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かわいくって元気になれるストーリー! 『ペネロピ』 [2008年02月29日(金)]
 
明日公開の『ペネロピ』。これは、本当にかわいくて、すがすがしくて。できれば、もっかい観たいですねー。

演じているのは、ブタ鼻をつけてもかわいいクリスティーナ・リッチと、今年注目株のジェームズ・マカヴォイ。

裕福な名家にありながら、先祖にかけられた呪いのせいで、ブタの鼻を持って生まれてきた少女ペネロピ。彼女を心配した両親は何とか呪いを解くために良家の子息と結婚させようとするけれど、候補者たちはペネロピの姿を見るなり逃げ出していく。そんな中、唯一逃げなかったのが、ちょっと陰のある青年マックス。でも、2人はめでたしめでたし、ということにはならず……。傷ついたペネロピは、自分の力で生きていくことを決意して、家を飛び出す、というストーリー。

現代のおとぎ話風の話の展開に、最初のうちは白馬の王子様はいったいだれ? と期待して観ていると、その流れはいったん終了。後半はペネロピが「待ち」から「攻め」に変わって自分で人生を切り開く、という話に変わっていく。

自分を守ってくれる家族やお屋敷から離れて、街に飛び出すペネロピは、鼻を隠すために顔をマフラーで隠していても、目だけはキラキラしている。初めて外の世界に触れて興奮している表情が本当にかわいくって素敵なシーンです。

結局彼女は、ブタの鼻にコンプレックスは持っていても、卑屈になったりせず、実に伸びやか。彼女の誠実さに触れて、出会う人は誰もが彼女を応援するようになる。そんな、ペネロピを側で見守る人たちの存在も丁寧に描かれています。

何かとペネロピの世話を焼くアネゴ役を演じるのは、リース・ウィザースプーン。いつものキャラと違うけど、しっくり合ってました。

白馬の王子様をひたすら待つのでもなく、コンプレックスがあるからと卑屈になるのでもなく、行動して傷ついても前に進めばいいんだ! っていうメッセージは、すごくポジティブ。まさに、観終わってハッピーな気分になれる映画です。

と、ストーリーだけでもオススメですが、ほかにも見どころが。
まず、マックス役のジェームズ・マカヴォイは、今年一番の注目株!っていうくらい、憂いのある甘いマスクが魅力的。まもなく公開の『つぐない』ではキーラ・ナイトレイの相手役も演じています。要チェックです。
そして映画全体の色彩が独特の美しさ。特に、ペネロピの部屋のインテリアや、ファッションがとにかくカラフルでおもちゃ箱みたいなんです。ボタンの色が全部違う紫のコートはバツグンにかわいくて。それがペネロピのキャラに合ってるんですよね。

そして、音楽も。主題歌を歌っているのはシガー・ロスというアイスランドのシンガー。この映画をきっかけに知ったのですが、広がりのある曲はこの映画の世界にピッタリ。

まずは映画のサイトを覗いてみてください。シガー・ロスの音楽とページのビジュアルだけで、もうペネロピの世界に惹き込まれます。

『ペネロピ』
監督:マーク・パランスキー 
出演:クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、キャサリン・オハラ、リース・ウィザースプーン
3月1日よりテアトルタイムズスクエアほか全国順次ロードショー

ヘイデン・クリステンセン来日! 『ジャンパー』 [2008年02月28日(木)]
 
アカデミー賞、決まりましたね! ってもう3日も経っちゃいましたけど。作品賞はコーエン兄弟の『ノーカントリー』。受賞式で、自分たちが子どものころから映画を撮って遊んでいた、と前置きして「いまだに僕たちに、砂場の片隅で遊ばせてくれて、本当にありがとう」と挨拶していたのが、大上段に構えない素直なコメントで、すごくいいなあと思いました。

さて、『ジャンパー』の主演、ヘイデン・クリステンセンが来日、舞台挨拶に行ってきました! 

舞台挨拶でも、東京の撮影が楽しかったとコメントしていたヘイデン。共演のレイチェル・ビルソンと。

この映画は、自在に空間を移動できるテレポーター“ジャンパー”の能力に目覚めた主人公のデイヴィッドが、金庫からつかんだ大金を元手に、世界を行き来して自由を謳歌していたところを、ある組織から命を狙われることになる…という話。

予告編やCMでもおなじみの、いきなり“グヮン”と空間をつき破って移動するシーンはやっぱり憧れますよねー。まさに、「どこでもドア」。お金も取り放題、旅行し放題、遊び放題なんて、うらやましい……。でも、そんなことが許されるなんてズルい!とこちらが妬み心を出すころに、怖い人たちが現れるという展開。そこからはもう、うらやましがってもいられず、追う方も追われるほうも動きが早いので、もう、緊張の連続です。敵側のボスが白髪のサミュエル・ジャクソンというだけでも、迫力がありますが、ジャンパーを退治するための道具、みたいなものを振り回すのが、とにかくコワイのです。

途中で、もうひとりの“ジャンパー”仲間が現れるのですが、演じているのがジェイミー・ベル。あの『リトルダンサー』の華奢な少年が、こんなに成長したかと感無量ですが、いい感じに逞しくなって、存在感を出してました。

面白かったのが東京のシーン。ジャンプの移動先のひとつ、くらいだろうと思っていたのですが、けっこう長いシーンです。銀座、渋谷、お台場とか、「ここ知ってる!」という場所が出てきて楽しいし、「あれ、そことそこをつなげちゃうんだ!?」みたいな突っ込みどころもあります。

ジャンパーの歴史、みたいな壮大なドラマも隠されていますが、あまり難しいことを考えずに、スカーッと楽しめる作品です。

(c) 2007 Twentieth Century Fox

『ジャンパー』
監督:ダグ・リーマン
出演:ヘイデン・クリステンセン、サミュエル・L・ジャクソン、ジェイミー・ベル 
3月7日より日劇1ほか全国ロードショー

いい子じゃないヒロインが魅力! 『ライラの冒険/黄金の羅針盤』 [2008年02月24日(日)]
 
今週末先行ロードショーで観たかたもいるかもしれませんね。『ライラの冒険/黄金の羅針盤』は、イギリスのファンタジー小説「ライラの冒険」3部作の映画化第1弾。舞台は、人々が“ダイモン”と呼ばれる動物の形をした分身とともに生きるパラレルワールド。親友ロジャーを何者かに連れ去られた少女ライラは、あらゆる物事の真実を示す“黄金の羅針盤”を手に、謎の組織の秘密があるという北の大地へ旅立つ、というストーリーです。

かわいい、というより勇ましいヒロイン、ライラ。

春休みの子ども向けファンタジー映画でしょ、と思って観ると、ぐいぐいと引き込まれます。まず、主役のライラに陰があって魅力的。ここに出ている画像だけだと、かわいらしいお嬢さんのイメージですが、我を通したり、大人を挑発したりと、強気なキャラなのです。ニコール・キッドマンが演じるコールター夫人が、超美人の悪役キャラなので、そちらについ目が行ってしまいますが、ライラもなかなかの策略家。ハリー・ポッターに出てくるかわいい生徒たちに比べると、もっと一匹狼的で勇ましい娘なのです。

そして、世界観が楽しい。登場人物はそれぞれ“ダイモン”と呼ばれる自分の伴侶の動物を連れている。最初は、ペット連れ、くらいにしか思わなかったのですが、ダイモンが痛い目に遭うと、本人も痛みを感じたりして、けっこうダイモンの存在が大きいってことがわかると興味もわいてくる。映画のサイトに行くと心理テスト的な「ダイモン判定」もやっているのでけっこう楽しめます。ちなみに、私のダイモンは、ジャッカルでThaleronという名前。名前までつけられると、愛着を感じたりして……。観ていないと何のことやら?だと思うのですが、映画を観たら絶対に調べたくなるはずです。

あとは、ライラがまたがっているクマがね、いいんですよ。彼はイオレク・バーニソンといって、鎧グマの国を追われたかつての王なんですけど、彼がライラを守るために国に帰って、闘うんです。ライラと出会うシーンでは、イオレクは昼から飲んだくれて、やさぐれている。そこがまず人間っぽくておかしい。で、強面のクマがズラーッと並んでいる、鎧グマの国という設定も面白い。イオレクと今のクマ王の決闘をクマたちが固唾を飲んで見守るシーンも、かなり「クマ萌え」な気持ちになりました。

クマがいっぱい。みんなコワイ顔してますが、よく観ると表情豊かでけっこうかわいい。

残念なのは、大作の宿命として続編を待たなければいけないところ、ですね。続きが気になります……。

『ライラの冒険/黄金の羅針盤』
監督・脚本:クリス・ワイツ
原作:フィリップ・プルマン
出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、サム・エリオット
3月1日より 丸の内ピカデリー1ほか、全国松竹・東急系にてロードショー
TM &(c) MMVII NEW LINE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

いよいよです。今年のアカデミー賞 [2008年02月22日(金)]
 
今年のアカデミー賞の発表は、週明け25日の朝から。
今年は脚本家組合のストの影響で、1月に行われたゴールデングローブ賞は記者会見のみ、華やかな授賞式はなし、という形になったため、アカデミー賞も!? というウワサでしたが、無事にストは解決したもよう。レッドカーペットも見られるはずです。よかった。

ノミネート作品については、すべて観ているわけではないので、なんとも予想できず(マスコミ試写を回している作品も、ものすごく混雑していて入れず、なんてこともあり)。結局、作品賞でこれまでに鑑賞したのは『ノーカントリー』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』2本だけ。
ただし、この2本、予想記事を読むとけっこう有力視されているんですよね。

『ノーカントリー』 3月15日公開予定
(C) 2007 Paramount Vantage, A PARAMOUNT PICTURES company. All Rights Reserved.

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 4月26日公開予定
(C) 2007 by PARAMOUNT VANTAGE, a Division of PARAMOUNT PICTURES and MIRAMAX FILM CORP. All Rights Reserved.


2本とも甘さのない、ガツンと来る作品で、アメリカ社会が持つ得体の知れない怖さというか、業?みたいなものを感じました。とはいえ、『ノーカントリー』については、アメリカの怖さ以前に、謎の暗殺者役のハビエル・バルデムの気味悪さのほうが際立っていたかも。助演男優賞、いけるのではないかと…。

作品賞ノミネートの中では、もうちょっと女性目線のラブや家族愛が入っているであろう『つぐない』、『JUNO』のほうが個人的には好み。どちらも、あらすじを読むだけで観たい!って思わせてくれるので、さすが作品賞、と思いましたが、最近の受賞作を見ると、『ディパーテッド』『クラッシュ』となっているので、『ノーカントリー』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のような、男っぽーい、ゴッツイ作品のほうが受賞しそうですね。

もう1本『フィクサー』もあるのですが、こちらは観ていないうえに、内容が難しそうで、判断ができません…。ゴッツイ作品といえなくもなさそうですが。

アカデミー賞について! と思いついたものの、まったくぼんやりしたことしか書けません。恐縮です…。
これまた観てはいませんが、外国語映画賞にノミネートされた浅野忠信さん主演の『モンゴル』にはがんばっていただきたいですね。

メリル・ストリープ母娘の共演に注目! 『いつか眠りにつく前に』 [2008年02月17日(日)]
 
この映画は、死の床にある老婦人がうなされて、娘たちが聞いたこともない男性の名を呼び続けるというところから始まります。
その男性というのは、その老婦人、アンが24歳のとき、親友ライラの結婚式に出席するために訪れた海辺の別荘地で出会った相手。そこで彼女は運命的な恋に落ちるのですが、ある事件があったことで2人は結ばれずに別れてしまう。そのことが彼女の中ではずっと心残りだった、というわけなんです。

(c)2007 Focus Features
これが24歳のアン(右)とライラ(左)。結婚式を控えてゆれる気持ちを告白するライラを支えるアン。ライラを演じているのは、メリル・ストリープの娘、メイミー・ガマー。この写真をじっと観てから下の写真をどうぞ。

当時の回想シーンと現在のシーンとを行き来しながら、前半ではアンの運命の恋をドラマティックに描いていますが、いちばんの見どころは、ラスト近くに、病気のアンを見舞いに、メリル・ストリープが演じるライラが訪れるシーン。結婚式以来、何十年かぶりの再会のはずなのに、ライラは挨拶をするなり躊躇なくアンのベッドの中に入り込んで、彼女と向き合う。それが、ライラの結婚式の前の晩に、不安を感じていた彼女のベッドにアンが入ったのとちょうど逆の構図になっている。

アン(右)とライラ(左)ふたたび。こんどのライラは、メリル・ストリープ。同じ役を母娘で共演ということですが、やっぱり似てますよね…。にしても、このシーン、泣けました。

その行動だけでもちょっと意表を突かれましたが、その2人の会話がよかった。恋を諦めたこと、仕事や子育てにも後悔が残るとこぼすアンに、ライラが言葉をかける。そのやりとりに、ジーンときました。メリル・ストリープとヴァネッサ・レッドグレイヴというアカデミー賞女優どうし、というカンロクも手伝っていますが、お互いの娘時代を知っている老婦人の友情って、ぐっとくるものですね。自分が、ばあさんになって弱ったときに、こんな友達がいてくれたら…(涙)って感じです。

アンの話と並行して、アンを看病している娘たちもまた人生に悩んでいる、という話もあり、この映画は、過去の恋の話というより、母と娘、姉と妹、女友達、という女どうしのドラマの部分のほうがメッセージは強いかも。女友達と観にいって、あれこれ語りたくなる映画です。

『いつか眠りにつく前に』
監督:ラホス・コルタイ
出演:クレア・デインズ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、トニ・コレット
2月23日より 日比谷みゆき座ほか全国ロードショー

女性陣が美しかった… 『潜水服は蝶の夢を見る』 [2008年02月12日(火)]
 
(c) Pathe Renn Production-France 3

もう公開は始まっているので、観た方もいらっしゃるかもしれませんね。
この映画は、フランスの雑誌ELLEの編集長、ジャン・ドニミク・ボビーが体験した実話をもとに作られています。仕事でも家庭でも人生を謳歌していた彼は、ある日突然脳梗塞で倒れ、左目の視覚と聴覚以外のすべての感覚がマヒしてしまう。そんななか、唯一動く左目の20万回以上の瞬きで、自伝を書き上げるというストーリーです。

映画の前半は、彼の左目を通して映画が語られるスタイル。だから、彼が瞬きをすると、画面も一瞬暗くなる。それで、思考はしっかりしているのに外界とコミュニケーションすることができない焦りや苛立ちが伝わってきて、自然と引き込まれていく。これは斬新でした。

何の前触れもなく、ある日突然体が動かなくなるという病気はショッキングだし、唯一動く左目を使って、瞬き20万回で本を書き上げたという精神力は本当に驚くべきものだと思う(その瞬きを書き留める作業に最後まで付き合った言語療法士さんも相当すごいです)。でもこの映画は彼のことを、かわいそうな人とか、偉大な人といった描き方はしていなくて、体が動かなくなって、たとえばそれが、潜水服の中に閉じ込められたような状態でも、記憶と想像力で自由に飛び回れるんだ、という姿を描いている。それが、『潜水服は蝶の夢を見る』というタイトルにもつながるわけなんですね。

ところで。全体を通して私が一番印象に残ったのは、奥さんや言語療法士、愛人など、出てくる女性たちの美しさ。そんなに有名なキャストは出ていないし、着ているものも白衣やごくふつうのワンピース。なのに、それが断然美しく、そしてセクシーに見えるのはなぜ? やっぱりフランス女性だから? とまとめてしまってよいものか…。少なくともこの映画の女性陣はバツグンに輝いておりました!

この美しい言語療法士さんが手に持っているのは、彼女が開発した、使用頻度順に並べ替えられたアルファベットの表。順に読み上げていって、言いたい文字が来たところで瞬きをする、というやり方で文章を綴っていくという仕組み。気が遠くなるような作業!

『潜水服は蝶の夢を見る』
監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ
渋谷シネマライズ、シネカノン有楽町2丁目ほかにて公開中

イスラエル発の心温まる作品 『ジェリーフィッシュ』 [2008年02月08日(金)]
 
3月公開の作品ですが、ちょっと早めにご紹介を。
昨年のカンヌ映画祭でカメラドールを受賞したイスラエルの映画『ジェリーフィッシュ』。監督は人気作家でもあるエトガー・ケレットとシーラ・ゲフェン。イスラエルの映画と聞くと、ついエキゾチックな街並みや宗教色のある題材をイメージしがちですが、この映画には、そういうイスラエルっぽさはまったくといっていいほどありません。どこかヨーロッパの街といわれてもまったく違和感がないくらい。それがイスラエル(というか、テルアビブ)のいまの姿ってことなんでしょう。

これは、ひとつ目の話、バティアと不思議な少女。ストーリーには直接関係ないのですが、パーティ会場で、少女はかわいいいたずらをしています。その内容は…ウェディングケーキに関係あり。よーくチェックしてみてください!
(c) 2007 - Les Films du Poisson / Lama Productions LTD / ARTE France
Cinema


映画は、3つのストーリーが交錯しています。ひとつ目は、結婚式場で働く若い女性バティアの話。有名人の母とも、若い恋人を持つ父とも距離を感じているバティアは、ある日、何もしゃべらない不思議な女の子に海辺で出会い、週末だけ預かることになる。

2つ目は、花嫁のケレンの話。結婚披露宴の最中に骨折した彼女は、新婚旅行を諦めてテルアビブ市内のホテルに泊まることに。そこで花婿が謎めいた女性に出会い、夫婦の間にはギクシャクした空気が流れる。

3つ目は、フィリピンから出稼ぎに来たジョイの話。彼女は一人暮らしで気難しい老女マルカのヘルパーとして働きながら、国に置いてきた息子にプレゼントを買おうと貯金を始める。

3つに共通するのは、登場人物もその周囲のひとたちも、自分の気持ちをうまく伝えられず、孤独感を抱えて生きていること。それがちょっとした出会いや事件から、少しだけ状況が変わって、希望を感じるラストに向かう。ドラマティックな展開はありませんが、やさしい気持ちになって終われるはずです。

映像がきれいなのも特徴。特に、海や水のイメージが効果的に使われていて、すごくきれいです。まず冒頭のシーンはちょっと意表を突かれますが、一応「海」。バティアの部屋が水漏れして床が海のようになっていたり、天井から滴る水を飲むシーンもいい。海辺のアイスクリーム売りのおじさんのシーンも、淡い色使いがとてもきれいで。なんというか、もし時間が経ってストーリーを忘れてしまったとしても、その映像だけはずーっと覚えていられるような、幻想的な美しさがあるんです。

登場人物で言えば、写真にも出ていますが、浮き輪をつけた女の子。この子がほんとうにかわいいんです! セリフのない謎めいた存在ですが、いちばん印象的なのは、夜ベッドに入るからとおなかの浮き輪を外そうとすると「アーッ」っていう叫び声を上げて手で制するシーン。観た人どうしでしばらくブームになるくらい、強烈です。で、仕方なく浮き輪をした上からブランケットをかけるんですけど、それがまた、ちょっとヘンでかわいい。

セリフはないけど、目ヂカラが強くて、不思議な存在感がある。ニコール・レイドマンちゃん、初出演だそうですが、この作品を機にいくつものCMの仕事が来たのだそう。観たら納得です。

この作品、試写会のプレゼントを実施中のようですので、このチャンスをお見逃しなく! 11日締め切りなので、まだのかたはお急ぎを。
少し前に、監督にインタビューもしました。映画のイメージとかぶるような、静かで優しげな方だったのが印象的。そちらもまもなく登場しますので、お楽しみにー。

『ジェリーフィッシュ』
監督:エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン
出演:サラ・アドラー、ニコル・ライドマン、ゲラ・サンドラー、ノア・ノラー
3月15日より渋谷シネ・アミューズほか全国順次ロードショー

あの伝説の1枚の裏側にあるストーリー 『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』 [2008年02月06日(水)]
 
今回ご紹介するのは、2月のイチオシ。
写真家・アニー・リーボヴィッツの人生を語るドキュメンタリーです。アニー・リーボヴィッツという名前にピンと来なくても、彼女の写真は見たことがあるはず。たとえば、オノ・ヨーコに裸で寄り添うジョン・レノンの写真や、デミ・ムーアの妊娠時のヌード写真など。どうですか?

Photographs(C)2007 by Annie Leibovitz

この映画は、作品の被写体となったセレブたちの証言をまじえながら、彼女の半生を追っていくもの。ヒラリー・クリントンからミック・ジャガー、ジョージ・クルーニー、ベット・ミドラーなど、コメントを寄せる誰もが、彼女の作品に特別な思いを持っていることが伝わってきます。

何千本のバラの中にベットミドラーが埋まっていたり、ミルクの入ったバスタブにウーピー・ゴールドバーグが入っていたりと、どこからこういう構図を思いつくの?というくらい強烈な印象を残す写真もあれば、セレブリティたちが、ほかでは見せたことがない素の表情で写っている写真もある。そこからわかるのは、彼女は並外れたセンスと、相手の心を開かせる力を持っているってこと。

撮影現場の風景で、被写体の美しさに感激して中断したり、終わるなりモデルたちに「ブラボー!」と拍手するアニーから感じるのは、彼女が本当に魅力的な人だということ。でも、人柄だけではなく、実は相当な努力家! センセーショナルな作風は最初からあったものではなく、彼女が常に上を目指しているから創られたんだということがわかって、刺激を受けました。

たとえば、前出のジョン・レノンの写真は、構図のすばらしさだけではなく、彼が暗殺される数時間前に撮影されたことで伝説の1枚になったわけなのですが、撮影に至った経緯は、その10年前、アニーが無名時代に努力した結果があったから。そのときからの信頼関係があったことで、彼女にしか撮れない写真が生まれたんだということがわかります。

暗殺の数時間前、ジョン・レノンの最後の1枚になった伝説の写真。この構図は現場での即興的なやりとりから生まれたのだそう。

私生活についても、自分がいいと思ったらあきらめない姿勢がすがすがしい。50歳をすぎて子どもを持つことを選んだというのもそのひとつ。ほんとにパワフル!

彼女の作品の数々を観るだけでも十分楽しめる映画ですが、生き方そのものが魅力的な人なので、観終わったら元気をもらえるはず。こういう映画って、いわゆる大作ではないだけに、人に勧めたくなりますね。ぜひぜひっ!

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』
監督・製作:バーバラ・リーボヴィッツ
出演:アニー・リーボヴィッツ、オノ・ヨーコ、デミ・ムーア、キース・リチャーズ、ヒラリー・クリントン
2月16日よりシネマGAGA!、シネカノン有楽町2丁目ほか全国順次公開

大胆なベッドシーンと秘められた恋心 『ラスト、コーション』 [2008年02月01日(金)]
 
今週末から公開される『ラスト、コーション』。
『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督の最新作で、主演はトニー・レオンと新人女優のタン・ウェイ。前作『ブロークバック…』はアカデミー賞を受賞しましたが、今回の『ラスト、コーション』では、ヴェネツィア映画祭の金獅子賞を受賞。それだけでもかなりの話題作。

(C)2007 HAISHANG FILMS/WISEPOLICY

舞台は1942年、日本占領下の上海。美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)暗殺の命を受ける。その魅力でイーを誘惑することに成功したワンは、彼と危険な逢瀬を重ねることになる。果たして彼女の計画は実行されるのか…。

大胆なベッドシーンが話題になっていますが、たしかに激しいです。でもこの2人の場合は、出会った経緯からしても、ベッドシーンが激しく刹那的になっていくのは当然の流れなのかも。そこだけ切り取ると過激ですが、いきさつを考えると、それはそうだろうと思えます。

映画の前半、女学生時代のワンが友人に誘われて演劇部に入り、女優として舞台に立つ喜びを覚えたり、先輩のクァン(ワン・リーホン)への淡い思いを抱いていたころは、政治活動はほんの遊びのようなものだったのに、あるところから引き返せなくなる。イーに対してはスパイとして女の武器を最大限に使いながらも、クァンに対しての純粋な恋心も消せない。2人の男性の間で揺れ動くラブストーリーとして観ると、かなり切ないです。

タン・ウェイは、まるで子どものように見えるシーンもあれば、貫禄たっぷりの怖い女に見えるシーンもあり、不思議な魅力があります。特に、チャイナ・ドレスを着ているときは本当に美しい。いやあ、アジア人として、憧れますねー。
トニー・レオンのほうは、オールバックでセクシーですが、今回の役はミステリアスで、何を考えているのかが読めない。でも、サディスティックなふるまいの間に見せる、憂いのある表情。そのギャップにドキドキです!

純朴な女学生的風貌が、チャイナドレスに着替えた瞬間、ぐぐっと女になる。タン・ウェイ、注目です。デコルテのあたりが透けているこのドレスも、本当に美しかった…。

『ラスト、コーション』
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン
2月2日よりシャンテ シネ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開

※アン・リー監督の前作『ブロークバック・マウンテン』の主演、ヒース・レジャーさんが睡眠薬の過剰摂取で先週亡くなりました。すばらしい演技だったし、もっといろんな役が観たかった。本当に残念。ご冥福をお祈りします…。

プロフィール
プロフィール
ミヤモトヒロミ。ライター。映画やカルチャー関連の記事をウェブサイトや女性誌などで執筆。
号泣モノから爆笑ストーリー、胸キュン恋愛ものまで、忙しくても絶対劇場で観たい!と思える映画を厳選してご紹介します!
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