監督インタビューもあり! 『マンデラの名もなき看守』 [2008年05月14日(水)]
今週末公開の『マンデラの名もなき看守』。27年にもわたる囚われの生活の後、南アフリカ共和国の初代大統領になったネルソン・マンデラと、彼を担当した看守との秘められた心の交流を描いた、実話を基にした作品です。
1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカで刑務所の看守として働くジェームズ・グレゴリーは、反政府運動の活動家が多く投獄されたロベン島に赴任、黒人の言葉・コーサ語がわかることを理由に、当時最悪のテロリストとされるネルソン・マンデラ担当に抜擢される。グレゴリーの使命は、マンデラの会話をスパイして上層部に伝えること。ところが、マンデラと接するうちに、グレゴリーの中には新しい考え方が生まれ始める。
アパルトヘイト政策のことも、ネルソン・マンデラのことも、教科書的なレベルでは知っていたつもり。ても、いろんな発見のある映画です。
たとえば、当時の南アの白人たちが、極端な政策にどうして素直に従ったのか。アパルトヘイト政策を徹底するために、多くの情報が操作されていたことが描かれています。マンデラが「すべての人たちが平等に生きる社会をめざすこと」を記した「自由憲章」が禁制品として白人たちの目には触れないようにされていたり、白人と黒人を分けるのは神の意志だと教えられていたり。黙って従った白人たちに罪がない、とはいえないけれど、情報操作された社会って恐ろしい。うーん、すごく考えさせられました。
デンマーク出身のビレ・アウグスト監督は、70年代80年代に世界でマンデラ解放キャンペーンが起こったころから彼に興味があったのだそう。インタビューで映画を撮ることになったきっかけについてうかがいました。
ビレ・アウグスト監督は『ペレ』で、19世紀の北欧に暮らす貧しい親子の厳しい現実を描いてます。こちらも、マンデラとは違った意味で、涙……。
「1990年、27年ぶりに解放されたとき、マンデラはそのままケープタウンのタウンスクエアでスピーチをした。その内容が、白人たちを許そう、尊重しあおう、仲直りしよう、というもので、それをテレビで観て、ものすごい人物だと思っていた」ということもあって、今回の脚本に出合って、すぐに映画を撮ることを決意したのだそう。
撮影にあたって、マンデラ本人に長い手紙を書いたという監督。「もともとマンデラは、言論の自由を大事にしていて民主主義の大きな部分を占めると考える人だったので、撮影の許可というよりは、自分の思いを伝える手紙を書いた」のだそう。「返事は期待していなかったのですが、彼の弁護士から連絡があって、OKだと。マンデラは『なるべく現実を尊重してください』と言っていると」。それが、この映画がマンデラ本人が初めて許可した映画だとされる理由。完成した作品のDVDを送ったところ、マンデラの娘から「家族が感謝しています」という手紙が送られてきたそうです。
マンデラとグレゴリーの交流を、じっくり観せる作品。実話を基にしている話ということもあるので、ドキドキワクワクという展開はないのですが、マンデラの偉大さと「人はいつでも変われる」というあたたかいメッセージが感じられます。
『マンデラの名もなき看守』
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ デニス・ヘイスバート ダイアン・クルーガー
5月17日よりシネカノン有楽町1丁目、渋谷シネマGAGA!ほか全国にて順次公開
(C) ARSAM INTERNATIONAL, CHOCHANA BANANA FILMS, X–FILME CREATIVE POOL, FONEMA, FUTURE FILM FILM AFRIKA
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涙なしには語れない文芸大作 『つぐない』 [2008年04月10日(木)]
今月は、今年のアカデミー賞にノミネートされた話題の作品が次々に公開されますね。前回の『フィクサー』もそうですが、今日ご紹介する『つぐない』もそのひとつ。
イアン・マキューアンの小説『贖罪』を映画化したもので、キーラ・ナイトレイと、今年大注目のジェームズ・マカヴォイが、うっとりするほど美しいカップルを演じています。
華奢なキーラは何を着ても美しいのですが、特に鮮やかなグリーンのドレス姿がキレイ! ジェームズ・マカヴォイは最近『ペネロピ』にも出ていましたが、今回の役は真面目で誠実、という感じでこれがまたステキなのです。
彼らを観るだけでも映画館に足を運ぶ価値は十分!ですが、この映画で描かれているテーマはタイトルの通り「犯した過ちを償うとはどういうことなのか」ということ。
実は、かなりずっしりくる作品です。
イギリスの政府官僚の屋敷に生まれた長女セシーリアと、屋敷の使用人の息子・ロビー。惹かれあう2人の微妙な関係を理解できないセシーリアの妹、ブライオニーは、ロビーのことを誤解して、ある嘘をついてしまう。その結果、セシーリアとロビーは決定的に引き離されることになり、ロビーはそのまま戦場の最前線に送り込まれることに。
成長するにつれて自分の誤解に気づき、犯した過ちの大きさを思い知らされたブライオニーは、罪を償うために人生を捧げることになる。そして3人のその後は…、という話。
ちょっとした勘違いから、つい嘘をついてしまう、というのは誰の人生にもありそうな話。でもそれが取り返しのつかない結果を引き起こしてしまった場合、どうやって償ったらいいのか、どうしたら相手に許してもらえるのか……。
もし順調に進んでいたら輝かしい未来があった2人の、悲しい恋の行方を思うと胸が詰まりますが、罪の意識を抱えながら生きるブライオニーの人生を考えてもやっぱり胸が詰まってしまう。
泣ける話なんですが、結局、罪を償うってどういうこと? なんてことについてもすごーく考えさせられる映画。
ひとりで観るより、誰かと一緒に観て語りたくなる作品です。
『つぐない』
監督:ジョー・ライト
原作:イアン・マキューアン
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェイムズ・マカヴォイ、シーアシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ
4月12日より、テアトルタイムズスクエア、シャンテ・シネほか全国にて順次ロードショー
(c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.
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犬映画だけど人間ドラマもたっぷり 『犬と私の10の約束』 [2008年03月15日(土)]
今日から公開の、犬の映画です。
犬映画ならば、カワイくて癒されるし泣けちゃうはず、という期待にちゃんと応えつつ、でもそれだけじゃありません。
犬の愛くるしさとか、不思議な能力といったことを強調している作品ではなくて、主人公の少女あかりちゃんの成長や周囲の人たちのドラマとして観ても、すっごくいい話。そういう意味でも泣ける映画です。
初期のあかりとソックス。「ソックス」という名前は前足の片方が靴下を履いたようになっているから。
あかりがゴールデンレトリバーの「ソックス」を飼い始めるのが、14歳のとき。そこから10年間、一緒にオトナになっていくソックスとあかりを描いています。14歳から24歳までといったら、中学生から大学、就職と、一番環境が変化する時期。片時も離れたくないと思う時期もあれば、犬を飼っていることをちょっと窮屈に感じるような時期もあって、ソックスとの関係も少しずつ変わっていく。その10年間を丁寧に描いています。
キャストでは、あかりの子ども時代を演じる福田麻由子ちゃんと20代を演じる田中麗奈さんの顔と雰囲気がソックリで、いつ変わったのかわからないくらいに(それはさすがに言い過ぎ?)自然だったことに、まずびっくり。幼なじみの無口な少年、星くん役が佐藤祥太くんから加瀬亮さんへつながるのもとても自然でした。どちらもクラシックギターを弾くシーンがありますが、自信はあるけど控えめ、みたいな感じが共通なんです。
オトナになったあかりとソックス。子ども時代からの違和感ゼロ!
少年星くんについては、引越し先が犬禁止の家だからと、あかりが星くんにソックスを預けることになり、駅で見送るシーンがあるんですが、2人の(ソックスと星くん)の切ない表情がよかった。あんな「置いてかないで」って目をされたら、あかりじゃなくとも泣けてくるというもの。
10年間で、実はあかり以上に変わったかもしれない、父親役の豊川悦司さんもすばらしかった。某CMでは上司と部下役でしたけど(いまはマネージャーと女優?)、田中麗奈さんと親娘の関係というのもいい。ハマッてました。
そういえば、最近雑誌で読んだのですが、犬ってニコっと笑うんだそうですね。なんでかというと、飼い主に愛されたいから。飼い主がハッピーなときに、口角が上がっているのを見て、それを真似るようになったんだそう。いい話ですよねー。ソックスもよく笑っていました。
『犬と私の10の約束』
監督:本木克英
出演:田中麗奈、加瀬亮、福田麻由子、池脇千鶴、布施明
本日より公開中
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ファンタジーなんだけど、リアル 『テラビシアにかける橋』 [2008年01月27日(日)]
もうすでに公開されているのですが、『テラビシアにかける橋』について。
この作品はファンタジー小説を映画化したものですが、いわゆるハリー・ポッターやナルニア国、とはちょっと違う位置づけのもの。冒険も魔法も出てこないので、驚き度や話の壮大さという意味では、王道ファンタジー作品には及ばないかも。ですが、この映画を観ると、ファンタジーの世界って、リアルな世界と共存するのも全然あり、というかむしろそのほうが自然かも、という気になりました。
(C)Copyright 2006 Walden Media, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
主人公のジェスは、貧しい家庭に育つ11歳の少年。姉妹4人に囲まれて、家の中では何をするにも窮屈だし、学校でも姉のお下がりを着ているせいでからかわれたりと、常に居心地の悪さを感じていて、唯一彼が幸せを感じるのは、絵を描いているときだけ。
ところが、風変わりな女の子・レスリーが転入してきて、ジェスの生活は一変する。たまたま隣人どうしだった2人は、レスリーのリードで、森の中に空想の王国テラビシアを創り出す。そのことがきっかけで2人は友情を深め、学校でも徐々に自信をもって行動できるようになっていく。
森の中に板や布や食糧を持ち込んで、秘密の場所を作るシーンは観ているだけで楽しいもの。森を領土にしたり、木を敵にしたりと、何かを見立てるような空想遊びって、子どものころはわりとふつうにやってましたよね。そういうことを思い出させてくれるだけでもワクワクするのですが、2人が空想の国を作ったことで、現実社会でも変化が起きていくというのがいい。2人の成長物語としても説得力があって共感できました。
ラストに向かってはかなりショッキングな展開もありますが、それも含めていい話だと思います。
キャストでは、主役の2人がどちらもかなりのベテラン子役。特に、レスリーはどこかで観たなと思ったら『チャーリーとチョコレート工場』で、超嫌味な女の子を演じてました。しっかり演じ分けてますね。さすがです。
『テラビシアにかける橋』
監督:ガボア・クスポ
原作:キャサリン・パターソン
出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ
渋谷東急ほかにて公開中
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いまあらためて、吉永小百合さんの魅力を発見!『母べえ』 [2008年01月23日(水)]
吉永小百合さん主演の『母べえ』が今週末から公開です。
映画は、太平洋戦争の直前に夫を治安維持法違反で検挙されたてしまった妻が、戦争の混乱に巻き込まれながらも希望を捨てずに、2人の娘を育てながら必死に生き抜くというストーリー。その妻「母べえ」役が吉永小百合さんというわけです。
(c)2007「母べえ」製作委員会
吉永小百合さんが大女優なのも美しいのもわかるけど、2人の小さな娘を持つ母親役というのは正直どうなの? と、実は観る前はかなり懐疑的でした。いくらなんでも設定に無理があるんじゃないかと。
ところが! 観終わると「母べえ」にぎゅっと心をつかまれてしまう。夫の無罪を信じ、小さい娘たちを抱えて奔走する吉永さんは、ちっとも不自然ではなく、むしろあの時代のお母さんは、あのくらい落ち着いていないとやっていけなかったのでは、と思わせる説得力がありました。そして、つい「母べえ〜!」と甘えてしまいたくなるオーラは吉永さんならでは。年齢じゃありませんね。
この映画が描いているのは、家族愛であり反戦のメッセージ。夫が不在のまま戦争に突入して、物が不足する中、一人でやりくりして家族を支える母べえの話は、ある意味、戦闘シーンよりもずっとリアルに、戦争に対するやりきれなさを訴えていると思います。
浅野忠信さんが演じる、夫の教え子の山ちゃんが、母べえたちを心配して、たびたびやってきては家の中の雑事を手伝うのですが、それを見て母べえが「家の中に男の人がいるって、それだけでいいわね」みたいなセリフをポツリと言う。これはきっと当時のお母さんたちみんなが感じていたことなんでしょうね。
ところで、この山ちゃんが、かわいいキャラクターで。誠実で頭はいいけど頼りない青年という、ちょっと浅野さんのイメージとは違う役ですが、いい味出してました。母べえを心配する山ちゃんが、実は心配されている、という関係がおかしいのですが、一番インパクトがあったのは、子どもたちを連れて海水浴に出かけた先で山ちゃんが溺れ、それを母べえが泳いで助けに行くというシーン。服を着てガンガン泳ぐ吉永さんが、たくましくてステキでした。
その2人が最後に直面する大きなシーンがあるんですけど、そこまでに至るエピソードが思い出されて思わず涙。すごくジーンときました。
ラストの山ちゃんとのシーンが印象的だったと、吉永さんもコメント。昨年12月の完成披露記者会見で。
ところで、昨年末は、この映画の撮影の記録をまとめたNHKのドキュメンタリーが何度か放送されましたね。女優としての吉永さんが、役作りや周囲から期待されるイメージとの葛藤していた時期があった、なんてエピソードが紹介されていましたが、実は、吉永さんの作品ってほとんど観たことがなかったかも…。
ということで、慌てて過去の作品をいくつかまとめて観ましたが、ちょっと意外だったのが『キューポラのある街』というデビュー作。勝手にお嬢様役なのだと思っていたら、超格差社会の中で、貧困に負けず闘う娘役の吉永さん。修学旅行のお金が払えずにバイトをしたり、裕福な家庭の子に勉強で負けたくない!なんて頑張る姿に、すっかり感情移入してしまいました。ちょっとワイルドな吉永さんもステキ。機会があったら、ぜひこちらもレンタルしてみてください。
『母べえ』
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来、佐藤未来
1月26日より全国にて公開
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辛い現実に負けない母娘の愛に、涙。『サラエボの花』 [2007年11月28日(水)]
今日ご紹介する『サラエボの花』は、ボスニア紛争から10余年たったサラエボを舞台にした映画です。
シングルマザーのエスマは、12歳の娘サラとつつましく暮らしている。スポーツもケンカも強く男の子にも負けないサラの一番の楽しみは、もうすぐ出かける修学旅行。父親が戦死した殉教者なら、旅費が免除されるというのに、エスマはその証明書を出そうとしてくれない。自分の父親は殉死したと聞かされているのに。娘の怒りがしだいに募り、それが母にぶつけられたとき、2人の間の隠された真実が明らかになっていく…という話。
この映画を撮ったヤスミラ・ジュバニッチ監督は1974年生まれ。サラエボで生まれ育った彼女は、映画で描かれているボスニア・ヘルツェゴビナの内戦を実際に体験しています。92年に戦争が始まったときは、数学のテストがキャンセルになったことを無邪気に喜んでいた彼女も、徐々に戦争の恐ろしさを知ることになったそうです。
その最大のものが、戦争戦略として相手の女性に屈辱を与えるために、レイプされる女性が多数いたこと。戦争そのものよりも、そのことがショックだったという彼女は、戦争後もそのトピックについて調べ続けたのですが、監督自身が出産を経験して母性を実感し、今回の映画のアイディアが生まれたのだそうです。
この映画は、戦争が男だけのものではなく、女性たちにとってもどんなに深い傷を負わすかということを語っていますが、そのことだけにフォーカスしているわけではない。描かれているのは、戦争が終わってからの世界。過去の忌まわしい体験に深く傷ついている母親にとって、娘はその傷に一番近い存在。でも一方で、娘を何よりも深く愛する気持ちが彼女の生きる力にもなっているわけで。
娘が無邪気に父親のことを聞きたがることが、母親をどんどん追い詰めていく。娘は母を気遣いながらも、安心させてほしくてさらに問い詰める。そんな母と娘の気持ちの揺れを、とても丁寧に描いています。
サラ役のルナ・ミヨヴィッチちゃんは映画初出演。ボーイッシュですごくかわいい。どこか達観しているようで、実はこどもっぽい12歳の多感な時期を、みずみずしく演じています。
何度か胸が詰まるシーンがありますが、特にラスト近くでエスマが語るところは、いま思い出しても泣けてきます…。
母親の愛って、本当にすごい。
2006年のベルリン国際映画祭でグランプリの金熊賞も受賞した作品。デートで行くにはちょっと重たいかも…ですが、本当に観るべき1本だと思います。
『サラエボの花』
監督・脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ミリャナ・カラノヴィッチ、ルナ・ミヨヴィッチ、レオン・ルチェフ
12月1日より、岩波ホールにてロードショー
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壮絶な人生に涙…『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』 [2007年09月18日(火)]
エディット・ピアフと言われても『愛の賛歌』で有名な伝説的シャンソン歌手、くらいのイメージしか持っていなかったんです。実は。で、この映画を観て、彼女の出生から晩年までの波乱続きの人生に圧倒されました。
(C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION
OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED
路上で生まれ、娼館で育てられ、視力を一時期失い、その後は路上で歌って稼ぐようになる。歌唱力を認められてからも順調にキャリアが進むわけでもない。いつもギリギリのところで生き抜く道を探してきた少女時代について丁寧に描かれているので、大人になった彼女が持つ、肝の据わり方や信仰心の篤さはそういうところからきているんだ、とごく自然に理解できます。
20代から晩年までのピアフを演じているのは、マリオン・コティヤール。彼女の素顔を見ても全然ピアフには結びつかないくらいのなりきりぶりです。ちょっと鼻がつまったようなしゃべり方やヒョコヒョコと歩く姿もピアフのイメージどおり。歌の部分は、大部分は録音されたものをかぶせているそうですが、息遣いがまるで一緒なので違和感がなくて、資料を読むまではピアフの歌声まで習得しているのかと思ってました。
よく知られている曲も流れますが、そこにこめられた意味がわかるので、まったく違って聞こえてきます。
特に、ラストに流れる「水に流して」という曲。
いいえ、ぜんぜん
いいえ、私は何も後悔していない
私に人がしたよいことも
悪いことも
という歌詞はまさにこの映画の締めくくりにぴったりの説得力。
「いいえ、ぜんぜん」と言い切る強さが、ピアフのカッコよさですね。
『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』
監督・脚本 オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール、ジェラール・ドパルデュー、エマニュエル・セニエ
9月29日より、有楽座ほか全国ロードショー
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