昼も夜も芝居づけ

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亀梨和也・田中聖・薮宏太出演『DREAM BOYS』帝国劇場 [2008年03月27日(木)]
 
更新、遅くなりました。
観てきましたよ、ドリボ。
昨年秋の公演から、半年足らずでの再演ですからすごいです。
しかも、さらなるリニューアル。
いったいどこまで行ってしまうんでしょうか……。

しかし、本当に息をもつかせぬ展開の早さとド派手な演出の連続には、毎度のことながら感心させられます。
ある意味、一度完成した作品を、より面白いものに、って結構大変なこと。
だからこそ、「前回観たからもういいや」にならずにファンが劇場に押し寄せるんでしょうけれど、前回の焼き直しでも、ショー的な要素は充分というよりも盛りだくさんだったのに、今回はさらに、オープニングシーンのクラウン(道化)たちのシーンと、フライングシーンが増えていて、いやはや本当にお腹いっぱいなくらいサービス満点でありました。

ストーリーは明快。
幼馴染みのカズヤ(亀梨)、コウキ(田中)、ヤブ(薮)の3人は、マダム・ラン(鳳蘭)の主演する舞台にバックダンサーとして出演していた。
しかし、マダム・ランの怒りを買い、それが元で三人は違う道を歩み始める。
それから3年。
コウキは、ボクシングの世界でチャンピオンとなり、ヤブはミュージシャンとしてメジャーデビューの道を探っていた。
そんな時、ランの元で働くマコト(真琴つばさ)が、カズヤを主演にコウキの半生を描いた映画を企画する。
撮影は順調に進んでいるかに見えた矢先、中途半端なカズヤの態度にコウキの怒りが爆発し、撮影は中断せざるを得なくなる。
映画出演と引き換えにマコトに借金をしていたヤブは、必死にカズヤを説得し撮影を続けようとするが、コウキの怒りは収まらない。
撮影を続けるため、コウキが突き付けてきた要求は「ボクシングの試合で自分に勝ってみせること」。
多くのマスコミの注目を集めるなか、運命の試合のゴングが鳴った……。
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劇団四季『赤毛のアン』自由劇場 [2008年03月15日(土)]
 
今年、原作出版から100年なんだそうです。
勝手な思い込みかもしれないけれど、『赤毛のアン』って、なんとなく少女時代のバイブル的な作品じゃないかと思います。
不幸な生い立ちだけど明るくて前向きで、いつだって夢いっぱいでロマンティストで、ちょっと早とちりで、優しくて女のコらしくて賢くて、そんなアンは理想的な存在。

もし、少しでも赤毛のアンにハマった時期のある女性(もちろん男性でも、ですが)なら、ぜひともオススメしたいミュージカル。
なんといっても、曲がいいんです。

私が大好きなのは、孤児院からやってきたアンと、彼女(性格に言うと彼、のはずだった)を迎えに行ったマシューが、馬車でグリーンゲイブルズに向かうシーンで歌われる曲(ごめんなさいパンフを見ているのですが曲名がわからず)。
あのシーンって、とにかくアンの妄想癖が炸裂する、アンフリークには印象深いシーン。
歌詞は、空想すれば、なりたいものにすぐに何にでもなれるから私自身でいい、という内容。
ほんと、アンらしいすごくいい歌詞だと思いません?(←全国にいるアンフリークさんに向けて)
もう、ここから赤毛のアンの世界に引き込んでくれます。

このシーンに留まらず、アンが木苺のジュースだと思ってお酒をダイアナに飲ませちゃうシーンとか、マシューがパフスリーブの服を買いに行くシーンとか、赤毛を黒髪(カラスの濡れ羽色、ね)にしようとして緑色に染めてしまうシーンとか、短い時間のなかにちゃんと素敵なシーンが入っていて、本当によくできた作品。
しかも、アン役の吉沢梨絵さん、マシュー役の日下武史さん、マリラ役の木村不時子さん、とキャストも素晴らしく、あの世界観をしっかりと具象化してくれておりました。
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東宝版『RENT(レント)』キャスト発表 [2008年03月08日(土)]
 
ついについに発表になりましたね、東宝版の『RENT』のキャストが。
と、こんなことを書いても、『RENT』ファンでなければ何てことのないニュースだと思いますが、『RENT』ファンの私にとっては、かなり大きな出来事。

その理由をきちんと書けば長くなってしまいますが……
簡単に言ってしまえば、過去に素晴らしい日本版『RENT』を観てしまったがゆえに、以前の『RENT』を制作していた会社ではなく、今回から東宝という大会社が制作するという事実を知った時のショックが強かったんですよね。
これはただ、制作する会社が変わったということではなく、過去の日本版『RENT』をもう二度と観ることができないという事実が確定してしまったということ。

まあ、二度と観られない、というのは舞台というものの宿命ではありますが、それでもなお、あのマーク(主人公の名前、ね)を、あのロジャーを、観ることができないんだと思うと、本当に残念。
そう思ってしまうくらいに、初めて観たこの作品の衝撃がすごかったんです。

まあ、そんなことを悔やんでも仕方がなく、とにもかくにも、新キャストなのです。
ざっと書くと、映像作家をめざしている主人公(というか狂言回し的役割)のマークは、森山未來さん。
マークの同居人で、エイズで恋人を失い、自らもエイズに冒されているミュージシャン・ロジャーをK(韓国出身のミュージシャン、ですよね)とRyohei(ミュージシャン)。
コリンズを米倉利紀さん(90年代にヒット曲を連発、現在はシンガーソングライターとして活躍するアーティスト)……などなど。

東宝制作舞台の常連キャストを起用した作品になってしまうんではないか、と『RENT』ファン誰もが危惧していた事態にはならず、基本的にはミュージシャン中心のキャスティング。
これは初演の日本版と同じように、あの曲を表現できる人々をまず大事にしたキャスティングだということなのでしょう。
まあ、まだまだ何も始まっていないので、なんとも言えませんけれど、東宝のプロデューサーさんの真摯な姿勢は感じられると思います。
もう、あの時の『RENT』は観られないのだから、新しいキャストが素晴らしいものを作ってくれることを期待しています。

今回、演出も新しくなり、振付けも辻本知彦さんが担当(以前、DIAMOND★DOGSに在籍、その後、金森穣さんのNoismに参加していたコンテンポラリーダンサーです)。
まったく違う演出になるはずです。
これまでにだって、過去の名作が新しい演出でまたその魅力を吹き返してきたように、新しい『RENT』の魅力を発見できる作品になることを期待しております。

「おっと」と思ったので書き加え、を少し。
3月8日放送のドラマ『ロス:タイム:ライフ』のココリコ・田中さんが出演する回で、クライマックスに『Seasons of Love』流れてましたねー。
しかも、歌入りのまま。
主題歌でもないのに歌入りで使われているなんて、監督さんはもしや『RENT』ファン? なんて思ってしまいました。

東宝『RENT』のHP:http://www.tohostage.com/rent/index.html
坂東玉三郎特別舞踊公演/尾上菊之助・市川海老蔵『連獅子/京鹿子娘二人道成寺』大阪松竹座 [2008年02月23日(土)]
 
坂東玉三郎といえば、現在、女形として最高の芸を持つ俳優。
昔からずっと人気がありましたし、昔からずっと高い評価を受けている方ですけれど、いまさらながらにあらためて玉三郎さんの素晴らしさ、凄さを見せつけられた気がした公演でした。

もちろん、これまでにも何度も玉三郎さんは拝見しているし、何度も凄い、素晴らしい、美しいと思ったことはありますし、今回の舞台がいままで観たなかで最高に素晴らしい、なんて簡単に言えないくらい、これまでにだっていい舞台をたくさん務めております。
が、なんというか、私個人として玉三郎さんの凄さをいやというほどに見せつけられた、と思った、とでもいいましょうか。

『京鹿子娘二人道成寺』は、道成寺の鐘供養に訪れた美しい白拍子花子が、じつは清姫の化身であった、という舞踊劇。
道成寺の尼僧たちに請われて、白拍子の舞を披露するのですが、踊るうちに一人だったはずの花子が、時にふたりになり、ひとりになり……

寺を訪ねてくる白拍子は菊之助なのですが、その花子が花道の七三に立つと、その後ろに瓜二つの玉三郎さん扮する花子が現われます。
ふたりの花子は、まるで残像のようでもあり、背後霊のようでもあり、ほぼ同じ舞を並んで舞うのですが……
対になることで、玉三郎さんの花子のカタチの美しさ、漂う色気が、浮き彫りになって見えます。

菊之助さんがダメか、と言ったらまったくそんなことはないんです。
それどころか、菊之助さんの凛とした美しさ、真っ直ぐさ、溌剌とした初々しさは、なんだか観ていて清々しくて本当に素敵。
ここ数年、女形に対して本当に真摯に取り組んでいるんだろうな、と感じさせます。

でも、それゆえに、ふたりが並ぶと玉三郎さんのうまさが際立つんですよね。
ふたりの動きはほぼ相似形、かなり菊之助さんが玉三郎さんの踊りを必死に模倣しているのがわかります。
それでも、微妙に違うのは、ちょっとした手の動き、指の動き、首の角度、目線のやり方。
おそらく、そんなに違いはないと思うんですが、そのちょっとした違いで、玉三郎さんの花子は、なんだか妙に艶めかしかったり、色っぽかったり、はんなりとした風情を感じさせたりする訳です。
見ていると、その美しさにゾクリとするほど。
もはや、この世のモノではない美しさ色っぽさで、清姫の亡霊であることも納得させてしまう説得力がある女形。

写真家の篠山紀信さんをはじめ、玉三郎さんを絶賛する人は多いですが、それもそのはず、です。
ここまで細やかに神経を行き届かせて役を演じる役者って、どれくらいいるんでしょう。
そう思うと、本当に妥協を知らない不世出の女形といっていい存在だと思います。
歌舞伎をご覧にならない人も、一度はこの素晴らしい芸に触れてほしいものです。

今回の公演は、すでに最終日まで完売しておりますが、来月には京都南座で中国の方々との共演で昆劇に出演されるそうです。
玉三郎さんにとっては、これが初の試みだけに興味あります。
間違いなく、今後も語り継がれるはずの舞台だけに、玉三郎さんの至芸を観に行ってほしいものです。

3月6日(木)〜25日(火) 京都南座にて『坂東玉三郎 中国・昆劇 合同公演』が上演
京都南座のHP:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/2008/03/post_9.html
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浅丘ルリ子&渡辺えり『恋はコメディー』ル・テアトル銀座 [2008年02月21日(木)]
 
会社をリストラされ、ヤケになった男・ギョーム(石井一孝)がとある屋敷に泥棒に入った。
しかし、銃をつきつけて脅しても家人は一向に怖がりもしない。
それもそのはず、その屋敷の主は、なんと世にも有名な女盗賊、セリーヌ&アンナ(浅丘ルリ子&渡辺えり)だった……。

以前に「おかしな二人」で共演し話題を集めた浅丘&渡辺のコンビで挑んだ作品。
正直、前作は戯曲に恵まれていたな、と思います。
ニール・サイモンの小粋なセリフと軽妙で洒落の効いた展開は、二人の凸凹ぶりと相まってなんだか妙におかしかったものです。

ただ、今回はなんだかセリフが上滑り気味。
これ、きっと戯曲のせいだと思うのですが、浅丘さんも渡辺さんも(そして石井さんも!)
セリフがすとんとハマってないんです。
セリーヌがギョームを翻弄するセリフとか、セリーヌの気風のよさが出たアネゴっぽい物言いも明らかにセリフです、という粋を越えていないというか。

ただ、渡辺えりさんのうまさは、このセリフのおちつかなさを入れても余りあるくらいに実感。
石井さん扮するギョームに色気で迫ってみたり、時に力でねじ伏せようとしたり、コロコロと態度を変える身代わりの早さといったら。
遊び過ぎず、出しゃばり過ぎず、絶妙な力量加減でもって軽妙に演じて見せていたのがすごい。
NODA MAPやナイロン100℃、宇宙堂(最近、3○○に名前を戻したんでしたっけ?)でも拝見しておりますが、こういう場面でその実力が発揮されるんですねー。

石井一孝さんの妙なテンションの高さや、明るさもギョームという役にぴったり。
もちろん、主役の浅丘さんも、年はとってもやっぱり美しくて魅力的なセリーヌ、という役がぴったりとハマって可愛らしかったです。

気になったのは後半、セリーヌの息子・ピエール(風間俊介)と恋人のナターシャ(秋吉久美子)が現われて、ナターシャの本当の目的が明るみになる場面。
なんだか妙に予定調和的な雰囲気で、まるでどんでん返しのおもしろさを感じられませんでした。
ほんとこれ、残念。
もうひとつ、アンナがナターシャを裏切る場面。ここも、どうにもその前のシーンとの繋ぎが悪くて、まったく感情移入できず。

とはいっても、劇場がテアトル銀座で、私の席は通路よりも後ろ、だっただけに席の所為?と思う向きも。
この劇場って、どうも通路から後ろの席って舞台がものすごく遠く感じてしまって、まるで額縁の向こうを対岸から眺めているような雰囲気になってしまうんですよね。
なんだか妙に引いた目線で舞台を見てしまったのも、それが一因としてあることは間違いないと思う。

演劇ってやっぱり劇場選びを重要な要素だと思う。
以前に、KERAさんが『劇団健康』の復活公演で、紀伊国屋サザンシアターのことなんかをネタにしていたけれど、ほんと舞台と客席が一体になれない劇場というのも、哀しいかな、ある。
テアトル銀座は、通路より前の席であれば、さして問題なく舞台を楽しめると思う。
しかし、通路後半は本当に哀しい。
私の隣に座っていた年配の家族連れも、やはり舞台に集中していないようだった
ああ、なんだか舞台のことよりも劇場の愚痴になってしまった。

まあともかく、舞台、だ。
浅丘さんの歳をとってもなお衰えないチャーミングさ、渡辺えりの絶妙な間とちょい大げさなパフォーマンスで見せる笑いの芝居のうまさ、石井さんのハイテンションぷりを楽しみに行くのであれば、ぜひどうぞ、といったところか。
回を重ねれば、セリフも板についてくるのだろうと期待をこめて。

3月5日(水)秋田県民会館、6日(木)福島県文化センター、7日(金)山形県民会館、9日(日)静岡富士・ロゼシアター、11日(火)兵庫芸術文化センター、13日(木)なら100年会館、14日(金)・15日(土)大阪厚生年金会館芸術ホール、17日(月)岡山市民会館、18日(火)広島厚生年金会館、20日(木・祝)北九州・九州厚生年金会館、21日(金)・22日(土)福岡市民会館、23日(日)長崎佐世保・アルカスSASEBO、26日(水)仙台・電力ホール
とこうして挙げてみると、すごいスケジュールで全国まわるんですね〜。
出演者の皆様、お体は大切に(←余計なお世話)。
東宝ステージのHP:http://www.tohostage.com/koicome.html
前川知大・脚本 青木豪・演出『ウラノス』青山円形劇場 [2008年02月16日(土)]
 
すごいです。この組み合わせ。
小劇場の注目クリエイターふたりがガップリ組んだこの舞台。
これこそ、ドリームチームってやつじゃないですか?

……ってなんのことやら? って方のためにご説明いたしますと、脚本を担当している前川さんは、イキウメという劇団で作・演出を手がけている方。
ちなみに昨年には、舞台で上演した『散歩する侵略者』を小説化し、作家としてもデビューしました(『散歩する侵略者』のレビューはこちら
で、青木豪さんはといえば、グリングという劇団を主宰していまして、こちらもまた作家・演出家として活躍されております。
最近では、劇団☆新感線の『IZO』の脚本を手がけてまして、最近あちこちから脚本のオファーを受ける売れっ子作家さんでもあります。(『IZO』のレビューはこちら

前川さんの作品は、日常のなかのSFホラー。
身近な世界の物語のなかに、いつの間にか超現実の世界が忍び込んできている、そんな物語を描くかた。
その移行の仕方が見事で、超現実でありながら妙にリアルに感じてしまう。
その演出方法は、どこか映像的で、シンプルなセットに、シーンを断片的に繋げたような展開。

青木さんの作品はといえば、こちらは本当に淡々とリアルに日常を描いたもの。
なんでもない会話のなかの心理的な駆け引き、心の動きをきっちりと描き出しているから、感情移入し、共感し観られる芝居。
こちらは、住む人の匂いまで伝わってくるようなリアルなセットで、ほぼワンシチュエーションで進む、切れ目のない展開で見せる。

ふたりの作風も演出方法も、まったく違うだけに、どんな作品になるのか、ひょっとしたら互いの持ち味が出せずに終わってしまうんじゃないかと心配していたのですが、それがいい方向に作用して、かなりクオリティの高い作品になっておりました。

物語は、とある田舎街に、都会からひとりの女性(酒井美紀)が帰省してくる。
彼女の実家は、その田舎町の古い一軒家。両親が死んだ後、そこには彼女の妹がたったひとりで住んでいた。
そんななか、地質調査のために、その家の庭を買いたいと申し出る業者が現われる。
しかし、その庭は古くから忌まわしい言い伝えが残る場所。
家を守ろうとする妹に、業者は強気な態度で売却を迫る。
やがて、その庭にある大きな穴が、じつは異空間と繋がったブラックホールだという事実がわかり……
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中井貴一・段田安則・りょう/出演『二人の約束』パルコ劇場 [2008年02月12日(火)]
 
芝居は観ているのに、なかなか更新できてなくてすみません。
近々、あれこれとアップします。

とり急ぎ中井貴一さんと段田安則さんという、芸達者なおふたりがタッグを組んだ舞台の第2弾。
いつの間にか、「劇団ふたり」なんて名前がついておりました(笑)。
ちなみに作演出は、福島三郎さん。
福島さんは、もともと三谷幸喜さんの東京サンシャインボーイズで演出補をやっていた方。
なんでもない日常のなかに起こる、ちょっとした優しいエピソードをユーモアを交えて描いてくれる作家さんです。

今回の作品は、古道具屋を営む小太郎(中井)と、その家を塀の向こうから覗こうとして塀から落ち、25歳以降の記憶を失ってしまった大作(段田)の物語。
小太郎の元には、幼馴染みでその家の大家の娘でもあるめぐみ(りょう)がちょくちょく訪れ、大作の存在を訝しむ。

大きな事件は起こらないけれど、世界中を回っていわく付きの品物を買ってくる小太郎の仕入れの話など、物語の本筋のほかに描かれているエピソードがいい味わいを出していて、全体をほのぼのとした明るい空気で包みます。

とはいえ、ただただ“いい話”だけで終わらないのがいいところ。
ちょっとしょっぱかったり、チクチクと胸が痛い出来事もある。
けれど、それでもちゃんと彼らは乗り越えていこうとする。
そうやって乗り越えられる強さを持っているのも、支えてくれたり応援してくれたりする周りの人たちがいるから。

人間は最終的にはひとりでしかない。
それでも強く生きてこれるのは、家族がいたり友達がいたりご近所さんがいたりするから。
そんな当たり前だけれど、当たり前すぎて忘れていることをあらためて感じさせてくれるのが、福島さんの物語の素敵なところです。

後半に向けて、大作のなくした記憶、そして小太郎がずっと忘れずにいる30年前の約束が少しずつ見えてきます。
ちょっと強引かなーと思う展開もありましたけれど、それもまたご愛嬌と思えてしまう愛嬌のある舞台です。

りょうさんも、これが初舞台ということだったのですが、とてもよかった。
肩に力が入ることもなく、とはいえ映像のお芝居をそのまま舞台に持ってきてしまって客席にまで伝わらない、なんてこともなく、自然で軽快な演技をされていて、いまさらだけど上手い女優さんなんだなぁと。
もちろん、中井さん段田さんは言わずもがな。
3人の作り出す雰囲気がとてもよくて、それが物語に滲みだしておりました。

ほっこりとしたいい気分で劇場をあとにすることができました。
2月だけど、まだまだ寒い毎日にいいお芝居です。

東京公演は2月24日(日)まで。
2月26日(火)には名古屋・中京大学文化市民会館プルニエホール、
3月1日(土)・2日(日)には大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて上演。
パルコ劇場のHP:http://www.parco-play.com/web/play/promise/
安田章大(関ジャニ∞)エンターテインメントショウ『818』東京グローブ座 [2008年02月10日(日)]
 
昨年ぐらいからぐいぐいと露出度が増えている関ジャニ∞。
とはいえ、安田章大くんというとまだまだ「?」の方もいるかもしれませんね。
まあ、単独でドラマに出る機会もあまりない彼ですし、私も正直、ひとりで舞台なんてできるのかな?と思っていたんですが、これがなかなかに芸達者でびっくり。
ギターが上手い、というのは知ってましたけど、じつはアレもコレもできるマルチな人だったんだな、と感心の連続でありました。

「何か大きなことを成し遂げよう」と希望を胸に上京してきた青年。
しかし、何をやったらいいのか、何ができるのかわからないまま日々が過ぎていきます。
そんなある日、道端でストリートミュージシャンに出会い、その彼から「幸せになれる何かを探せ」と助言されます。
それが何かがわからないまま、次に彼が出会ったのはオカマのアートパフォーマー。
彼は「あなたのオリジナル、世界にひとつだけしかないものが必要」だと説かれます。
そして最後に彼が出会ったのが、ストリートダンサー。
彼の言葉は、「自分という見えないモノを表現できるもの」を探せというもの。
そして青年が見つけた夢とは……。

主人公の青年はもちろん、ちょっとナルシスティックなミュージシャンも、おネエ言葉のアーティストも、クールなダンサーも、安田くんが演じるという一人4役の大奮闘。
なんといっても出色は、ナルシスティックなミュージシャン役。
これが……結構ハマってるんですよ。

安田くんというとカワイイキャラ、マスコット的存在、イジられキャラというイメージだけど、これがカッコいいんですわ。
ああ、いまさらだけど、ジャニーズなんだなぁとしみじみ(大変に失礼!)。
いつもの頑張り過ぎて空回っている感じは一切なく、余裕を見せる演技。
こういう方向もできたんだね、と、あらためて彼のマルチぶりを実感。

しかも、舞台上でギターを抱えて客席のリクエストに応えて即興演奏したり、本当にライブで絵を書いたり、もちろんダンスも存分に披露。
そのどれもが、素人の趣味、と呼ぶには申し訳ないくらいのうまさなんですね。
丸山君のソロ曲『MAGIC WORD〜僕なりの…』を歌ったりもするんだけど、ギターだけじゃなく歌もさ、うまいのよ。
これは、ファンじゃなくともちょっと感心しますわな。

そうそう、グッズも今回、彼がデザインしているとのことなのだけれど、こちらがまたなかなかにカワイイ。
個人的には、タンクトップとパンツのセットアップが好みでした。
ちょっと、私が好きなJuona de Arco(ホォアナデアルコ)みたいな雰囲気。
マルチカラーのレッグウォーマーも遠目で見ただけだけど可愛かった。

まあそんなんこんなんで、安田くんの器用さをたっぷりと堪能できるショーでした。
こんなにいろんなことできるんだから、ほかのお仕事やらせてもらえるといーなーと他人事ながらに思った次第。

東京公演は、2月20日(水)まで。
2月23日(土)〜26日(火)は、大阪厚生年金会館芸術ホールにて。
井ノ原快彦 & 長野博・主演『プロデューサーズ』東京国際フォーラム ホールC [2008年02月05日(火)]
 
ハチャメチャでノー天気でバカバカしくて、ノリノリの傑作ミュージカル。
とにかくこのミュージカル、大好きなんです。

いいミュージカルの一番の条件って、やっぱり“いい音楽”ですよね。
もちろん、そこに描かれているキャラクターを生き生きと見せることができて、かつ、曲を歌い奏でる役者も重要であることは確か。
演出だって、その作品のよさを見せる重要なファクターだし、美術セットも衣装も舞台を支えてくれる大切なものだし、それが物語の世界に引き込んでくれることも多い。
でも、やっぱりいいミュージカルを観たなーって時って、軽い高揚感に浮かされて曲がアタマの中をグルグル回っている状況で、そのミュージカルハイが気持ち良くて劇場に通っちゃうんだと思います。

まあ、そんな訳で、思わず口ずさんでしまうような軽快な音楽が満載の『プロデューサーズ』が、映画→舞台→映画と連鎖して大ヒットしたのも頷けるところ。
そこに、おバカ度ギリギリなゲイカップルや、どこか抜けてるナチ党の脚本家などなど、もう見ているだけで大爆笑のキャラクターたちが加わって、とにかくパワフルなんです。

そんな大ヒット作を、V6の井ノ原くんと長野くんが……
最初は、正直いって抵抗ありましたよ。
だって、プロデューサーズといったら太ったおじさんと色白の痩せ男のコンビ、というイメージなのに、二人ともスリムだし年齢だって二人とも若いし。
イメージと違う、と思ったこともあって初演は観てなかったんです。

でも、これが意外にもよかったんですよね。
もちろん、映画のネイサン・レインのような、見るからにうさん臭そうなマックスの雰囲気を井ノ原くんが出せるかといったらそれは無理。
でも、代わりにノリのいいお調子モノで、思い立ったら即実行の思慮の浅さと人当たりのよさで世の中を渡ってきた軽妙なマックス像が。
おばあちゃんたちに何だか妙に好かれてしまうのにも納得、できましたし。
なによりも、イノッチって本当に芸達者なんだな〜としみじみ感心させていただきました。
芝居も上手いし、驚いたのは歌も上手いんですよねー(知らなかったの?ってツッコミ来そうですけど)。
マックスが、牢獄でここに至るまでを回想するシーンがあるんですけれど、国際フォーラムのあの舞台のうえで、小さな牢獄のセットの中を縦横無尽に歌い踊り、笑わせてました。
あのときのマックスは、本当に本当に愛嬌たっぷりでかわいらしくて、ちょっとおバカで憎めない人物。
あのシーンは、ブロードウェイで観たときよりもおもしろかったな。なによりも日本語で見てるってのが大きかったのかも、だけど(笑)。
でも、たったひとりでもお客さんをノラせるのが上手なのは、さすがジャニーズ!
やっぱり、タダもんじゃありませんね。

一方の長野くんのレオは、不器用で融通が利かなそうな雰囲気は合ってました。
ひとつ難をいうなら、やっぱりイノッチに比べて迫力不足の感は否めないけど。
ただ、長野君のヘタレっぷり演技により、これまで観た『プロデューサーズ』のマンガっぽさより、もう少しリアルな物語に見えるという不思議な効果も。

出色は、といったら、藤木孝さん演じる演出家・ロジャーと、岡幸二郎さんの演じるその助手・カルメンというゲイカップルかな。
やりすぎなほどに、ふたりの演技がはじけていておもしろいのなんの。
カルメンは、ブロードウェイで観たときよりも間違いなくその存在感は光ってました。
ダンスも歌も抜群にうまくて、そのうえ笑わせる間が本当に上手!
ご本人もノリノリだったんじゃないかな〜? そんな空気が伝わってきました。

初演時に、取りざたされた彩輝なおさんのウーラも、今回初めて観たけれどよかったですよ。
キレイでチャーミングだけど、ちょっとおバカでノリがよくて純粋な、キュートなウーラは素敵でした。
なによりも、ビジュアルが美しい。細くて長い脚とか、白い肌とか、大きな瞳とか、遠目で見てもキレイ。

訳詞も思っていた以上に歌詞が音楽にのれていて、翻訳ミュージカル特有の違和感が少ないし、ぜひとも『プロデューサーズ』好きにも観て欲しいかな。
きっと、好きゆえに躊躇している方も多いと思うんですよね。
もちろん初見の方も。この作品のおもしろさは充分に伝わる出来映えだと思います。

東京公演は、2月17日(日)まで。
2月23日(土)〜28日(木)まで、大阪・シアターBRAVA!にて上演。
フジテレビのHP:http://wwwz.fujitv.co.jp/events/stage/producers/index.html
五反田団・前田司郎さん、第52回岸田國士戯曲賞受賞 [2008年01月30日(水)]
 
発表から数日経ってしまいましたが、五反田団の前田司郎さんが岸田戯曲賞を受賞されましたね。
これまでにも何度かノミネートはされていたのですが、受賞は今回が初めて。
もしかしたら、ご本人自体も驚かれているかもしれませんね。

今回、受賞した戯曲は「生きてるものはいないのか」。
このお芝居についての感想は、以前のブログをご覧いただくとして……

前田さんの作品って、モラトリアムな世界を描いたものが多く、展開もゆるゆるとしているんですね。
なんというか、あちこちに思考が飛ぶ独り言のような雰囲気というか。
でも、じつは意外と恣意的にゆる〜い感じを演出しているんだと思います。
敢えて小劇場演劇的なゆるさを作品に入れ込んで、どこか俯瞰した目線で見ている感じ。
大劇場、じゃない小劇場での演劇でやる意味というものを持っているのかもしれませんねー。

そんな前田さんですが、今年は新国立劇場で白井晃さん演出で舞台が上演されるのもあるし、今回の岸田賞の受賞で活動もどんどん大きくなっていきそうな予感。
これまでドメスティックというか、マイノリティな芝居を作ってきた前田さんの作品が、こうやってメジャーになっていくことでどう変わってくるのか、楽しみでもあり、心配でもあり、興味津々。

とにもかくにも、前田さん受賞おめでとうございますー。
この勢いで、小説も三島賞、芥川賞、獲得しちゃってください。

前田司郎さんが主宰する五反田団のHP:http://www.uranus.dti.ne.jp/〜gotannda/

プロフィール
プロフィール
望月リサ。ライター。女性誌やWebサイトでインタビューやカルチャー関連の記事を担当。締め切り間際でも観たい舞台は絶対にハズさないステージフリーク! 「ライブじゃなきゃ味わえないこと、いっぱいあります。ハマるとこんなにすばらしいものはないです。劇場にもっともっと足を運びましょっ。」
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