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ハッピー気分になるにはコレ 『幸せになるための27のドレス』 [2008年06月02日(月)]
 
ちょっと時間が空いてしまって、気づけば6月! 
先週末もけっこうたくさん公開されたんですよね。ということで、公開中の要チェックの作品をご紹介します。



まずは、『幸せになるための27のドレス』。
これまでに27人の花嫁付添い人として他人の結婚の世話をしてきた、責任感があってお人よしの主人公ジェーン。いつか自分も幸せな結婚を、と密かに狙っている上司のジョージにアプローチするタイミングを逃しているうちに、美人でワガママなジェーンの妹テスがジョージにアプローチ、2人は急展開の後、結婚することに。それをジェーンは応援できるのか、それとも……というストーリー。

仕事ではしっかりモノで人望も厚いのに、恋愛には臆病、というタイプのジェーンと、女性の友達は少ないけど狙った男には積極的にアプローチできる妹・テス。どちらがモテるかといえば、やっぱりテスになっちゃうのが世の常。男はわかっちゃいない、と思う反面、人の幸せばかり応援していても幸せはやってこない、自分から幸せをつかみに行かなきゃ何も始まらないっていうのが、この作品にあるメッセージなのかなと思います。雑誌の特集でもありそうですけど、待ってるだけでは恋は始まらないってことなんですよね。

前半は、ただ結婚を夢見ているだけのジェーンが、後半ある事件をきっかけに、感情が爆発、それを機に一気に変わっていく。行き過ぎて人を傷つけたりもしていましたが、その流れも含めて共感できて、最後は気持ちよくハッピーになれました。

ところで「花嫁付添い人」というのは、新婦が結婚式の当日輝けるように、ホテルや式場のスタッフの代わりに新婦をよく知る家族や親しい友人がすべての手配を仕切ってあげるんだそう。そんな存在がいてくれたら本当に心強いと思いますが、ジェーンを見てるとめちゃくちゃ大変そう。それでもこういう習慣がちゃんと根付いているアメリカって、ちょっとうらやましいですね。

27のドレスを着るシーンも素敵です。付添い人を務めるのは大変そうですけど、ドレスを着る機会がたくさんあるのは、うらやましいー。


幸せになるための27のドレス
監督:アン・フレッチャー
出演:キャサリン・ハイグル、ジェームズ・マースデン、エドワード・バーンズ、マリン・アッカーマン
日比谷みゆき座ほか全国公開中
[c]2008 TWENTIETH CENTURY FOX 

おすすめ映画の続きはまた明日!

皮肉とユーモアたっぷりの会話が最高に楽しい! 『パリ、恋人たちの2日間』 [2008年05月25日(日)]
 
先週公開、イーサン・ホークが監督の『痛いほど君が好きなのに』は、甘酸っぱい青春の恋を描いた作品でしたが、昨日から公開されている、ジュリー・デルピーが監督の『パリ、恋人たちの2日間』は、30代、オトナの恋を描いた作品。



以前『恋人たちの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』で恋人を演じた2人が、ほぼ同じ時期にラブストーリーの映画を監督しているので、つい比較してしまいますが、描くテーマはかなり違います。どちらも共感できるストーリーですが、30代女子として入り込めるのはどちらかといえばこっちかも。恋に一直線の青春は、ちょっとまぶしすぎるんですよね。

で、『パリ、恋人たちの2日間』のストーリーを。
フランス人写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)とアメリカ人インテリアデザイナーのジャック(アダム・ゴールドバーグ)は、N.Y.在住のカップル。マンネリ気味な関係をリフレッシュするためヴェネチアへバカンスに訪れた2人は、帰国の途中、マリオンの故郷・パリで2日間を過ごすことに。だが、そこで待っていたのは、英語が全く話せない彼女の両親や、次々と現れる彼女の元カレたち。たった2日のことなのに、2人の関係は急変……。

パリのマリオンの実家に着くなり、部屋の建て付けの悪さや水漏れについて不平不満をこぼす潔癖気味のジャックに対し、彼女の両親は「お頭付きウサギ料理」でもてなして、わざと困惑させるような態度。家族も友人も、温かく迎えるというよりは、フランス語がわからない彼を、ちょっと小バカにしたりして。さらに、元カレたちに会ってチヤホヤされることに悪い気はしないマリオンを見て、彼のイライラは最高潮になるというわけ。



とにかく、登場人物たちの会話が皮肉とユーモアたっぷり。歳を重ね、恋人としての付き合いが長くなると、ずっとロマンティックではいられないし、お互いに過去にいろいろあるのも当然のこと。その不安や不満を2人でどうやって解消していくのか。結局男と女は分かり合えないの? なんてことを考えさせられました。

ジュリー・デルピーはこれが監督デビュー作。この作品が評判になって、パリのウディ・アレンと称されているそうですが、それも納得。文化の違いや政治までも話題にしながら、決して重たくせず、絶妙なセンスで笑いに変えている。ユーモアたっぷりのラブコメディです。

『パリ、恋人たちの2日間』
監督:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー、アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール
恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマほか全国公開中

イーサン・ホークの自伝的小説がベース 『痛いほどきみが好きなのに』 [2008年05月16日(金)]
 

ドキドキするラブストーリーって、世の中にたくさんあると思うのですが、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが共演した『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離<ディスタンス>』と、その続編の『ビフォア・サンセット』は、格別のドキドキ感でした。恋する2人の距離感や会話が本当にリアルなんですよねー。

1作目では、列車の中で出会った若い2人が、途中下車してウィーンの街をさまよい歩きながら夜明けまで一緒に過ごした14時間を描いたストーリー。で、彼らの9年後の再会を、同じキャストで9年後に発表したのが続編の『ビフォア・サンセット』。

前作も短い時間を凝縮した内容でしたが、続編は映画の85分間が2人が会っていた85分間という設定なので、観ているほうはまさにリアルタイムで2人の恋の行方を観続けるというわけ。お互いの本当の気持ちを探りあう会話も秀逸。イーサン・ホークとジュリー・デルピーが、9年後にいい感じに年を重ねているところがまた素敵でした。

と、前置きが長くなりましたが、今月、イーサン・ホークとジュリー・デルピーがそれぞれ監督、出演している映画が公開されます。2人の作品自体は「ビフォア」シリーズと関連があるわけではありませんが、こちらもまた、リアルでドキドキするラブストーリーです。

今日ご紹介するのはイーサン・ホークの『痛いほどきみが好きなのに』。



若手俳優のウィリアムが行きつけのバーで歌手を目指すサラと出会う。2人は意気投合するけれど、その関係にはちょっと温度差が。運命の恋と信じて、サラとの恋愛が人生の全てになっているウィリアムに対して「セックスしたら、もっと好きになりそうだから怖い」と拒んでみたり「私には私だけの時間も必要」と、歌を優先させてみたり。そんなサラも2人きりのメキシコ旅行では急に情熱的になったりする。2人の恋はどうなる? というストーリー。

恋愛って、どちらか一方の気持ちが強すぎると途端に相手の気持ちが冷めたりするもの。それがわかっていても、気持ちを抑えるのって難しいし、いったいどう接したらいいの?とモンモンとする青年の話。あまりに正面からぶつかっていくウィリアムがつれなくされるのは、観ていてしのびない。これが包容力のあるうんと年上の女性が相手だったりすると、もうちょっとうまく行くだろうに。あ、でも『人のセックスを笑うな』の恋もやっぱり最後は切なかった気が……。こういう若いときのイタい恋愛経験って、誰もが通る道なのかもしれません。

この映画、デートで観るにはちょっとリアルすぎて、ちょっと反応に困りそう。女友だちと観るのがおすすめです。ひとしきり過去の恋バナで盛り上がれるはず。

来週末公開、ジュリー・デルピーの『パリ、恋人たちの2日間』についてはあらためてご紹介します。こちらはぐっとオトナの恋。でも、やっぱり甘くはないようです。

『痛いほどきみが好きなのに』
監督・脚本・原作・出演:イーサン・ホーク
出演:マーク・ウェバー、カタリーナ・サンディ・モレノ
5月17日より新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー

60年代のミューズ、イーディに注目! 『ファクトリー・ガール』 [2008年03月21日(金)]
 
60年代のニューヨークに「ファクトリー」と呼ばれるスタジオを構えて、ポップ・アートを生み出したアンディ・ウォーホル。彼に見出されて時代のミューズとなった、イーディ・セジウィックを描いた作品です。

アンディ・ウォーホルに愛され、「ファクトリー」のミューズとなったイーディ。

ショートヘアでアイラインのバッチリ入ったメイク、黒タイツにミニワンピというスタイルのイーディは、まさに60年代のファッションアイコン。映画の中でもいろんなファッションが出てきますが、どれもステキで服に注目するだけでもワクワクする映画。今ちょうど旬のミニドレスのスタイルなど、即お手本にしたい着こなしもあるはず。「ファッション・エッセンシャルズ」でも取り上げているので、そちらもチェックしてみてください。

さらにこの映画の見どころは、イーディとアンディ・ウォーホルの複雑な愛情関係にもアリ、なのです。

名家の出身ゆえに優雅で上品、そして美しいイーディに対して、超有名人でありながら、自分のルックスと貧しい移民出身という階級に強烈なコンプレックスを感じているウォーホル。お互いにないものを求め合った2人ですが、イーディのほうがより純粋。ウォーホルに認められて愛されている、ということが素直にうれしくて心からそれに応えようとしているのに、ウォーホルのほうは、かなりクールな感じです。

強烈なカリスマ性がありながら、一方でものすごく嫉妬深くて冷徹な部分もあるウォーホル。イーディが彼とはまったく違うタイプのアーティスト、ボブ・ディランにちょっと惹かれた後の冷酷さがコワいくらい。実際にこういう陰のある人だったのかもと思わせるガイ・ピアースの演技は説得力アリでした。

上品で素直でキュートで誰からも愛されたイーディが、ウォーホルとボブ・ディランから冷たくされてからは急転落。お嬢様ゆえの純真さと、家庭環境でのトラウマがジャマして、したたかには生きられないんですよね。



そんなイーディの壮絶な人生をシエナ・ミラーが体当たりで演じていています。彼女自身も「オシャレ」のイメージが強かったので、女優魂を見た!って感じです。

公開はもう少し先。イーディの写真集と伝記本が出るらしいので、そちらを先にチェックしてもいいかもしれません。

『ファクトリー・ガール』
監督:ジョージ・ヒッケンルーパー
出演:シエナ・ミラー、 ガイ・ピアース、 ヘイデン・クリステンセン、 ジミー・ファロン
4月19日よりシネマライズほかにて公開
(c)2006 Factory Girl,LLC


かわいくって元気になれるストーリー! 『ペネロピ』 [2008年02月29日(金)]
 
明日公開の『ペネロピ』。これは、本当にかわいくて、すがすがしくて。できれば、もっかい観たいですねー。

演じているのは、ブタ鼻をつけてもかわいいクリスティーナ・リッチと、今年注目株のジェームズ・マカヴォイ。

裕福な名家にありながら、先祖にかけられた呪いのせいで、ブタの鼻を持って生まれてきた少女ペネロピ。彼女を心配した両親は何とか呪いを解くために良家の子息と結婚させようとするけれど、候補者たちはペネロピの姿を見るなり逃げ出していく。そんな中、唯一逃げなかったのが、ちょっと陰のある青年マックス。でも、2人はめでたしめでたし、ということにはならず……。傷ついたペネロピは、自分の力で生きていくことを決意して、家を飛び出す、というストーリー。

現代のおとぎ話風の話の展開に、最初のうちは白馬の王子様はいったいだれ? と期待して観ていると、その流れはいったん終了。後半はペネロピが「待ち」から「攻め」に変わって自分で人生を切り開く、という話に変わっていく。

自分を守ってくれる家族やお屋敷から離れて、街に飛び出すペネロピは、鼻を隠すために顔をマフラーで隠していても、目だけはキラキラしている。初めて外の世界に触れて興奮している表情が本当にかわいくって素敵なシーンです。

結局彼女は、ブタの鼻にコンプレックスは持っていても、卑屈になったりせず、実に伸びやか。彼女の誠実さに触れて、出会う人は誰もが彼女を応援するようになる。そんな、ペネロピを側で見守る人たちの存在も丁寧に描かれています。

何かとペネロピの世話を焼くアネゴ役を演じるのは、リース・ウィザースプーン。いつものキャラと違うけど、しっくり合ってました。

白馬の王子様をひたすら待つのでもなく、コンプレックスがあるからと卑屈になるのでもなく、行動して傷ついても前に進めばいいんだ! っていうメッセージは、すごくポジティブ。まさに、観終わってハッピーな気分になれる映画です。

と、ストーリーだけでもオススメですが、ほかにも見どころが。
まず、マックス役のジェームズ・マカヴォイは、今年一番の注目株!っていうくらい、憂いのある甘いマスクが魅力的。まもなく公開の『つぐない』ではキーラ・ナイトレイの相手役も演じています。要チェックです。
そして映画全体の色彩が独特の美しさ。特に、ペネロピの部屋のインテリアや、ファッションがとにかくカラフルでおもちゃ箱みたいなんです。ボタンの色が全部違う紫のコートはバツグンにかわいくて。それがペネロピのキャラに合ってるんですよね。

そして、音楽も。主題歌を歌っているのはシガー・ロスというアイスランドのシンガー。この映画をきっかけに知ったのですが、広がりのある曲はこの映画の世界にピッタリ。

まずは映画のサイトを覗いてみてください。シガー・ロスの音楽とページのビジュアルだけで、もうペネロピの世界に惹き込まれます。

『ペネロピ』
監督:マーク・パランスキー 
出演:クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、キャサリン・オハラ、リース・ウィザースプーン
3月1日よりテアトルタイムズスクエアほか全国順次ロードショー

メリル・ストリープ母娘の共演に注目! 『いつか眠りにつく前に』 [2008年02月17日(日)]
 
この映画は、死の床にある老婦人がうなされて、娘たちが聞いたこともない男性の名を呼び続けるというところから始まります。
その男性というのは、その老婦人、アンが24歳のとき、親友ライラの結婚式に出席するために訪れた海辺の別荘地で出会った相手。そこで彼女は運命的な恋に落ちるのですが、ある事件があったことで2人は結ばれずに別れてしまう。そのことが彼女の中ではずっと心残りだった、というわけなんです。

(c)2007 Focus Features
これが24歳のアン(右)とライラ(左)。結婚式を控えてゆれる気持ちを告白するライラを支えるアン。ライラを演じているのは、メリル・ストリープの娘、メイミー・ガマー。この写真をじっと観てから下の写真をどうぞ。

当時の回想シーンと現在のシーンとを行き来しながら、前半ではアンの運命の恋をドラマティックに描いていますが、いちばんの見どころは、ラスト近くに、病気のアンを見舞いに、メリル・ストリープが演じるライラが訪れるシーン。結婚式以来、何十年かぶりの再会のはずなのに、ライラは挨拶をするなり躊躇なくアンのベッドの中に入り込んで、彼女と向き合う。それが、ライラの結婚式の前の晩に、不安を感じていた彼女のベッドにアンが入ったのとちょうど逆の構図になっている。

アン(右)とライラ(左)ふたたび。こんどのライラは、メリル・ストリープ。同じ役を母娘で共演ということですが、やっぱり似てますよね…。にしても、このシーン、泣けました。

その行動だけでもちょっと意表を突かれましたが、その2人の会話がよかった。恋を諦めたこと、仕事や子育てにも後悔が残るとこぼすアンに、ライラが言葉をかける。そのやりとりに、ジーンときました。メリル・ストリープとヴァネッサ・レッドグレイヴというアカデミー賞女優どうし、というカンロクも手伝っていますが、お互いの娘時代を知っている老婦人の友情って、ぐっとくるものですね。自分が、ばあさんになって弱ったときに、こんな友達がいてくれたら…(涙)って感じです。

アンの話と並行して、アンを看病している娘たちもまた人生に悩んでいる、という話もあり、この映画は、過去の恋の話というより、母と娘、姉と妹、女友達、という女どうしのドラマの部分のほうがメッセージは強いかも。女友達と観にいって、あれこれ語りたくなる映画です。

『いつか眠りにつく前に』
監督:ラホス・コルタイ
出演:クレア・デインズ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、トニ・コレット
2月23日より 日比谷みゆき座ほか全国ロードショー

大胆なベッドシーンと秘められた恋心 『ラスト、コーション』 [2008年02月01日(金)]
 
今週末から公開される『ラスト、コーション』。
『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督の最新作で、主演はトニー・レオンと新人女優のタン・ウェイ。前作『ブロークバック…』はアカデミー賞を受賞しましたが、今回の『ラスト、コーション』では、ヴェネツィア映画祭の金獅子賞を受賞。それだけでもかなりの話題作。

(C)2007 HAISHANG FILMS/WISEPOLICY

舞台は1942年、日本占領下の上海。美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)暗殺の命を受ける。その魅力でイーを誘惑することに成功したワンは、彼と危険な逢瀬を重ねることになる。果たして彼女の計画は実行されるのか…。

大胆なベッドシーンが話題になっていますが、たしかに激しいです。でもこの2人の場合は、出会った経緯からしても、ベッドシーンが激しく刹那的になっていくのは当然の流れなのかも。そこだけ切り取ると過激ですが、いきさつを考えると、それはそうだろうと思えます。

映画の前半、女学生時代のワンが友人に誘われて演劇部に入り、女優として舞台に立つ喜びを覚えたり、先輩のクァン(ワン・リーホン)への淡い思いを抱いていたころは、政治活動はほんの遊びのようなものだったのに、あるところから引き返せなくなる。イーに対してはスパイとして女の武器を最大限に使いながらも、クァンに対しての純粋な恋心も消せない。2人の男性の間で揺れ動くラブストーリーとして観ると、かなり切ないです。

タン・ウェイは、まるで子どものように見えるシーンもあれば、貫禄たっぷりの怖い女に見えるシーンもあり、不思議な魅力があります。特に、チャイナ・ドレスを着ているときは本当に美しい。いやあ、アジア人として、憧れますねー。
トニー・レオンのほうは、オールバックでセクシーですが、今回の役はミステリアスで、何を考えているのかが読めない。でも、サディスティックなふるまいの間に見せる、憂いのある表情。そのギャップにドキドキです!

純朴な女学生的風貌が、チャイナドレスに着替えた瞬間、ぐぐっと女になる。タン・ウェイ、注目です。デコルテのあたりが透けているこのドレスも、本当に美しかった…。

『ラスト、コーション』
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン
2月2日よりシャンテ シネ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開

※アン・リー監督の前作『ブロークバック・マウンテン』の主演、ヒース・レジャーさんが睡眠薬の過剰摂取で先週亡くなりました。すばらしい演技だったし、もっといろんな役が観たかった。本当に残念。ご冥福をお祈りします…。

観たら誰もが彼女に夢中! 『ベティ・ペイジ』 [2007年12月15日(土)]
 


ベティ・ペイジって知っていますか? 50年代アメリカで活躍したピンナップ・ガールで、ファッションアイコン的な存在。裏マリリン・モンローとも呼ばれていたのだそう。詳しく知らなくても、写真は見たことあるって人、多いと思います(私もそうでした…)。

敬虔なクリスチャンの家庭に育ち、勉強熱心な少女だったベティ。大学進学と結婚に失敗したことからニューヨークにやってきて、偶然知り合ったカメラマンのモデルになったことから、彼女のピンナップ・ガールとしてのキャリアがスタートすることに。

50年代のアメリカは、セックスが抑圧されて語ることもタブーだった時代。そんなときに、ボンデージファッションに身を包んだベティ・ペイジの写真は明らかに挑発的で、かなりマニアック。でも、本人は自分の写真にそんな力があるとは思っていないし、撮影現場もスタッフも実に明るく開放的。ピクニックのついでにSM映画を撮影してるって感じなのです。



服を脱いでポーズを撮っているベティは、何の罪悪感もなく、むしろ楽しそう。強制されているのでもなく、何かに挑戦しているわけでもなく、お金のためでもなく、ってところが魅力的なのです。自分のやっていることを恥じるどころか、「神が与えてくれた才能だから」と本心から言っちゃう。しかも、手足を縄で縛られた状態でニコニコしながら。
彼女の中では信仰心を持つこととSM写真のモデルが全く矛盾していない。だから、森の中でヌードになっていても、下着姿でヒョウと戯れても、いやらしい感じがしないんですよね。

お嬢様キャラって、何も知らないからこそ、いかがわしい世界にも先入観なく入っていけるんだなあと妙に納得させられました。本当に天真爛漫でかわいい人ですが、見ていて危なっかしいので、近くにいたらきっと説教しちゃうと思いますけどね。

この映画を観たら、ベティのことが好きになるはず。
演じているグレッチェン・モルがベティ・ペイジにそっくりなのにも、びっくりです。


『ベティ・ペイジ』
監督:メアリー・ハロン
出演:グレッチェン・モル、クリス・バウアー、ジャレッド・ハリス、サラ・ポールソン
本日よりシネマライズ他にて全国公開!

妄想力で女の幸せは手に入るもの!?  『エンジェル』 [2007年12月02日(日)]
 
今日ご紹介するのは『エンジェル』。

(C)2006 - Fidelite Films - Headforce 2 - Scope Pictures - FOZ - Virtual films - Wild Bunch - France 2 Cinema

貧しい家庭に育ちながら、自らが書いた小説でセレブの座を勝ち取り、愛する人を手に入れたイギリスの女流作家・エンジェルの人生を描いたストーリーです。これだけを読むと、テレビドラマにありそうな、けなげにがんばるヒロインを想像しそうですが、エンジェルはかなり変わったヒロイン。妄想力で人生を切り開いていくのです。

自分の生い立ちや、知識のなさ、といったマイナスの部分は見せず、認めず、自分がこうありたい、こうあって当然、という妄想だけを信じて突き進む。女流作家としてデビューしたことをきっかけに、彼女の夢は次々に実現していきます。

観ていてなかなか共感しにくいキャラだし、生意気で謙虚さのカケラもない態度には、イラッとくる。でも全然飽きさせないのは、こういう女のヒトって結局気になるからかも。欲しいものがあったら、分相応かどうか、周りがどう思うかなんて考えずに、パッと手を出す感じ。潔いのです。

たとえ妄想でも、守りより攻めていくほうが人生面白いはず。憎たらしいけど、エンジェルってある意味女の人生の理想かも、なんて思い始めると、ラストに向かって、かなりビターな展開が待っています。そのビターの加減が、なんとも意地が悪く、思わず深いため息。女の人生って、何が幸せなのかしらと考えさせられました。

監督は、『まぼろし』『8人の女たち』のフランソワ・オゾン監督。イギリスの女流作家、エリザベス・テイラーの原作小説を読んで、エンジェルに夢中になったことがこの作品を撮るきっかけになったのだそう。

エンジェルを演じているのはロモーラ・ガライ。生意気だけど純粋なエンジェルを魅力的に演じていました。前にもちょっと書きましたが、彼女はウディ・アレン監督の『タロットカード殺人事件』では、小さい役ですがエンジェルとは間逆の「上流階級のお嬢様」を演じていたんですよね。そのときは、全く雰囲気が違っていたように思います。

前作とイメージが違っていたのは髪の色のせいもあるかも。実際の彼女の髪はブロンドです。

オゾン作品のミューズ、シャーロット・ランプリングも出演しています。彼女の役は、エンジェルをデビューに導いた編集者の妻。いかにも知的でセンスがよい彼女が傍若無人なエンジェルを最初は見下し軽蔑しながらも、徐々に惹かれて認めていくところは、オゾン監督の前作『スイミング・プール』の役とかなり重なる部分が。この2作品は同じテーマを扱っている部分があるのだそうです。言われてみると確かに2人の女性の関係性とか、現実と虚構の境目とか、似ているかも…。気になる方は、ぜひ比べてみてください。

『エンジェル』
監督・脚本:フランソワ・オゾン 
主演:ロモーラ・ガライ、サム・ニール、シャーロット・ランプリング
12月8日より日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

小作品だけど注目!『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』 [2007年11月07日(水)]
 
この映画、アメリカで公開された当初はかなり小規模だったものが、口コミで広がってボックスオフィス6位にまでランクインしたという話題作。
アメリカ映画ってことで、国内だから何かウケる要素があったのかも……、と思っていましたが、観たら納得。人に勧めたくなる映画なのです。

(C) 2007 TWENTIETH CENTURY FOX

舞台はアメリカの田舎町。小さなダイナーでウェイトレスとして働くジェンナは、パイ作りの天才。彼女のオリジナルレシピは、食べる人をみな幸せにするし、同僚も彼女の新作をいつも楽しみにしている。でも、彼女の毎日はストレス続き。なぜなら夫が嫉妬深く、彼女の自由を奪っているから。少しずつ夫に隠れてお金を貯め、いつか家出を、と考えていたジェンナだが、ある日予想外の妊娠が判明。困惑しているジェンナを迎えた産婦人科のポマター先生は、彼女のことを気遣ってくれて二人は急接近。彼女は新しい恋を選ぶのか……?

このヒロイン、こんなワガママな夫なんかさっさと捨てて逃げてもよさそうなのに、意外と耐え忍ぶタイプ。夫をなだめつつ、パイのコンテストに出たいんだけど、いいかな〜? なんて、説得してみるあたり、なんとかうまくやっていこうと努力しているのです。夫には思い切り「オレのためだけに焼けばいい」なんて言われて終わるんですけどね。まるで、夫に黙って従う、ひと昔前の日本のよき妻のよう。その妻が、夫とお腹の子どもと新しい恋人を前に、どういう結論を出すのかが、とても興味深いのです。

この映画、ところどころコメディも入っているし、ミュージカルみたいな大げさな動きもある。特にジェンナ役のケリー・ラッセルの、ちょっと人形っぽい演技がとってもキュート。彼女は『M:I:V』でトム・クルーズの教え子役で出ていた女優さんですが、こっちのほうが断然魅力的に見えました。

ほかのキャストも、ビッグネームはでていませんがそれぞれにキャラクターの濃い人たち。ぽわーんとした可愛いキャラだなーと思って観ていたジェンナの同僚のドーン役は、エイドリアン・シェリー。この作品の監督さんでもありました。でも、公開時には40歳の若さでなくなられたのだそう。それは本当にショックで残念な話。ご冥福をお祈りしたいですし、こんなにさわやかな気持ちになれる映画を作ってくれたことに、感謝です。



『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』
監督・脚本・出演:エイドリアン・シェリー
出演:ケリー・ラッセル、ネイサン・フィリオン、シェリル・ハインズ
11月17日よりシャンテ シネほかにて全国公開
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プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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