ひびのこづえさんは、野田秀樹さんの舞台や、中村勘三郎さんの歌舞伎「研辰の討たれ」などの衣装を手がけるコスチュームアーティスト。
そんなひびのさんの展覧会が、水戸芸術館で開催されております。

←水戸芸術館、いわゆるミトゲーは、現代アーティストを積極的に取り上げるなど、新しいアートの形を積極的に提案しようとしている美術館。アーティストとコンテンポラリーダンサーとのコラボレーションなども頻繁に行なっているなど、おもしろい催しをたくさん企画しております。
今回の展覧会のテーマは、ひびのさんが消費者という日常性とアーティストの立場での非日常性との間にある、プロダクトデザインとしてのアート。
数年前から静岡の下駄メーカーと共同で制作している木のスリッパから端を発し、いまひびのさんは、日常のなかで使う日用品のデザインにとても興味を持っているそうです。
日常のなかにあるもの(家具やタオル、バッグや絨毯など)にアートを取り入れることで、毎日の生活が少しだけ楽しくなる、そんな作品を創りたい、とひびのさんはおっしゃっています。
そうして出来上がった作品たちは、部屋を模した展示室にさりげなく置かれていたりして、なんだか遊びゴコロいっぱいの雑貨屋さんにやってきたような、ワクワクした気分にさせる展覧会です。
ひびのさんのインタビューは、9月7日発売の『BOAO』カルチャーページ内で書いておりますので、そちらをぜひに。
ただひと言、自然を慈しみ、毎日の何気ない暮らしを愛し、自分の創作の手助けをしてくれているさまざまな身の回りのモノたちをとても大事にされている方、だなというのが印象でした。
だからこそ、ああいうやさしくてキッチュなモノづくりができる人なんでしょうね。
で、初日のイベントとして行なわれたのが、いま飛ぶ鳥を落とす勢いのコンドルズ・近藤良平さんのダンスパフォーマンス。
今回、ひびのさんがこの企画に合わせて『NORTH FACE』というメーカーさんとコラボレーションで作られたウェア類が展示された一室で行われました。
登場は、綿のクロスの生地を使って作られたバスローブを羽織り、ヒノキのサンダルというひびのさんの作品を身に纏って。
おもむろにそれを脱ぎ捨てたかと思うと、天井から吊すように展示されたバッグや上着を外しては身に着けて踊ります。
ここに展示されている作品は、肩掛のバッグだけれど側面のジッパーをすべて開けると、パンツが飛び出したり、帽子なのだけれど、雨よけの肩掛が内側に内蔵されていたり(この説明、わからないかなぁ……ぜひ実物を!)というユニークなもの。
ただ展示として説明されているだけではわからなかったこの仕掛けが、近藤さんがひとつひとつ手に取って身に着けていくことで、わかりやすく伝わるという効果もあり、「へぇ〜」という感心の声があちこちから上がっておりました。
それらを脱いだり着たりする近藤さんは、興味深いオモチャを手にした少年のように楽しそうで、誰よりもこのユニークな仕掛けを遊んでいるようでした。
近藤さんのダンスはおそらく即興なのですが、ダンスという型にはまらず、もっと自由に楽しんで踊っている姿は、ひびのさんのアートと通じるものがありました。
アーティストとして高いところからモノを眺めるのではなく、もっと普通の目線と同じところにいながら、そのなかから生まれてくるおふたりの独自の解釈、おもしろがりかたは潔く、清々しくもあります。
ふたりとも、本当に好きで楽しんで創作活動をされているんだろうなぁ。
かといって、やりすぎず。それが“たしひきのあんばい”なんでしょうね。
ちなみに今回、披露された近藤さんのダンスは、会期中会場でビデオ上映されるそうです。
水戸までは、東京からJR特急で約1時間半。ちょっとした日帰り旅行気分でぜひ。
会期は、10月14日(日)まで。
HP:
http://www.arttowermito.or.jp/kodue/koduej.html
ちなみに、9月23日には森山開次さんのダンスパフォーマンスもあり。
こちらも興味深いですー。

←ちなみに今回の展覧会のポスターは、なんとハンカチでできてました。このハンカチは、会場内のショップでも販売。あまりの可愛さに私も購入してしまいました。展覧会が終わっても、捨てられずに使える、ところがミソなんですね。