MOVIE HUNETER

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「中国たたきの映画ではない」とコメント 『いま ここにある風景』記者会見 [2008年06月22日(日)]
 
ちょっと時間が経ってしまいましたが、前回の『いま ここにある風景』の続き。この作品は、産業の発展とともに変化していく風景を世界中で撮り続けている写真家のエドワード・バーティンスキー氏が、中国で撮影した様子を追ったドキュメンタリー。
先日行われた、バーティンスキー氏の来日会見に行ってきました。

カナダを代表する写真家、エドワード・バーティンスキー氏は地球上の産業の風景をテーマに撮り続けている。今回の映画ではなかでも中国の作品に特化しているということ

カナダでの作品。これも映画に登場します
(c)EDWARD BURTYNSKY

冒頭の挨拶で「人間というものが、環境にどんな影響を与えてきたのか、今最も成長している中国の変化を通じて描いたものです」とコメントした氏は、3年間の間に中国を5回訪問、それぞれ約1ヶ月滞在したのだそう。

「3年間の間に、水や空気などさらに環境が破壊されていったことを目にしてショックを受けました。中国に進出している先進国の企業が、自国内では守っている基準を中国では守っていないといういケースもある。そのことにも驚きと悲しみを覚えました」。

巨大ダムに廃棄物の山、といった映像は衝撃的だけれど「この作品は中国を指差して批判するものでも責任を求めるものでもなく、この規模での経済成長が続いたらどうなるかということを、多面的に捉える作品だと考えています」と、中国だけの問題ではないことを強調。「人類の問題として捉えるべき。空気や水や土地を破壊せずに暮らしていくにはどうしたらいいかを考えるきっかけにしてもらいたい」と語りました。

中国たたきの映画ではない。先進国がやってきたこと、われわれの負の部分の映画だと思っている、とバーティンスキー氏

お気に入りのシーンとしては、冒頭にある8分間にわたって工場の内部をノーカットで延々と映し出すシーンを挙げ「私がこの工場を写真に収めたのは、産業がここまで大きく成長してしまったということを見せるためですが、映画のオープニングでこれだけ長いシーンを見せたのは、監督と撮影監督の素晴らしいアイディアによるもの。最近の映画はカット割が多く、スピードも速いので、観ているうちに『いつまで続くのかな…』と落ち着かない気持ちになってしまうでしょう。この映画の世界に入るための瞑想の時間にしてもらえればと思う」とコメント。

ちなみにこちらの工場の製品は、実際に日本でも売られているものだそう。「物事はみな、どこからか来てどこかに行くもの。たとえば人は、欲しいと思ってモノを買い、いらなくなって捨てるけれど、その先にまだモノが行く先がある。それをきちんとつなげて考えられるような作品が撮りたいと思っています」。

うーん。安いから買い、新しいから買い、とサイフを開いている限り、あの風景はなくならないんだと思うと、ちょっと考えてしまう。それくらいにに説得力のある映像でした。

こういうドキュメンタリー、たとえば環境問題を扱った『不都合な真実』とか医療問題を扱った『シッコ』とか、最近公開されたものでは『おいしいコーヒーの真実』なんかもそうですが、いま生きている社会を考えるうえで刺激になる作品は、エンタメ映画と比べるとちょっと地味ですが、チェックしておきたいもの。あえてデートに使って、語ってみるのもいいかもしれません。

公開は来月12日から。

プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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