MOVIE HUNETER

2007年12月
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今年1年を振り返って、のごあいさつ [2007年12月31日(月)]
 
気がついたら、今年最後の更新となってしまいました。
振り返って、みなさんはどんな1年でしたか? 

今日は締めくくりに、2007年の映画の中でよかったなあと思う5作品を選んでみました。振り返りの作業って、けっこう楽しいですよね。
これはあの人と観たとか、観た後どこに行ったかとか、映画以外のことも思い出しながら、みなさんも、ぜひ今年のベストを選んでみてください。

ということで、5本です。

シッコ
今年一番危機感を覚えた作品。アメリカの医療制度、コワすぎます。というか、ヒトゴトじゃない!というコワさに愕然としました。映画というより、社会問題としてショックな内容。
不都合な真実』『それでもボクはやってない』も、それぞれ問題意識を喚起させるドキュメンタリーでしたが、個人的にはこれが一番。多くの方に観ていただきたいです。

オフサイド・ガールズ
オリジナリティあふれる脚本。男装してスタジアムにもぐりこむ少女たちの勇気をユーモアたっぷりに描いていて、心温まるのですが、裏にはイランの社会批判のメッセージもしっかりこめられています。

ミリキタニの猫
アーティストとしてのミリキタニさんの魅力もありますが、9.11を境に、監督とミリキタニさんの関係が変化していくという展開に引き込まれました。監督の予想とまるで違う方向に進んでいく、っていうのはドキュメンタリー映画の面白さですね。

天然コケッコー
忘れて久しい乙女ゴコロを呼び覚ますような、胸がきゅんとする作品。子役俳優さんたちが、田舎の分校の子どもたちをごく自然に演じていたのがすばらしい。長いこと忘れていた、くらもちふさこ熱が再燃! すぐさま原作マンガを揃えました。

鴨とアヒルのコインロッカー
何の気なしに試写会に行って、後半の展開に、身を乗り出して観た作品。原作の面白さをまったく崩さずに映像化していることにびっくりしました。瑛太さんほかメインの4人はもちろん、悪役のハローバイバイ関さんまで、配役もバツグン。

私にとっては、こちらのブログを担当させていただき、充実した1年でした。
もうちょっと更新頻度をあげたい、とか、会見やインタビューも増やしたいと思っているのですが、それは来年の課題として…。

年初はジョニー・デップの来日がまず最初の大イベント。こちらもリポートしますので、お楽しみに!

それでは、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
みなさまよいお年をお迎えください♪

インドとアメリカに生きる家族の大河ドラマ『その名にちなんで』 [2007年12月23日(日)]
 
いよいよクリスマスですね。今日も、心温まるお勧めの映画を。
ミーラー・ナイール監督の『その名にちなんで』です。

(C)2006 Twentieth Century Fox

インドで見合い結婚をしたカップルが、アメリカに移住して家族を作り上げていくようすを30年にわたって描いた物語。原作は、ピュリッツァー賞受賞作家、ジュンパ・ラヒリのベストセラー小説です。彼女はアメリカで生まれたインド系移民の2世で、2つの文化の間に生きる自身の体験からこの小説を執筆。同じようにインドからアメリカにわたって活躍しているナイール監督は、この作品を読んで自分のことのように感じ、そこから映画化の話が始まったのだそう。

タイトルの『その名にちなんで』というのは、主人公のアショケ・ガングリーが息子に「ゴーゴリ」という名前をつけた由来から来ています。とても感動的なエピソードなのですが、この映画の面白さは、ガングリー一家の家族の人生を見つめることにあると思います。

学生時代に出会った老人に「外国に出て世界を知るべき」と言われ、インドを飛び出したアショケ、インドに一時帰国した彼と見合い結婚をして、何もわからないままニューヨークでの新生活を始めることになった、妻のアシマ、ニューヨークでインド系2世として生まれ、アメリカ社会に生きる、息子のゴーゴリと娘のソニア。2つの国への関わり方が違うので、家族の中でもインドとアメリカに対する思いがそれぞれに違うのです。

たとえば、ニューヨークに暮らしても、サリーを着てインド人社会の付き合いを大切にしている母親に対して、息子たちはファッションもライフスタイルも普通のアメリカ人と同じ。息子のガールフレンドに「アシマ」とファーストネームで親しげに呼ばれてギョッとするエピソードとか、日本人に置き換えてもありそうで、なるほどと思ってしまいました。

息子の彼女と対面。ハグにもキスにもやはり戸惑いが…。

こういう問題って、国際結婚をしたり、移民として生きる家庭には常に起こっているんですよね。自分の子どもが流暢に外国語をしゃべって、自分よりずっと簡単にその国になじんでいくのを見るのって、母親としてはどんな気持ちになるんでしょうか。いっぽうで、生まれた国でふつうに暮らしていても、顔つきから外国人として扱われることってどんな気持ちなのか。
この映画は、2つの国に挟まれたアイデンティティの問題について考えるきっかけにもなると思います。

ガングリー一家の30年の歴史。ラストになる頃には、勝手にこの一家を見守ってきたような気になって、とても感慨深い気分になりました。大河ドラマを1本観終わったような満足感です。

『その名にちなんで』
監督:ミーラー・ナイール
出演:タブー、イルファン・カーン、カル・ペン
シャンテ シネほか全国順次公開中

演技派のアダム・サンドラーに注目! 『再会の街で』 [2007年12月21日(金)]
 
いよいよクリスマスの3連休に突入。この週末に映画館に行く方も、きっといますよね?
前々回の『ベティ・ペイジ』は、かわいいけどSM写真が出てくるし、前回の『俺たちフィギュアスケーター』もデートムービーとは言えないし…。このままクリスマスに突入してしまいそうなので、直前ですが、もうちょっとデート向きの作品もご紹介しますね。

今回紹介するのは、『再会の街で』。恋愛モノではありませんが、ジーンと胸がアツくなる作品です。

アラン(左)とチャーリー(右)。アダム・サンドラーに見えないくらい、イメージが違いますよね?

ニューヨークの歯科医アラン(ドン・チードル)は仕事も家庭も順調。ある日彼は、街で大学時代のルームメイト、チャーリー(アダム・サンドラー)を見かけます。かつてはアランと同じく歯科医だったチャーリーは、9.11の飛行機事故で家族を亡くし、長い間消息を絶っていた。変わり果てた外見に戸惑いながら声をかけると、アランのことを覚えていないというチャーリー。その日から、2人は再び友人として付き合い始めることに…。

幸せな生活を送るアランが、喪失感に苦しむチャーリーを放っておけずに助けようとする、という関係からスタートするのですが、しだいに、アラン自身が、自分の中に抱える矛盾やストレスに気づき、友人を必要としていたのは自分のほうかも、と考え始める。
そのあたりをきっかけに、アランがチャーリーに心を開き始めることで展開が変わっていきます。

注目なのは、主演の2人の演技。特にアダム・サンドラーは、ふだんはコメディアンとして能天気な役が多いイメージですが、この作品ではすごくシリアス。ゲームや楽器で子どものようにはしゃぎながらも、どこか痛々しい。ほとんど人と目を合わせませんし。常に家族を失った喪失感で苦しんでいる、悲痛なようすを熱演しています。

大人になってからの腹を割って話せる友人って、ほんとうに大きな存在なんだなあと思うし、誰かに話すことで自分が考えていることがわかるってことは確かにある。そんなことを考えさせられました。

メインは2人の友情の話ですが、アランの診察を指定する不思議な女性患者や、アランの知り合いの精神科医、チャーリーの義理の母、そしてアランの妻など、女性たちとの関係もていねいに描かれています。

チャーリーがいつも乗っている原付スクーター。これ、乗っててすごく気持ちよさそうなのです。
(c)2007 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.

『再会の街で』
脚本・監督:マイク・バインダー
出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル、リヴ・タイラー
明日より恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開.

この冬イチバン笑える映画はコレ! 『俺たちフィギュアスケーター』 [2007年12月19日(水)]
 
どうですか、このビジュアル。正直このデザインの試写状が届いたときは「これは、カフェグローブユーザーには、なしでしょう」と思ってました。ところが、この作品、かなり強力プッシュなのです!

ポスターのビジュアル。ジミー(青いほう)の右手をよーく見るとクジャクの顔になっているんですよー!

なぜならば、面白いんです。単純なストーリーなんですけど、笑っちゃうんです。しばらく時間が経っても思い出し笑いできるくらい、個人的にはツボにはまりました。

主人公は、サラサラヘアで白い歯がまぶしい「ブロンドの貴公子」ジミー・マッケルロイ(ジョン・ヘダー)と、荒っぽい演技で女子を虜にする、チャズ・マイケル・マイケルズ(ウィル・フェレル)。もともとライバルだった2人が、あるいきさつから史上初の男子フィギュアペアを組むことになる、という話。

まったく違うタイプのダメ男子2人が最初はぶつかりながらも、認め合って一緒に頑張る。ふと思い出したのが、トミーとマツ。って、あまりに古すぎて引かれてしまいそうですが…。松崎しげるさん演じるギラギラした女好きのトミーと、国広富之さん演じる、気が弱いのにトミーにからかわれると突然キレてパワーが出るマツ(そういうドラマがあったんです)。特別カッコよくもないのに、コンビを組むと応援したくなっちゃう。そういう、ダメ男の友情って、観ていてワクワクするものじゃないですかね?

スケートのシーンでは、指先から火を噴いたり、手がクジャクの顔になったり、全身電飾の衣装を着たりと、バカバカしくて笑える要素がたっぷりですが、滑っているようすはふつうに競技を観ているようで楽しいし、感動的ですらある。ヘンなキメポーズはあるものの、男子フィギュアペアって本当にありなのでは?なんて思えます。

これが全身光る電飾の衣装。テーマ曲はクイーンの「フラッシュ・ゴードン」!

アメリカでは、『オーシャンズ13』を超える興行収入だったんだとか。あの、豪華キャストのオーシャンズ、ですよ!? その理由としてはキャスト、特にウィル・フェレルのファンがアメリカには多いってこともあるようですけど、やっぱり面白いから、なんだと思います。この映画はコメディだけど、スポ根も、恋愛も、友情も入っている。だから観ていてスカッとするんでしょうね。

と、こんな時期に絶賛しつつ、クリスマスデートには、どうだろう…。下品なネタもいろいろ入っているので、相手から指定してこない限りはやっぱりリスキーかも。できれば、これは体裁を気にしなくていい相手と行くのがよいかと。

最後にきて尻すぼみになりましたが…、本当におすすめですよ。

『俺たちフィギュアスケーター』
監督:ウィル・スペック、ジョシュ・ゴードン
出演:ウィル・フェレル、ジョン・ヘダー
12月22日より渋谷シネマGAGA!なんばパークスシネマ他全国順次ロードショー

観たら誰もが彼女に夢中! 『ベティ・ペイジ』 [2007年12月15日(土)]
 


ベティ・ペイジって知っていますか? 50年代アメリカで活躍したピンナップ・ガールで、ファッションアイコン的な存在。裏マリリン・モンローとも呼ばれていたのだそう。詳しく知らなくても、写真は見たことあるって人、多いと思います(私もそうでした…)。

敬虔なクリスチャンの家庭に育ち、勉強熱心な少女だったベティ。大学進学と結婚に失敗したことからニューヨークにやってきて、偶然知り合ったカメラマンのモデルになったことから、彼女のピンナップ・ガールとしてのキャリアがスタートすることに。

50年代のアメリカは、セックスが抑圧されて語ることもタブーだった時代。そんなときに、ボンデージファッションに身を包んだベティ・ペイジの写真は明らかに挑発的で、かなりマニアック。でも、本人は自分の写真にそんな力があるとは思っていないし、撮影現場もスタッフも実に明るく開放的。ピクニックのついでにSM映画を撮影してるって感じなのです。



服を脱いでポーズを撮っているベティは、何の罪悪感もなく、むしろ楽しそう。強制されているのでもなく、何かに挑戦しているわけでもなく、お金のためでもなく、ってところが魅力的なのです。自分のやっていることを恥じるどころか、「神が与えてくれた才能だから」と本心から言っちゃう。しかも、手足を縄で縛られた状態でニコニコしながら。
彼女の中では信仰心を持つこととSM写真のモデルが全く矛盾していない。だから、森の中でヌードになっていても、下着姿でヒョウと戯れても、いやらしい感じがしないんですよね。

お嬢様キャラって、何も知らないからこそ、いかがわしい世界にも先入観なく入っていけるんだなあと妙に納得させられました。本当に天真爛漫でかわいい人ですが、見ていて危なっかしいので、近くにいたらきっと説教しちゃうと思いますけどね。

この映画を観たら、ベティのことが好きになるはず。
演じているグレッチェン・モルがベティ・ペイジにそっくりなのにも、びっくりです。


『ベティ・ペイジ』
監督:メアリー・ハロン
出演:グレッチェン・モル、クリス・バウアー、ジャレッド・ハリス、サラ・ポールソン
本日よりシネマライズ他にて全国公開!

今年の東京国際映画際で「東京サクラグランプリ」を受賞! 『迷子の警察音楽隊』 [2007年12月13日(木)]
 
今日ご紹介するのは『迷子の警察音楽隊』。10月の東京国際映画際で最優秀賞の「東京サクラグランプリ」に輝いた作品です。



文化交流の演奏旅行のために、イスラエルを訪れたエジプトの警察音楽隊が、何かの手違いで出迎えがなく、空港にポツンと残されることに。大使館に援助を求めようという声があるなか、音楽隊の隊長は自力で会場に行くと言い張る。部下に行き方を探させて、たどりついた場所は、目的地と一文字違いの別の町。ホテルすらない小さな町で途方に暮れていると、食堂の女主人の好意で、メンバーたちは地元民の家に泊まらせてもらうことになる。言葉も通じない彼らだが、一夜の不思議な交流が始まる、という話。

海外に行って、予定外のアクシデントにあったときって焦りますよね。現地の相手に説明したくても、カタコトの英語を話して通じないときの悲しさ。電話をかけて相手に早口でまくしたてられたときの敗北感…。

エジプトのおじさんたちがイスラエルにいっても状況は同じ、ってことにまず深く共感してしまいました。目的地と違う町に着いて途方に暮れる、という状況も、すごくありそうな設定。

音楽隊のメンバーのおじさんたちは、真面目そうな人たちですが、中でも隊長のトゥフィークは堅苦しいほど真面目で、礼儀正しい人。何を勧められても「いえ、私はけっこう」という態度を通す不器用な感じが、昭和の日本のガンコおやじっぽくて、なんだか自分の父親でも観ているようなちょっと懐かしい感じがしました。

言葉が通じなくても、女と見ると音楽の話をして口説く積極的な若手団員のカーレドが、地元のオクテの青年にさりげなく女の子の口説き方を実践して教えるところは、ちょっといい話

劇的な事件が起こるようなものではないけれど、言葉がわからなくてぎこちない空気が流れる中、「サマータイム」のメロディーをきっかけに、ちょっと気持ちが通じたりする。家庭や仕事のことで深刻な悩みを抱えていても、相手と一瞬でも通じ合えたって思えるのはなんかうれしい。そういう小さな交流をていねいに描いています。

アキ・カウリスマキの映画を彷彿とさせるような静かで暗めの画面に、赤や青の服が浮き立つような映像もキレイでした。

『迷子の警察音楽隊』
監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サーレフ・バクリ
12月22日よりシネカノン有楽町2丁目ほか全国順次ロードショー

私たちの念力が世界を変える力に! オノ・ヨーコさん舞台挨拶 [2007年12月09日(日)]
 
昨日に引き続き、『PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン』。今日は、オノ・ヨーコさんの舞台挨拶がありました。

彼女が全面的にバックアップした作品。「ジョンのことを知りたい方はぜひこの映画を観てください」とヨーコさん

映画の上映後に登場、観客に向けて映画に対する思いを語ってくれました。「マスコミは私たちのセンセーショナルな話を書きたがるけれど、私は、ジョンが本当にやりたかったことや、やったことを伝えたかった」のだそう。この映画は、ジョンの本当の姿を伝えているとのこと。「出来上がりをみたときは泣いちゃいました。ずっと一緒に暮らした私にとっては、この映画に出てくることはほんの一部。それでも、2人の苦労や愛し合ったことなど、いいことも悪いことも含めて幸せだったことを思い出しました」。

会場では、「WAR IS OVER IF YOU WANT IT」のプラカードを持った観客の方たちとのフォトセッションがありました。このプラカードこそ、ジョンとヨーコが世界中で展開したアートワーク。このプラカードを各自持ち帰って、街を歩いてもらおうという主催者側のアイディアを「ステキ! ジョンにも見てもらいましょう」と彼女も大絶賛。

観客のみなさんと平和へのメッセージをアピール。壮観です!

その後のマスコミ取材では、日本の若者の引きこもりについてどう思うかという記者の質問に対して、引きこもりの若者を「禅の僧侶」に例えてコメント。「昔は禅の僧侶も引きこもっていた。彼らが書いたお経は、誰の目にも触れないものかもしれませんが、念のような力があったと思うんです。いま引きこもっている若者は、現代の禅僧侶なのかも。私は彼らに、念の力で世界を変えていっていただきたいと思います。実際に活動していなくても、平和を愛するだけでも力になるんです」と言っていたメッセージが印象的でした。キーワードは「念力」だそうですよ。

実際に平和活動をしなくても、じっと念じることでいい。それでもひとりひとりが平和を愛することが大切、という彼女のメッセージは、とてもわかりやすい。まさしく「イマジン」で世界は変わるのかも…、と思えます。

「今の東京は本当に美しくてステキな都市。私は、幼少時に焼け野原になった時代の東京を知っていますから、ここまで東京を変えてきた大和民族の念力はすごいと、今回来日して改めて思いました。日本のことを、世界の片隅の小さな国なんて思わずにどうか世界を変えていっていただきたいと思います」(ヨーコさん)

今年はアイスランドのレイキャビクに「イマジン・ピース・タワー」を完成させたヨーコさん。「ジョンの力がなければできなかったこと。今もジョンと2人で活動していると思っています」とコメント

それにしても。
ジョン・レノンについての話を、ふつうに日本語でしていることがどうにも不思議。ヨーコさんが日本人だから当然、なのですが、通訳を通さずに2人の話が聞けるっていうのはラッキーなことですよね。キツイ方なのではと勝手に想像していましたが、どんな質問にもまっすぐ答えてくれる、とってもチャーミングな方でしたー。

『PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン』
TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開中

ジョン・レノンの命日に公開『PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン』 [2007年12月08日(土)]
 
ジョン・レノンの命日である今日から公開のこちらのドキュメンタリー映画。劇場で観てきました。

あまりにも有名な写真ですが、これはジョンとヨーコの平和のメッセージ。この看板が、世界12都市に掲出されたそうです。東京にも、ということですが、どこにあったんだろう? 当時の写真、見てみたいですよね。
(c) 2006 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

ジョン・レノンといえば、「ザ・ビートルズ」のジョン・レノンのイメージが強いのですが、この作品で描かれているのは、ビートルズ時代というよりは、オノ・ヨーコと出会ってからのジョンがメイン。関係者の証言を交えながら、ジョンとヨーコがどうやって愛と平和のメッセージを伝えてきたかを紹介していきます。

たとえば、「超長髪」のジョンとヨーコが新婚旅行先のアムステルダムでベッドに入ったままインタビューを受けている、有名な「ベッド・イン」の写真や映像。「戦争をする代わりにベッドで過ごそう。髪を伸ばそう、平和になるまで」というメッセージを当時のメディアがどう取り上げたか、取材陣が帰ったあとにジョンとヨーコがどんなことを話していたか、といったエピソードを聞くと、彼らが何を考えながら平和の活動をしていたかが、リアルに伝わってきます。

アメリカ国内で反戦運動を続けるジョンの影響力の大きさを脅威に感じたニクソン政権が、FBIを使って盗聴や監視をしていたこと、ジョンに国外退去を命じていたことも、映画では明らかに。そのころジョンは「ヨーコと僕に何かあれば、それは事故ではない」と友人にもらしていたそうです。

ジョンの影響力がすごかったんだなと思ったのは、彼の歌“Give Peace A Chance(平和をわれらに)”が7月に発表され、その年の11月には、ワシントンD.C.ベトナム戦争反対のデモで25万人が一斉に歌ってたこと。その映像を観て、鳥肌が立ちました。そりゃ、政府も無視できないでしょう。権力を使わず、暴力も使わずに人々の心をつかむって、本当にすごいし、かっこいい。

ジョンとヨーコの平和のキャンペーンとして「WAR IS OVER IF YOU WANT IT」というポスターや看板を世界12都市に自費で出したというエピソードからは、彼らが自分たちの影響力を使って、いかに世界に向けて強力なメッセージを送り続けていたかがわかります。メッセージをこめたアート作品、ですよね。彼らの活動にはアーティストとしてのヨーコの力も欠かせなかったようです。

ジョン・レノンについて、そしてジョンとヨーコについて、いままで断片的に持っていた彼らに対する知識が、この映画でつながって、ストンと理解できたような気がします。

ちょっとわかりにくいのですが、これが、スクリーン前に設置されていた献花台。映画が始まる前に、観客がお花を捧げるのです(手前の白いカーネーションがそう)。

命日ということもあってか、劇場ではジョン・レノンを偲んで献花台が設けられていました。
今日は、今年で7回目を迎えるコンサート「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」あったようですね。
コンサートにも出演されたオノ・ヨーコさんが、明日は劇場で舞台挨拶をされるそうですので、そちらの取材にも行ってみようと思います。

『PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン』
監督:デヴィッド・リーフ 、ジョン・シャインフェルド
監修:オノ・ヨーコ
TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開中


妄想力で女の幸せは手に入るもの!?  『エンジェル』 [2007年12月02日(日)]
 
今日ご紹介するのは『エンジェル』。

(C)2006 - Fidelite Films - Headforce 2 - Scope Pictures - FOZ - Virtual films - Wild Bunch - France 2 Cinema

貧しい家庭に育ちながら、自らが書いた小説でセレブの座を勝ち取り、愛する人を手に入れたイギリスの女流作家・エンジェルの人生を描いたストーリーです。これだけを読むと、テレビドラマにありそうな、けなげにがんばるヒロインを想像しそうですが、エンジェルはかなり変わったヒロイン。妄想力で人生を切り開いていくのです。

自分の生い立ちや、知識のなさ、といったマイナスの部分は見せず、認めず、自分がこうありたい、こうあって当然、という妄想だけを信じて突き進む。女流作家としてデビューしたことをきっかけに、彼女の夢は次々に実現していきます。

観ていてなかなか共感しにくいキャラだし、生意気で謙虚さのカケラもない態度には、イラッとくる。でも全然飽きさせないのは、こういう女のヒトって結局気になるからかも。欲しいものがあったら、分相応かどうか、周りがどう思うかなんて考えずに、パッと手を出す感じ。潔いのです。

たとえ妄想でも、守りより攻めていくほうが人生面白いはず。憎たらしいけど、エンジェルってある意味女の人生の理想かも、なんて思い始めると、ラストに向かって、かなりビターな展開が待っています。そのビターの加減が、なんとも意地が悪く、思わず深いため息。女の人生って、何が幸せなのかしらと考えさせられました。

監督は、『まぼろし』『8人の女たち』のフランソワ・オゾン監督。イギリスの女流作家、エリザベス・テイラーの原作小説を読んで、エンジェルに夢中になったことがこの作品を撮るきっかけになったのだそう。

エンジェルを演じているのはロモーラ・ガライ。生意気だけど純粋なエンジェルを魅力的に演じていました。前にもちょっと書きましたが、彼女はウディ・アレン監督の『タロットカード殺人事件』では、小さい役ですがエンジェルとは間逆の「上流階級のお嬢様」を演じていたんですよね。そのときは、全く雰囲気が違っていたように思います。

前作とイメージが違っていたのは髪の色のせいもあるかも。実際の彼女の髪はブロンドです。

オゾン作品のミューズ、シャーロット・ランプリングも出演しています。彼女の役は、エンジェルをデビューに導いた編集者の妻。いかにも知的でセンスがよい彼女が傍若無人なエンジェルを最初は見下し軽蔑しながらも、徐々に惹かれて認めていくところは、オゾン監督の前作『スイミング・プール』の役とかなり重なる部分が。この2作品は同じテーマを扱っている部分があるのだそうです。言われてみると確かに2人の女性の関係性とか、現実と虚構の境目とか、似ているかも…。気になる方は、ぜひ比べてみてください。

『エンジェル』
監督・脚本:フランソワ・オゾン 
主演:ロモーラ・ガライ、サム・ニール、シャーロット・ランプリング
12月8日より日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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