MOVIE HUNETER

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いまあらためて、吉永小百合さんの魅力を発見!『母べえ』 [2008年01月23日(水)]
 
吉永小百合さん主演の『母べえ』が今週末から公開です。
映画は、太平洋戦争の直前に夫を治安維持法違反で検挙されたてしまった妻が、戦争の混乱に巻き込まれながらも希望を捨てずに、2人の娘を育てながら必死に生き抜くというストーリー。その妻「母べえ」役が吉永小百合さんというわけです。

(c)2007「母べえ」製作委員会

吉永小百合さんが大女優なのも美しいのもわかるけど、2人の小さな娘を持つ母親役というのは正直どうなの? と、実は観る前はかなり懐疑的でした。いくらなんでも設定に無理があるんじゃないかと。

ところが! 観終わると「母べえ」にぎゅっと心をつかまれてしまう。夫の無罪を信じ、小さい娘たちを抱えて奔走する吉永さんは、ちっとも不自然ではなく、むしろあの時代のお母さんは、あのくらい落ち着いていないとやっていけなかったのでは、と思わせる説得力がありました。そして、つい「母べえ〜!」と甘えてしまいたくなるオーラは吉永さんならでは。年齢じゃありませんね。

この映画が描いているのは、家族愛であり反戦のメッセージ。夫が不在のまま戦争に突入して、物が不足する中、一人でやりくりして家族を支える母べえの話は、ある意味、戦闘シーンよりもずっとリアルに、戦争に対するやりきれなさを訴えていると思います。

浅野忠信さんが演じる、夫の教え子の山ちゃんが、母べえたちを心配して、たびたびやってきては家の中の雑事を手伝うのですが、それを見て母べえが「家の中に男の人がいるって、それだけでいいわね」みたいなセリフをポツリと言う。これはきっと当時のお母さんたちみんなが感じていたことなんでしょうね。

ところで、この山ちゃんが、かわいいキャラクターで。誠実で頭はいいけど頼りない青年という、ちょっと浅野さんのイメージとは違う役ですが、いい味出してました。母べえを心配する山ちゃんが、実は心配されている、という関係がおかしいのですが、一番インパクトがあったのは、子どもたちを連れて海水浴に出かけた先で山ちゃんが溺れ、それを母べえが泳いで助けに行くというシーン。服を着てガンガン泳ぐ吉永さんが、たくましくてステキでした。
その2人が最後に直面する大きなシーンがあるんですけど、そこまでに至るエピソードが思い出されて思わず涙。すごくジーンときました。

ラストの山ちゃんとのシーンが印象的だったと、吉永さんもコメント。昨年12月の完成披露記者会見で。

ところで、昨年末は、この映画の撮影の記録をまとめたNHKのドキュメンタリーが何度か放送されましたね。女優としての吉永さんが、役作りや周囲から期待されるイメージとの葛藤していた時期があった、なんてエピソードが紹介されていましたが、実は、吉永さんの作品ってほとんど観たことがなかったかも…。

ということで、慌てて過去の作品をいくつかまとめて観ましたが、ちょっと意外だったのが『キューポラのある街』というデビュー作。勝手にお嬢様役なのだと思っていたら、超格差社会の中で、貧困に負けず闘う娘役の吉永さん。修学旅行のお金が払えずにバイトをしたり、裕福な家庭の子に勉強で負けたくない!なんて頑張る姿に、すっかり感情移入してしまいました。ちょっとワイルドな吉永さんもステキ。機会があったら、ぜひこちらもレンタルしてみてください。

『母べえ』
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来、佐藤未来
1月26日より全国にて公開

プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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