)2008 Transformer, Inc.

こんな夫婦に憧れる!? 『アキレスと亀』 [2008年09月10日(水)]
 
北野武監督の最新作。ベネチア映画祭でも、受賞は逃しましたが大きな話題になっていました。レッドカーペットに着物姿で登場した樋口可南子さん、美しかったですねー。



裕福な家庭に生まれ、周囲に勧められて絵を描き始めた少年、真知寿(まちす)は、両親の死をきっかけに貧しい生活を強いられることになるが、それでも絵を描き続ける。青年になった真知寿の前に現れた幸子は、彼を理解し支える存在に。絵はいっこうに売れず、貧しい暮らしからは抜けられないが、真知寿の夢を叶えるべく2人は創作活動に没頭していく、という話。



映画の構成は、真知寿の成長に合わせて3つに分けられているのですが、北野映画の中ではとても分かりやすい作品だと思いました。メインに描いているのが夫婦愛ということもあって、観終わって優しい気持ちになる。
でも、いっぽうではかなりシニカル。夢を持ち続けるって本当に厳しいことなのだなあと。

自分の絵が売れないからと、画商にあれこれ言われるままに画風を変えていく真知寿は哀し過ぎて喜劇、という感じ。周囲に認められなくてもわが道を行く、というほど破天荒でもなく、見切りをつけて違う道に進むわけでもない。それでも諦めずにやっていけたのは、夫婦(というより妻)が支えていたからなんだろうなあと思います。

ある意味、幸子は理想の妻なのかも。夫の理解者であり同志。社会から浮きまくろうとも、夫のやりたいことを叶えようとするし、そのためにがんばれる。
青年時代を演じた麻生久美子さんと柳憂怜(柳ユーレイさんが改名したんだそう)の夫婦も味があってよかったんですが、樋口可南子さんとたけしさんの夫婦が本当に素敵でした。



シーンによっては、真知寿が妻にやらせようとしていることが、たけしがかつてバラエティ番組でたけし軍団に対して出していたムチャな態度に重なったりして。で、妻の反応も軍団と同じように「殿に言われたら仕方ない」という愛情で動いているように見えました。樋口さんが「はいはい」って言いながら、ムチャをさせられる。このやり取りは傍から見ると、ちょっとハラハラします。でも2人の世界ではちゃんと成り立っているんですよね。嫌々やらされてるわけではないってところが、夫婦愛、なのかな。

なんだかふと、林家ペーさんとパー子さんを思ってしまった。こちらの2人はきちんと成功も収めていますけどね。

公開は来週末です。

『アキレスと亀』
監督・脚本・編集・挿入画:北野武
出演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬
9月20日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
(c) 2008『アキレスと亀』製作委員会
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プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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